暇人草

暇人草

暇人がつれづれに世の中を観察する記録。
文化とは暇人によって支えられているのではないか、という仮説のもとに書いている。

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あの旅行に興味ない夫が、とうとう自ら金沢旅行を予約しだした!

兼六園のライトアップがどうとか言っていたが、断じてライトアップに興味がある人間ではない。

その証拠?に、わたしが毎年行ってる行きたいと言っている恵比寿のクリスマスのライトアップは一度も行っていない。

なのに、兼六園のライトアップがどうとか言っている。

せっかくなので本場の九谷焼に触れさせ、素敵な夫婦茶碗でも買わせたいところだ。


兼六園のライトアップが見たいのか、

単に旅行先を探していたのかは不明である。 

しかし自ら旅行を予約した時点で大きな進歩だ。
人間、なんにしても慣れである。


夫は本気で紙皿・紙コップでいい派だった。
使ったら捨てれば終わるからである。
合理的といえば合理的だ。
一方私は、マグカップですら少々味気なく感じる派である。
できればカップ&ソーサーでお茶したい。
さらに言えば、その日の気分でティーカップを選びたい。
しかしそんな文化、夫にはなかった。
ところが、私がティーフォーワンやらティーセットやらを作り始めてから、我が家では紙コップは採用されなくなった。
最初は「どれでも同じ」だった夫も、最近では少し変わってきている。
根気強くデパートの食器売り場へ連行されている成果か、最近は紙コップ紙皿を言わなくなった。
さらに先日など、
「今日はこれ使う?」
などと、ティーカップを見ながら言い出した。
大した進歩である。
人間、なんにしても慣れなのだと思う。

夫は、もともと知らないところへ行くことをあまり好まない。
食事も同じ店。
服もいつもの量販店。
ランチも会社近隣の何店舗かをラウンド。
ほぼルーティンで生きている。
一方で旅行というのは、知らないことのオンパレードである。
知らない土地。
知らない乗り物。
我が家は運転しない主義なので、電車かバスが必須だ。
さらに知らない旅館、知らない食事、知らない道。
考えてみると、旅行とは不確定要素の塊である。
一方の私は旅行が好きだ。
知らないところというのは、妙にわくわくする。
何か郷土土産はあるか。
名産品は何か。
見どころはどこか。
そういうことを調べるところから既に楽しい。
そんな私が、この20年かけて夫に「知らないところへ行くこと」を慣れさせてきた。
最初の頃は、自分から旅行の話など全く出なかった。
しかし最近では、
「金沢に行きたい」
と言えば、休みを調整し、交通を調べている。
大した進歩である。
やはり人間、なんにしても慣れなのだと思う。

2日目は、真ん中くらいの席だった。
ブロックの一番後ろ、しかも角。
まあ、そんなものだろうと思っていた。
違った。
当たり席だったのである。
なんと推しが、一人で客席へ降りてきた。
しかも会場内を移動しながら歌う。
そして、なんと私の真後ろを通り、真横を通った。
2回も。
たぶん私は口を開けて、かなり間抜けな顔をしていたと思う。
しかし、あの距離感はおかしい。
普段のライブは「推しを眺める」である。
今回は違った。
推しが通過した。
しかも驚いたことに、スタッフの随行がなかった。
そう。
彼のファンは治安が良いのである。
誰も追いかけない。
誰も触らない。
ただ静かに、「え?????」という顔で固まっていた。
私もたぶん、その一員だった。
平安神宮奉納ライブなるものがあると、去年知った。
しかも私の推しが、今年その奉納ライブFINALをするという。
そんなもの、申し込まない理由がない。
しかも2days。
さらに、それぞれ内容が違うという。
そんなのもう、2泊3日で行く覚悟しかない。
張り切って抽選へ申し込んだ。
すると、とても運良く2days当選した。
楽しみにしていた。
そして席が発表された日。
私は目を疑った。
初日。
「1列〇番」
1列。
最前列である。
良く見えたなんてものではない。
普段のツアーでは、2階席、3階席なども普通にある。
推しは「人の形」として認識するものだと思っていた。
しかし今回は違った。
顔のパーツが見える。
指が見える。
表情も見える。
距離感がおかしい。
さらに、私がほぼ毎日YouTubeでMVを観ている楽曲まで披露された。
黄色い声が出るタイプではない。
しかしあの時は、さすがに
「ひゃあ」
くらいは出た。
人間、本当に驚くと「キャー」ではないらしい。