南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。

 

今回は「水産高校生が開発した水中ロボットで見る鹿児島の海」がテーマです。

 

前回のブログでお伝えした、鹿児島水産高校生がゼロから水中ロボットを開発して、かごしま水族館のイルカ水路で実験をした続報です。

 

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このイルカ水路での実験の際に、実は別の水中ロボットや水中カメラを入れて、さまざまな角度から撮影を行っていました。その映像が鹿児島から届きましたのでご紹介します!

 

まずはROVの着水・潜入シーンから。

ご覧の通り、片手で持てる大きさ・重さで、小型のボートに載せて運用することが出来ます。

 

 

 

これは災害発生時にはとても有効的で、大型船舶が入港できないような場所や他の船舶が使えない状況でも、小型のボートがあれば運用できるメリットがあります。

 

続いて、開発したROVを他のROVで撮影したシーン。

 

 

海底のガレキの様子を調査中で、途中で光る緑色のライトは「シートレーザー」と呼ばれるもので、2本のレーザーを照射して対象物の大きさを計測するのに使います。

 

このROVを高校生がゼロから作った!ってのは凄くないでしょうか?もちろん、カメラやレーザーは市販品ですが、制御基板やスラスター(推進器)、コントローラーに至るまで、全て手作りです。

 

水産高校の凄いところは、船舶の機関などに関する学習を通して、こうした水中機器のノウハウを有していて、それを授業の中で取り扱っている点です。さらに、生徒は溶接や旋盤も扱えるため、ちょっとした加工もお手の物。まさに手に職です!

 

ちなみに、このROVを撮影したもう1台のROVも水産高校生が作った物です。

こちらはCQ出版から発売されている「ROV-TRJ01」という、キラキラ国産キラキラの水中ロボットキットを使っています。

 

このキット、実は当研究室が監修しており、もちろん、基板も自作する内容になっています。高校生がROVを作るに当たり、何から手を付けて良いか分からない!と言うことで、このキットで基礎を学びました。

 

右矢印CQ出版 水中ロボットキット「ROV-TRJ01」

 

今後、日本でも水中ロボット教育が盛んになることが予想され、水産高校をはじめ、本学・東京海洋大学でも水中ロボットに関する授業を行っています。

 

日本政府の目指す海洋技術者1万人に貢献できるよう、人材育成に取り組んでいきます!