南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。

 

今回は、「ビワコオオナマズは映るかな?」と、言うお話です。

 

琵琶湖の調査に参加して早いもので間もなく2年。年に数回、ROVを潜航させたりソナーで探査したりと、いろいろな研究を行ってきました。

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しかし、これらはとても専門性の高い装置なので、なかなか学生実習で扱うのは難しい。

 

あまり他の大学では無い実習かもしれませんが、船を使った実習のある大学や高校では、生徒が主体となって実験や観測を行います。

↑ 琵琶湖での学生実験(採水観測)の様子

 

そこで、もっと手軽に湖の底を見れる装置が作れないか?と言うことで、研究室にあった材料を組み合わせて簡易式の吊り下げカメラを作ってみました。

↑ 簡易式吊り下げ式カメラ

 

構造はいたって簡単。水深200m耐圧のカメラ容器と投光器を付けてワイヤーで湖底まで潜らせていきます。

 

ただ、水の流れでくるくる回ってしまったり、軽くて浮いてしまったりするのを防ぐ工夫をしてあります。

 

船には観測用のワイヤーとウインチが付いており、これを使って装置を上げ下げします。

 

しかし、ワイヤー自体には繰り出した長さの目安の印がないため、何m繰り出したか?は、滑車に付いているアナログ式の計測器(線長計)を見ながら深度を調整します。

 

 

↑ 舷側のクレーンと線長計

 

目的の調査地点の深度は魚群探知機で見ることが出来ます。

この場所下矢印は、水深が85.5mなので、装置が湖底に激突しないよう線長計を見ながら湖底の2~3m手前からゆっくりと下降させていきます。

 

装置がまっすぐ降りてるかどうかも魚群探知機で確認できます。下写真の左側、ピーっと伸びる1本の線がワイヤーの様子です。

 

↑ 魚群探知機に映るワイヤーの様子

 

滋賀県立大の船では水深100mの湖底まで概ね5~6分で到達します。

 

さて、ビワコオオナマズは映るのか?!こちらの映像をどうぞ!

 

と、言う結果になりました。(笑)

 

映像を見て頂いて気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、水深50m付近から急激に暗くなり、水深100mでは真っ暗でした。

 

キレイな海であれば水深100mでも薄っすら明るいのですが、琵琶湖は海と様子が違っていることに気付きます。

 

琵琶湖にはまだまだ未知の環境が広がっていそうです。今後の調査に乞うご期待!