山雅の今節の相手はHonda FC


その実力はJチームと比較しても遜色無いと言われつつ、アマチュアクラブとしての道を選択し、佐川急便と共にJFLの門番としてこれまで幾多の物好きクラブに恐れられてきた。今年もその実力を遺憾なく発揮し首位を快走中。しかし、山雅は昨季そのHonda相手に2勝0敗。特に相手ホームの都田では30で完勝しており、その相性の良さを発揮できれば充分チャンスはあると鼻息も荒く静岡は浜松、Honda都田サッカー場に遠征をしてきた。



Hondaの注目人物といえば何といってもJFLの生きる伝説ストライカー新田純也。ただ伝説も寄る年波には勝てず、ケガもあり近年はベンチスタートが多い様子。この日も途中交代で出場したのみだった。絶対的エースが一線を退いたHondaだが、この日観戦していて真の恐ろしさは個人個人の能力の高さもさることながら、チームがハードワークを惜しまず攻守に連動性を持って試合を進める点だと感じた。


【結果】

松本山雅 0-3 Honda FC 

      9分  細貝

12分  柴田

81分  須藤


観客1849


【感想】

完敗。ここまで何もできないとは思いませんでした。屈辱的敗戦だと思うけど、明らかにシステムの選択ミスだと感じたのであまり落ちこむこともせず、浜松から帰還。


この日の山雅は4-3-1-2。前節から中盤の構成を変え、松田、渡辺、須藤をDMFとして3枚中央に並べ、トップ下に木村を配置。DFも4バックにし、Hondaの、前線にワイドに位置取る2人に備えた。


結果的にこの中盤の3枚が大誤算。というか、Hondaの4-3-3(実際は#10柴田が自由に動く2トップ?)と決定的に相性が悪かった。3人ともDMFとしての意識があるためか、サイドへのファーストディフェンスに積極的に出て行けない。そのためHondaのサイドバック2人に時間とスペースを与えてしまい、自在にゲームを組み立てられてしまうこととなった。特に右SBの#20平山はスピード、技術共に高く、#10柴田、#13細貝と絡んだ攻撃に山雅は幾度となく苦しめられた。


それにしてもHondaの中盤3枚は本当に質が高い。特にDF時の3人同士、それとDF陣との距離感が抜群によく、山雅が塩沢をターゲットにしようとクサビを入れてもすかさずサンド状態で起点を潰されてしまい、攻撃の形が作れない。中盤でのボール回しもその絶妙な距離感で常に厳しいプレスをかけられ山雅の中盤は良い状態でボールを受けることができない。まさに前半は八方塞がりの状態だった。


後半、山雅は少し修正を加えたのとHondaが2点差を考え少し受けに回ったこともあり、徐々に攻めの形を作れるようになる。惜しむらくはここで1点。1点でも取っておけば状況は変わっていただろうが、現時点ではここまでが精一杯なのかもしれない。


この日気になったのが長崎戦で圧倒的な強さを誇った塩沢の空中戦が、ほとんど勝てなかったこと。今後、まだまだ続くリーグ戦を考えるとポストプレーの計算ができる選手がいるのといないのでは大違いなので、今節は単に調子が悪かっただけと思いたい。


その後、ダメ押しの3点目を喫し、試合終了。個人的にはこの3失点目は前がかりになっていたところにカウンターを喰らったので仕方ないのかなと思っている。失点の契機となった局面。クサビを受けた塩沢が潰されかけ、松田が危険を察知してカバーに入らなくてはならないと自ら認識しながらも、足を動かせなかったシーンがとても印象に残っている。試合後、松田はメインスタンド観客への挨拶を放棄し一人、控え室へ帰ろうとした。チームメイトの呼びかけで踏みとどまり形だけ挨拶はしたものの、その目は虚ろだった。




