ツー。ツー。ツー・・・ブツッ。
電話の途切れる音。
受話器の向こう側の、あなたの匂いがする、空気が
唐突に途切れるのが淋しくて
いつまでもいつまでも、電話を切れずにいました。
最初の何度目かは、数秒すると、
「なんで切らないの?」って吹き出す声が聞こえたけど
三度目には「いい加減にもう切るね」と言って
やっぱり最後には途絶えるんだ。
最後の最後まで優しく。
「もし、会えなくなっちゃったら、どうする?」
「君はきっと、俺よりもっといい男を見つけるんだよ。そしたら、俺のことなんか簡単に忘れる。」
何の躊躇いもなく、あなたはそういうこと言うんだよね。
それは本当にそうなるんだと、信じて疑わないから。
「俺は。」
自分に自信がないんだ。
そりゃ、あなたの勝手だけれど。
あたしがあなたのこと好きなのは、あなたがいい男だからとか、そんなのは全く関係ないこと、分かってて欲しい。
じゃなきゃ、好きになるわけないじゃない?あなたのことなんて。
「俺は。そりゃあ、時々は思い出すよ。君のこと。・・・元気にしてるかな、とか。」
どうでもいいよね。
あたしが元気にしてたって、あなたよりいい男見つけてたって、関係ないよね。
あなたはきっと、あたし以外の女にもそういうこと躊躇いもなく言うんだ。
元気にしてるよ。
何も変わっちゃいない。
受話器の向こう側は、今は空っぽなんだ。
あなたが元気にしてるかなんて、傍に誰かいるなんて、どうでもいいけど、想像してみる。
何も変わっていない、元気で、かわいい彼女がいて、でも時々あたしのこと思い出してみる、あなたの切ない顔。