こうして、今の生活になじんでくると、なんだか寂しいような気がしないでもない。
そう考えると、どうやらわしは、この厄介な姪どもの世話を焼くのも案外嫌いではなかったのだろう。
落ち着いてそんな事を考える事ができるようになったのも実に良いことだが、世の中良いことばかりが続くわけではない。
ある人物の登場によって、事態はより複雑になっていくのだ。
その人物とはわしの従兄弟である。
その名を滋野茂(しげのしげる)といい、わしらはシゲと呼んでいる。
この父方の従兄弟は自称作家で、なんでもエロい作品を請負で書いているらしい。
だが、どうやらたいしたギャラを貰っているわけでもなく、今はアルバイトもせずに付き合っている女に食わせてもらっているらしい。
世間的に見れば典型的なダメ男だ。いわゆる『ヒモ』というヤツである。
しかし、この男はわしから見ても外見は悪くない。
やや赤みがかった髪は、ラフではあるがだらしなくは見えない。
鼻筋も綺麗に通ったその顔立ちは、正直に言えばよくテレビで見る男性アイドルなんぞよりもはるかに良い顔をしている。
身長も高く、わしとそれほどの違いはない。いや、むしろわしより少し高いくらいである。
そして、既にメタボなわしと違い(´Д`)奴は線の細い、モデルのような体形をしているのだ。
一つ残念な事を言えば、シゲの奴は足が短かった。
わしらは中学校まで同じ学校に行っていたのだが、身体測定の時に、身長がほとんど変わらないにもかかわらず、奴の方がわしより14cmも座高が高かったのである。
身長に対するわしの座高が、半分をやや越える程度であったことを考えれば、さほど足が長いわけでもないわしよりそれだけ足が短いという事になる。
随分派手に短足だという何よりの証明だ。
関係ないが、今どき座高を測る学校なんてあるのだろうか。
「ほう。そいつぁいいな。」
三年ぶりに会ったシゲと、仕事の休憩時間に職場にほど近いカフェで話をした時に、自然とお互いの近況の話になった。
で、その時にわしが、母方の姪と妙な共同生活をしていると言った時の奴の反応がそれであった。
なんでも、奴が今世話になっている女、つまり同棲中の彼女なのだが、その彼女が仕事の都合でわしの住んでいる島に転勤になったんだそうだ。
そこで、広島市の郊外にあるマンションから通うのは大変なので、島内に引っ越すことを考えていたというのだ。
わしの腹の中に、イヤな予感が蠢いたのは当然のことだろう。
「そこに俺らも住ませてくれよ。あっこの家から職場が近いらしいんだ。」
予想通りの言葉を吐くシゲを見ながら、わしは少し考えた。
今の家の使用状況をみると、離れにシゲとその彼女に住んでもらえばおそらく問題はない。
その離れには母屋とは別にトイレと台所があることだし、台所に関して言えば、彼女はちゃんと家事もできる人らしいので、もし本当にウチに来るのであれば、食費の事を考えればわしらと一緒に食事をする方が良いのではないだろうか。
しかし、問題は姪どもがそれを承知するかどうかだろう。
というのは、シゲの奴は親戚筋ではあまり好かれていないのだ。
まあ、前述の通りの典型的なダメ男なのだから、体面を気にする田舎の親戚達からすればやっこさんの存在は頭の痛い問題の一つとも言えなくもない。
また、人間もわりと軽薄なため、世代の近い親戚もわし以外とはあまり交流が無いのだ。
とりわけ、沙織はシゲの事を嫌っている節がある。わしはその時あまり良い返事ができなかった。

初心者の始めての一本からプロユースの逸品までっ!
そう考えると、どうやらわしは、この厄介な姪どもの世話を焼くのも案外嫌いではなかったのだろう。
落ち着いてそんな事を考える事ができるようになったのも実に良いことだが、世の中良いことばかりが続くわけではない。
ある人物の登場によって、事態はより複雑になっていくのだ。
その人物とはわしの従兄弟である。
その名を滋野茂(しげのしげる)といい、わしらはシゲと呼んでいる。
この父方の従兄弟は自称作家で、なんでもエロい作品を請負で書いているらしい。
だが、どうやらたいしたギャラを貰っているわけでもなく、今はアルバイトもせずに付き合っている女に食わせてもらっているらしい。
世間的に見れば典型的なダメ男だ。いわゆる『ヒモ』というヤツである。
しかし、この男はわしから見ても外見は悪くない。
やや赤みがかった髪は、ラフではあるがだらしなくは見えない。
鼻筋も綺麗に通ったその顔立ちは、正直に言えばよくテレビで見る男性アイドルなんぞよりもはるかに良い顔をしている。
身長も高く、わしとそれほどの違いはない。いや、むしろわしより少し高いくらいである。
そして、既にメタボなわしと違い(´Д`)奴は線の細い、モデルのような体形をしているのだ。
一つ残念な事を言えば、シゲの奴は足が短かった。
わしらは中学校まで同じ学校に行っていたのだが、身体測定の時に、身長がほとんど変わらないにもかかわらず、奴の方がわしより14cmも座高が高かったのである。
身長に対するわしの座高が、半分をやや越える程度であったことを考えれば、さほど足が長いわけでもないわしよりそれだけ足が短いという事になる。
随分派手に短足だという何よりの証明だ。
関係ないが、今どき座高を測る学校なんてあるのだろうか。
「ほう。そいつぁいいな。」
三年ぶりに会ったシゲと、仕事の休憩時間に職場にほど近いカフェで話をした時に、自然とお互いの近況の話になった。
で、その時にわしが、母方の姪と妙な共同生活をしていると言った時の奴の反応がそれであった。
なんでも、奴が今世話になっている女、つまり同棲中の彼女なのだが、その彼女が仕事の都合でわしの住んでいる島に転勤になったんだそうだ。
そこで、広島市の郊外にあるマンションから通うのは大変なので、島内に引っ越すことを考えていたというのだ。
わしの腹の中に、イヤな予感が蠢いたのは当然のことだろう。
「そこに俺らも住ませてくれよ。あっこの家から職場が近いらしいんだ。」
予想通りの言葉を吐くシゲを見ながら、わしは少し考えた。
今の家の使用状況をみると、離れにシゲとその彼女に住んでもらえばおそらく問題はない。
その離れには母屋とは別にトイレと台所があることだし、台所に関して言えば、彼女はちゃんと家事もできる人らしいので、もし本当にウチに来るのであれば、食費の事を考えればわしらと一緒に食事をする方が良いのではないだろうか。
しかし、問題は姪どもがそれを承知するかどうかだろう。
というのは、シゲの奴は親戚筋ではあまり好かれていないのだ。
まあ、前述の通りの典型的なダメ男なのだから、体面を気にする田舎の親戚達からすればやっこさんの存在は頭の痛い問題の一つとも言えなくもない。
また、人間もわりと軽薄なため、世代の近い親戚もわし以外とはあまり交流が無いのだ。
とりわけ、沙織はシゲの事を嫌っている節がある。わしはその時あまり良い返事ができなかった。

初心者の始めての一本からプロユースの逸品までっ!