さすが門番。スコアまで同じできっちりお礼参りを喰らった。JFLはやっぱり甘くない。


でも、松田も、山雅も、こんなもんじゃない。



来週は正念場のゼルビア戦。またアルウィンに行こう。











山雅の今節の相手はV・ファーレン長崎。


山雅より一年早くJFLに昇格した先輩で、Jリーグ準加盟も済ましており昨年の成績は5位。スタジアム改修の関係で昇格は早くても2013年以降となっていることもあり、今年はオフにサブ選手をごっそり放出。放出した選手に大嫌いですとか言われたり最大のスポンサー、ジャパネットたかたに撤退されたり有名サポが急に海外行っちゃったり、開幕前に早くも周囲を騒がせてくれた。

そして爆笑させてもらったのがコレ→http://klm.txt-nifty.com/blog/2011/04/jfl-7d24.html



まさかバキで来るとは・・・チームイメージとキャラが微妙にリンクしている所も良いが・・・山雅は猪狩完至というのが悲しい。こういうのを見ると、世の中には本当に面白い人がいるもんだなあとしみじみ思う。

また、松田の親友、佐藤ユキヒコが所属していることも見逃せない。松田とのセット移籍も現実味を帯びていたのに、実現しなかったのが残念だ。

要注意人物として考えていたのは浪速のゴンでは無く、エースの#13有光だが、個人的に今年、アルテ高崎から移籍してきた#16岩間に注目していた。去年、対山雅の試合で2試合見ただけだけど、クレバーなプレーが多く、パスセンスもいい。いい選手だなあとひそかに思っていたら長崎に移籍してしまった。いきなりキャプテンマーク巻いてたのにはビックリしたが、きっと人格的にも優れているんだろう。

なにはともあれ準加盟対決。昨年、勝てていない相手だけに山雅はぜひともリベンジを果たしたいところ。



【結果】

松本山雅 1-1 V・ファーレン長崎 

 塩沢  45分

 74分  有光



観客5843



【感想】

この日の山雅は3-5-2。メンバー表では4-4-2となっているけど、そんなしょっぱい情報戦意味あるんかといつも疑問に思う。欧州とかJリーグとかでもたまにやってるのを見るから何かしら意図するところはあるんだろう。



木島のお兄さんが京都でやらかしてしまったのでFWに塩沢が今期初先発。長野戦では途中出場でいい動きをしていたので、思いもかけず巡ってきたこのチャンスを生かせるか。そしてトップ下には木村勝太。起用の意図がよくわからないけど、練習を毎日見ている監督・コーチの判断を信じる。


この試合では、まず塩沢の高さ強さが光った。空中戦ではほぼ無敗で競り勝つし、ボールが収まるので、木島兄弟の2トップとはまた違ったサッカーとなった。木村勝太も積極的にボールに絡み、チャンスを作っていた。迎えた45分。コーナーからの混戦で、押し込んだのはマツさん!と思いきやこれは相手に阻まれ、最後に押し込んだのは塩沢。ゴールという最高の形で起用に応える。


で、後半。今井、鉄戸の両ウイングバックが最終ラインに吸収され、実質5バック状態に。一般的に言われる、3-5-2の布陣を敷いた時に一番やってはいけない形を取ってしまい、手薄になった中盤で警戒していた#16岩間に自由にプレーさせてしまう。


その後、長崎の攻撃を凌ぐも74分、相手GKを起点とした見事な速攻から飯田がペナルティエリア内で#13有光を倒してしまう。スタンドから見ている分にはボールに触っているように見えていたのだが判定はPK。飯田曰くあれはファウルだったようだが、どうもアルウィンでの判定に納得がいかないことが多いのは山雅寄りで観戦しているからだろうか。


いずれにしろ有光がシュートに行くには角度が無かったし、味方のカバーがいた状況だけに飯田のミス。痛恨のPK献上だった。ただ、これまでの飯田のチームへの貢献度を考えたら責める気には全くなれない。その後の奇跡のヘディングでの失点阻止もあったことだし。次節以降も山雅の砦として期待しています。


結局このPKを決められ1-1のドロー。佐川印刷戦に引き続き勝ち点1を積み上げるに留まった。




それにしても昨期から長崎戦の失点は全てPK。有光も毎回キッチリ決めるし、何か、悔しさと、場内一周ウェーブ以外はあまり実りの無い試合だったなあというのが正直な感想。



