人は本当に噂が好きなんだと思う
そしてそんな噂をうのみにして
知らないところで知らない物語と
僕の知らない僕が出来あがったりしていく
書かれなかった物語があるのだけど
誰も僕と彼女を知らないここでなら書くことができるだろう
彼女はウサギのようにかわいらしい女の子で
イライラや愚痴が蔓延する職場で
いつも幸せそうに笑っていた
最初、僕は尊敬の念から彼女に話しかけた
そしてしばらくして全てを彼女から聞いたのです
彼女は彼氏にお金を貢いでいて
彼氏はそのお金で別の女の子と遊んでいたのだと
それを知りながらも彼女は彼のためにと尽くしてきた
彼女もどこかで間違っていると思っていた
でも彼から離れる事が出来なかった
両親にも冷たくされて
ご飯も作ってもらえず家に入れてもらえないこともあった
当然反対した友達はいたけれど
その友達も彼女に愛想をつかして去って行った
それから友達に話すのをやめたらしい
誰も味方がいない中で死すらも考えたけれど
職場の人たちが優しくて
それで彼女は幸せを感じて笑っていたのだと
だから僕は味方でありたいと思った
彼女がお金を全て失い
彼に体を売って稼いでこいと言われたことには
全力で反対したし
連日相談に乗ったりもした
家に帰ることもできず
彼の家には別の女がいて
行き場をなくすことがあった彼女に
合鍵を渡し
自分は夜は夜勤でいないから留守番代りに使ってくれてもいいといった
もっと楽しいことして遊ぶこともできるんだと伝えようとした
まあ結局、彼女を救ったのは同じ大学の先輩だった
ある日かかってきた電話で素敵な人に告白されて悩んでいるといった
僕は勿論、彼を捨ててその人のところへ行くべきだと答えた
そして彼女はその人と幸せになった
だけど月日がたって
その物語の断片だけが曲解されて
変な風に伝わっていることを知りました
僕が彼女をもてあそんでいたことになっていたらしいです
そしてそのことで僕の好きな人が興味ないと言いながらも、妙にそのことを意識したり
噂を信じた女の子が
僕が幸せになった彼女をみて良かったね、とお互い笑顔を交わしたことを
見つめあっててウザい、と裏で話していたり
そういうことを真に受けて
好きな人が僕を信用できなくなって
プレイボーイとかいう妙なイメージを抱かれて
心が離れていくこともありました
世の中というのは本当に
くだらない
あれが恋だったというのなら
それでもいい
そういう意見もあるだろう
ただ何も後悔はしていない
僕は僕で正しいと思うことをした
世の中は確かに
妙に恋愛すること至上主義みたいになっていて
誰を攻略するだとか
とにかく恋人が欲しいだとか
誰が可愛いとか誰がかっこいいとか
そんなもので溢れているけれど
なんでもかんでもそういうメガネでみられるとウンザリする
誰かを大切に思い
その人のために見返りを求めずに手を差し伸べたことを
そういう大切に思う人が多かったことを
まるで誰でもいいから恋人が欲しかったかのように
悪いことをしているように
思われていく世の中です
それが大切に思った人にすらです
だからといって自分が正しいことをしたと
周りに言ってまわるのも違う気がする
大切な人が抱えていた傷をしゃべりまわったり
嫌な思い出を思い起こすようなキッカケを与えたり
そうやって自分の正しさを証明して
誰かにお前は正しいんだと褒めてもらったり
好きな人の信頼を得たとしても
僕は大事な何かを失ってしまう気がする
ならこのレッテルを貼られたまま
信じられないままでいいから
好きになんかなってもらわなくていいから
大事なものを失わないようにしよう
ただの噂が
たったひとつ
好きな人のそばで笑ってお話していたいという
ささやかな願いすら奪ってしまいました
現実はドラマやマンガのように
いかないものです
結局、うまいこと噂をコントロールして
自分の評価だけを気にして
嘘の上手な人間が
いろいろなものを手に入れる世の中なのです
だから僕は
そういう世界そのものを
切り捨てる方を
選んだわけです