どうやら僕は対人的な潔癖症らしい

 自分がひどく汚れているように感じていて

 その汚れた手(ココロ)で他人に触れるのを怖れている

 だから手袋をするように

 綺麗なもので自分を覆って他人と接しようとする

 良い人を演じている

 

 千鶴さんの分析は確かに間違いないと思った

 

 まあそこで出してくる案が千鶴さんらしいといえば千鶴さんらしい

 

 いっそのこと自分を消去しちゃえばいいじゃない

 

 

 本当に簡単に言ってくれる

 まるで汚れた物を捨てて新しく買い替えるように

 軽々しく

 

 まあでもそれもありかもしれないと思った

 ずっとずっとこの汚れがコンプレックスになって

 気にし続けるのなら

 

 それでも三十年間ほどのメモリーを消去するのは

 やはりためらいもある

 

 でも今は確かにチャンスだ

 

 自分に関わる全てのストーリーが終了している

 

 ナグミお姉さまは新しい恋に夢中で邪魔をするのは野暮ってものだし

 先生も無事に立ち直って新しい道を歩き出したし

 関わってきたストーリーが全てエンディングを迎えた状態である

 

 フォーマットするにはベストな状態なのだろう

 きっと誰も気づかないまま

 僕は消えられると思う

 

 大体のメインキャストと思われる人にはお別れの挨拶は済ませた

 

 最終日も仕事のようなので今から少しずつケータイを処理したりパソコンを処理したりしていかなくては

 

 少し早いセカンドライフか 笑

 

 こうやって本当に全ての関係を断ち切って

 連絡する手段を失い

 記憶を無くして

 次の人生がスタートして

 

 それでもまた出会える人がいたら

 奇跡というか悪運というか

 

 あと一週間をどう過ごそうか

 何かを残すかと思ったりしたけれど

 何もないなぁ

 最後に誰かに会いたい気もするけれど

 そんな決意が鈍る様な事をする気にもなれないし

 

 やっぱりあそこへ行こうか

 あの京橋の

 あの橋の上で

 

 まるであの日をやり直すように

 

 今度は僕が向こう側に立って

 手を振るのだ

 

 

 

 とりあえず最後の一週間ぐらい

 好き勝手やって

 華々しく

 はじけるように過ごしてみようか