でも、次節は都田まで遠征に行こう。











山雅の今節の相手はAC長野パルセイロ。

もはや説明不要、山雅と同じく長野県をホームタウンとする宿命のライバルとの信州ダービー。

個人的に今回は内容は二の次で、結果だけが求められる試合だと思っていた。

一足先にJFL昇格を果たしたクラブとして、実力の差を見せなければならない。県内の企業に対してどちらが投資に値するクラブなのか証明しなければならない。そして何より県民に対してどちらが長野県でいちばんサッカーが強いクラブなのかハッキリ示さなければならない。4月30日、GW最初の土曜日。舞台は整った。



【結果】

松本山雅 2-1 長野パルセイロ 

        4分 土橋

  今井  45分+

 木島弟 90分+



観客11663人!



【感想】

この試合、山雅は3-5-2で臨んだ。

松田を中心に多々良、飯田のCB。須藤、渡辺を中盤の底に配置し、トップ下には北村。2トップは変わらず木島兄弟。相手に合わせて布陣を変えていくらしい。戦術を浸透させていくのが不得意なのにどうしてそういうことをするのかすごく不思議だけど、まあそれはいい。長野は中盤の#5大橋、トップの#10宇野澤が毎回いいプレーをしていて、ここに仕事をされると厳しくなるだろうなあと思って見ていた。あとはヴェルディから来たイケメン向と、ブログでひと騒動起こした富所がどんな感じなのか警戒していた。(結局富所は出番無し。開幕前は結果出していたのになあ)



試合は開始4分いきなり動く。#10宇野澤のヒールでの落としに反応したのは#7土橋。07年山雅を引っ張ったキャプテンが今井のマークを外し強烈なお返し弾をプレゼントしてくれた。土橋は09年県選手権決勝でのPK失敗(→今井のカウンター→鉄戸のFK決勝弾)、10年の県選手権決勝での退場など、山雅との試合のここ一番で絶妙なアシストをしてくれていて、ひそかに山雅が送り込んだスパイなんじゃないかと思っていたんだけど、勘違いだったようですね・・・。

その後は風下に立つ山雅はこれといった攻めの形が作れず、暗雲が立ち込めていた前半終了間際、CKからの落としを須藤がシュート。相手のブロックに阻まれるも、高くあがったボールに今井が反応。すばらしいワンタッチコントロールから強烈なシュート。これが鮮やかに決まり1-1の同点。価値ある同点ゴールで前半を折り返す。



後半は山雅が貫禄を見せた。風上に立ち、鉄戸、飯田あたりが前半は全く無かった大きなサイドチェンジを使うようになるとこれが奏功。フリーでサイドでボールを受けることができるようになり、ペースを掴んでいった。


そして迎えた後半ロスタイム。今井からの縦パスをこの日、トップ下で奮闘していた北村が芸術的な落としを木島弟へ。狙いすましたシュートがゴール右に突き刺さった瞬間、アルウィンが揺れた。10年ホーム最終戦、王者鳥取を沈めた小林陽介のロスタイム弾よりも、09年天皇杯2回戦、レッズを相手に柿本倫明が決めた芸術的ループシュートよりも、その歓声はアルウィンの空に響いた(気がする。)

熱くなったのはその後、長野の決死の攻めを凌ぐ山雅イレブンに降りそそいだ場内一丸の「ONE SOUL」コール。いつも思うんだけど、あの辺のUMの人たちのセンスには脱帽。これからも観客を熱くさせてください。このまま試合は終了。KING OF 信州の称号は今年も無事山雅のものとなった。





この試合の明暗を分けたのは両チームのメンタリティの差だったと思う。

長野の薩川監督が試合後語ったように、残り5分で守備面に優れた#6塚本を投入し、引き分けで良しとした長野と、最後まで勝ちに行った山雅。ホーム/アウェイの絡みでこの試合で目指すところが違うという点はあるものの、この差が結果として明暗を分けたというべきか。

でも、長野の局面局面での連動性、特にサイドの高い位置での攻撃は見ていて迫力もあるし、相変わらず宇野澤は上手いし武蔵野から来た富岡も良い選手だし、中~上位に食い込んできそうな感じだった。

まあ、とにかく勝ててよかったよかった。