胸に焼け付きようなロック

透き通った割れ硝子の心

一日の終わりに流れ出す、濁り水

キャンドルに火を灯したように
今も熱く煮えたぎる生への執着

それなのに

視界は目まぐるしく動き
光を反射する
記憶と現実を混同させてしまう
言いたい事を上手く言葉にできない

自分が誰なのか分からない

裸のまま毛布に包まって
朝を迎えた
あの時のように
腸の中で食物も酸素も感情もつっかえる

全てを拒むように

それなのに

蒼い炎のように高く燃える水
さらさらと零れてしまう煌き
きついアルコールの香りに
やられてしまうんだ、ただ、心は
私は。

もう私を脱ぎ捨てたのです。

今はもう誰でもないのです。

自分がトクベツだなんて、当然のように思っていた、
でもそれはもう辞めたのです。

その瞬間から、何もなくなった。
それが平気になった。


今もまだ少し、諦めのつかないことがあったのでした。
それはただ単に、綺麗に、色褪せていくだけで。

まるで、夏が姿を消して
何の違和感もなしに、涼しい風が吹くみたいに。

この夜は長雨。
通り過ぎていくのを見ているだけ。
少し伸びた襟足を、撫でただけ。
つまらないだとか、淋しいだとかは、一切関係ないのです。


だから。
紛れ込む衝動は何てことないと言い聞かせ
差し出そうとしたメッセージを、軽々しく消しました。

あの人はもう過去の人で、
私ももう過去の人で、
こんな夜にふと思い出してしまうのも、何らおかしなことではないのです。

空蝉のような感傷は
風に吹かれれば、そのうち枯れ葉と一緒に
土に還るだけなのです。

当然のように、忘れられていくのです。
真夜中過ぎ。
久々にゆっくりと湯舟にも浸かって
時間をかけてスキンケアもする。
パズルをふたつ解き、溜息。
簡単に食事をつくって食べる。
煙草を一本。猫を撫でてから、ベッドに入る。
あっさりとしたセックス。
ふたりで並んでまた煙草を一本。

ベッドで微睡みながら、ネクタイをしめる彼を眺めていた。
また電話するね。そう言って。

もう九月が終わるんだね。
道理で風が涼し過ぎるわけだ。
新しい時を重ねていってるのは確かなんだけれども。

また会いたくなったりするかな。
わたしは正直かな。
昔よりさっぱりしたのかな。
もう泣きたいなんて思わないし、いつか淋しい夜もある。
もう誰も本気で好きになったりしないんじゃないかな。
そんな気がしてしまって、少し安堵するけれど。
思わず唇を噛み締めたくなる程、現実感のない、九月よ。


ツー。ツー。ツー・・・ブツッ。


電話の途切れる音。

受話器の向こう側の、あなたの匂いがする、空気が
唐突に途切れるのが淋しくて
いつまでもいつまでも、電話を切れずにいました。

最初の何度目かは、数秒すると、
「なんで切らないの?」って吹き出す声が聞こえたけど
三度目には「いい加減にもう切るね」と言って
やっぱり最後には途絶えるんだ。

最後の最後まで優しく。



「もし、会えなくなっちゃったら、どうする?」

「君はきっと、俺よりもっといい男を見つけるんだよ。そしたら、俺のことなんか簡単に忘れる。」

何の躊躇いもなく、あなたはそういうこと言うんだよね。
それは本当にそうなるんだと、信じて疑わないから。

「俺は。」

自分に自信がないんだ。
そりゃ、あなたの勝手だけれど。
あたしがあなたのこと好きなのは、あなたがいい男だからとか、そんなのは全く関係ないこと、分かってて欲しい。
じゃなきゃ、好きになるわけないじゃない?あなたのことなんて。

「俺は。そりゃあ、時々は思い出すよ。君のこと。・・・元気にしてるかな、とか。」



どうでもいいよね。
あたしが元気にしてたって、あなたよりいい男見つけてたって、関係ないよね。
あなたはきっと、あたし以外の女にもそういうこと躊躇いもなく言うんだ。


元気にしてるよ。
何も変わっちゃいない。

受話器の向こう側は、今は空っぽなんだ。


あなたが元気にしてるかなんて、傍に誰かいるなんて、どうでもいいけど、想像してみる。
何も変わっていない、元気で、かわいい彼女がいて、でも時々あたしのこと思い出してみる、あなたの切ない顔。
冴えない毎日を優しく包む
やわらかなリズム、ブルース
潰える芽、退化していく五感
消費するだけの欲望、不必要な感情

底辺から底辺へ這いずり
限界ライン、霞んで

どうでもよくなっていくんだ
どうでもよくなってしまったんだ

欠けた人間性を埋めるピースなら
いくらでもこの手で
鮮烈に、だけど一瞬のうちに消える世界を
まだ美しいと感じられるうちに
切り取って飲み込め

この血に、肉に、感情になって
生きて腐って、また生命に成り代わるなら

まだもっと、強くなれるはず
僕がこんなところまでやって来たのには
ちょっとしたワケがあって
何に対しても無欲そうに見えるらしいのも
きっとそのせいだから
気にすることはないさ
だけど少しだけでも興味があるのなら
広い心で持ってして聞いて欲しいと思う
他人と自分は違うだなんて当たり前のことを
まずは当たり前とは思わないことが大事だ
考えすぎないようにするんだ
何、そう難しいことじゃない
たとえば他人が持っていて当たり前のものが
今の僕には欲しくて欲しくて堪らないものだったり

ワケがあってここにいるんだ
したくてこんなことしてるんじゃない
好きで他人と付き合ってるんじゃない
どんな言葉で説明してもきっとわかりっこないさ


ーーーー
これについてはまた書き直すと思います。約束はできませんが。



信じ合ったり、傷つけ合ったり
そんなんも愛だって思っていた

そんな身勝手な嘘
一緒にいれば淋しさを感じないなんて
飽くまでそんな気がしているだけで
一人が楽なのが現実だよ

薄っぺらい人間関係に悩んだりするのは
自分自身が薄っぺらい人間だからさ
無邪気な顔で笑うから
その奥に隠れる悲しみにさえ
触れてみたいと思うんだよ
i need to be myself
わかるかな
そんなことも忘れそうになる

涼しげな横顔
まだ簡単には打ち明けられない

わかってはくれないのかも
それでもいいのかも
わざと邪魔になるようなところにギターをそっと立てかけて
電気を消した
泣いている人がいた
見ないふりをした

理解なんかされなくていいと思ったんだ
ひどくばかばかしいように思えたんだ
それでもう二度と選ばなくなったんだ
楽しそうに笑っていてくれれば、それで

会えない日が続くと淋しいと思うようにした
それで満たされるならいいじゃないか

夜は寒いから
言葉じゃないから
それならば
朝が来るまで

せめて
風が吹かない
真夏の午後
ここにはもう
だれもいないよ

オレンジ色の光
ゆらゆら揺れてきらめく
バスタブが満たされるのを待つ
どうかやわらかな匂いだけ

身体と同じ温度
沈んでいくから
まだ中身はあるんだね
何も感じなくなったのに

かなしいよ。
文字に触れる
指先が追う
私の好きなのはここだよ

どこに行けば会える?
いま、どんな暮らしをしている?
まだ愛するひとは傍にいる?
私を憶えている?

いまも探しているよ
心の奥底では
あなたと繋がる場所を
いつも身体の中に、隠しているよ