東日本大震災の影響で一ヶ月以上開幕が遅れた第13回日本フットボールリーグ。



山雅の開幕戦の相手はブラウブリッツ秋田。昨年のベストイレブンに選ばれたJFL無双、だけどJ2未満の強力FW松田正俊を擁し、オフには元Jリーガー、そして元山雅戦士の川田を補強し、前評判が高いチーム。



一方山雅は元日本代表選手・松田直樹を取締役の三顧の礼をもって獲得に成功。加えて渡辺匠、木島良輔・片山真人・塩沢勝吾など元Jを中心に一部でJFLでは反則級と評される補強を行い、事実上、Jリーグ加盟への最後の条件となったJFL4位以内を目指す。



シーズン開始前の山雅の状況は決して良いものとは言えなかったと思う。J2相手のTMではそこそこの結果を残したりもしていたけど、宮崎キャンプでは大学生相手に5-0の大敗を喫したり、現地組からの報告では「攻撃の形が見えない」という声が多かった。



吉澤監督が開幕までにチームを作り上げることができない事は過去3年を見ていれば誰でも容易に想像ができた。でも、今年はコーチ2人体制だし、開幕まで1ヵ月時間ができた。今年こそは開幕ダッシュいけるんじゃないかとすごくすごく期待していた。




そして迎えた試合当日。

山雅は4-4-2。

注目の松田はDMFとして出場。

GKの先発争いを制したのは大卒新人白井。

秋田のサイドに張り出した3トップに対抗してサイドバックの今井・鉄戸を守備に専念させる布陣。

中盤はテクニックの高いメンバーを揃え、守備に難のある#14川田のところを狙い目に、須藤を前に配置。2トップは木島兄弟。パワフルかつスピードのある突破で得点を狙う。


【結果】


松本山雅 1-2 ブラウブリッツ秋田  

     

木島弟   31分

       61分  比嘉

       88分  松田


観客6319人


【感想】

前半と後半で違うチームを見ているかと思った。


前半を見て思ったのは、「”勝つ”ためのチームを作ってきたな」ということ。ホルダーに対し厳しいプレッシャーをかけ、ボールを奪ったら手数をかけずに前線へ送り、木島兄弟の突破力とキープ力を生かして得点を狙う。

この日のうれしい誤算は、木島兄弟破壊力ありすぎwということだった。何でもないフィードが一気に得点チャンスに変わる様を見ていて、こんなチームと対戦するの嫌だなあ・・・としみじみ思った。

そして、もう一つのうれしい誤算は、TM相手との落差があったということ。J2チームとのTMを見ていたせいか、この日の秋田のプレスに怖さを感じず、J2相手では決してできなかった、アタッキングサードでの前を向いてのプレーが数多く見られた。得点は木島弟の1点に留まったものの後半もこの調子で行けば危なげなく勝てるんじゃないのとかなり上機嫌でいたのだが・・・


後半は酷かった。須藤・弦巻・松田の足が止まり始めると#4畑田を中心に中盤を制圧され、両サイドに張る#8比嘉と#7眞行寺を起点にチャンスを作られるようになった。そして61分には比嘉の見事な個人技で失点すると、迎えた88分、かつての山雅戦士#14川田のコーナーキックからこの日飯田、多々良の両CBがほとんど完璧に押さえていた#10松田正俊に豪快にヘッドを決められジ・エンド。その前に副審の明らかな誤審もあり、非常に悔やまれる失点だった。




開幕戦で逆転負けという、かなり残念な結果だったけど、それほど落ちこんでいないのは同じことを繰り返してもう4年目ということもあるんだろうけど、前半の出来が頭に残っているからだと思う。リアリズムに徹したあのサッカーは見ていて決して美しくは無い。けれど、強く、確実にJ頁をめざして登っていく山雅の可能性を見せてくれたように思う。吉澤監督がブレずにあのサッカーを突き詰めていけば4位以内は決して難しくないはず。過去3年間、迷走を続けてきた吉澤監督だけに正直まだ不安の方が大きいけど・・・


また来週もアルウィンに行こう。











本当に(いろんな意味で)すごい人が来た。


言わずと知れた2002年W杯メンバー。フラット3の一角を担い、史上初の決勝トーナメント進出に貢献。Fマリノスで16年間プレーし、ミスターマリノスとして愛された男。リーグ最終戦、試合後のFマリノス社長の挨拶は彼の解雇に対するサポーターの抗議の「ナオキ」コールでかき消された。

監督とケンカして合宿から帰っちゃうし、あと試合中に相手に向かって泣きながら「攻めてこいよ!!」って叫んだこともあった


広告効果という面ではすでに年棒分の働きはしている。各種メディアがこぞって取り上げ(TBSの映像の使いまわしはすごかったですね)天皇杯でレッズに勝った時以上に「山雅」の露出効果があった。今期、平均観客動員数7000人を目指す山雅として、広報面ではこれ以上ない補強だったと思う。


肝心のプレー面だけど・・・正直現段階では微妙な気がする。シーズン前のTMを5試合ほど見ていて思ったけど、ぜんぜん本気を出していなかった。CB、MF両方で使われていたけど、確かに、時折ものすごく鋭い読みで相手の攻撃の芽を摘むほかは、さしてインパクトのあるプレーをしていなかった。唯一の例外は横浜FCとのTM。尊敬するカズ相手とあって、気合の入りまくったプレーをしていた。彼に実力を出させるにはそれ相応の舞台が必要ということか・・・


Fマリノス時代の彼が、シーズン開幕までにどういう風にコンディションを上げていくのか知らないから下手なことは言えないけど、開幕後もこの状態のプレーだったらSAGAWAの#10山根あたりを(ついでに#29御給、#9中村元もつけて一人年棒600万×3人!ダメ?)強奪したほうが良かったんじゃないかと思う。

現状ではコーチングやチームの雰囲気の引き締め、経験の伝承など、メンタル面での活躍がメインになっている気がする。


昨季、JFLのMVPに輝き、ガイナーレ鳥取を優勝・昇格に導いた服部年宏のように、山雅のJ昇格の象徴となれるか。闘争人、頼む、Jに連れてってくれ。いや、ください。