その後のMCは
「次の2曲は、恋人との別れとかではなく、本当のお別れの歌なんですね。
このライブをするにあたって、これは入れないほうがいいと私は言ったんですけど・・・プロデューサーの廣瀬さんが、(大声で)え!?ええ!?入れないんですか!!!入れるでしょう!!!と強くおっしゃいまして(笑)
千の風になってなんですけれども。
この歌はたとえなくなっても、そばにいるよ。千の風になっているからね。という歌ですけれども。
年末の紅白で、輪島に行かせて頂いたんですけれども。ご覧になった方はいらっしゃいますか?(大拍手)
みなさま観ていただけたようでありがとうございます。
その被災地でお客様にも入っていただいて歌わせて頂いたんですね。
それでアトラクと言いまして、本番の能登はいらんかいねの前に1曲、終わってからももう1曲歌わせて頂いたんですけれども。
その本番前に歌わせていただいたときに、少し皆様ともお話しさせていただきまして。
あの地震からちょうど1年経つという前日が大晦日でしたから、1年間色々な想いで過ごされてきた皆様に、とてもがんばってください。なんて言えないですから。1年間頑張ってこられて大変な思いをされてきた皆様です。逆に私のほうががんばってね。と言われて元気をいただいて帰ってきたんですけれども。
輪島に限らず、今はもう、本当にいつ何があってもおかしくないという状況で。
みなさんも色々なことがあると思います。
私自身も、ここ数年で母と弟とお別れすることになりました。
でも、みなさまもご経験があると思いますが、あ、蝶々が飛んできた。母が来てくれたのかな。セミが鳴いている。弟かな?そんな風にふとした瞬間にそばに感じるんですよね。
千の風になってはそういったあちらに行ってしまった人もそばにいるからね。そして、こちら側のひとも大丈夫。頑張っているからね。という歌ですので、歌わせていただきます。
もう1曲はダウンタウンブギウギバンドの「身も心も」です。」
こんな感じでした。
ほぼアカペラで歌いだした「千の風になって」は澄み切ったお声がやさしくて、リリーフランキーさん曰く、冬美ちゃんの歌声は語尾が微笑んでいるから、悲しい内容の歌でもやさしく心に寄り添ってくれる。という話を思い出しながら聴きました。
もともとが秋川雅史さんのオペラ風の歌唱の印象がある歌なので(私的にはず~~~っと前から冬美ちゃんバージョンの印象しかないんですけども)この歌を声量で歌い上げる歌手の方も多いと思います。
でも、冬美ちゃんの、特に今回の想いびとのアレンジでの千の風になっては、しずかにやさしく歌というより言葉を届けてくれるような歌です。
きっと何度も聴いたことのある歌でも、今回のライブではじめてそういう詞・歌だったのか。と改めて知った方が多いのではないかと思います。
特に素晴らしかったのが
♪秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
夜は星になって あなたを見守る♪
のところです。
詞も美しいですが、それをあの澄んだお声で本当に天からの声を授かって伝えてくださっているような、さすが女神を生業としている冬美ちゃんの歌唱でした。
誰の心にも、押し付けないからこそ沁みる歌。本当にこの歌には「私って歌うまいでしょ~~~」みたいな部分が少しでも見えたら心のガードが鉄になる。って感じがするので、冬美ちゃんが歌ってくれると言葉通りにスッと沁みて温かくなる。そう思いました。
歌い方の話しだけではなく、冬美ちゃん自身が本当にそう思っている、信じている、感じているからこそ、こんなにスッと感じられるのだと思います。
以前、中村雅俊さんと明治座での公演中に歌のトークのときに冬美ちゃんの近くを小さな虫が飛んでいて、雅俊さんがそれを払おうとしたときに冬美ちゃんが「あ!殺さないで!誰かかもしれない」みたいなことをおっしゃって雅俊さんを止めたことがありました。
そのときは雅俊さんも驚いていましたが、千の風になってをあのように表現できるのは、歌声や表現に加えて、冬美ちゃんご自身の心の清らかさと感受性の素晴らしさもとても大きいと感じました。
廣瀬さん、猛プッシュでセトリに入れていただき、ありがとうございました♪
そして「身も心も」が凄い!!!!
正直、この歌をアルバムで初めて聴いたときは男性主人公とも気づかず、急に「俺」が出てきてビックリしたくらい。
その後インタビューを聴いたり読んだりして、永遠の別れの瞬間の歌なのか。と思いましたが、直接的な歌詞があるわけではありません。
その悲痛な想いがLIVEバージョンでは胸を切り裂かれるような衝撃として歌われました。
熱唱です。絶唱かも。
ドラムの迫力もあって、あまり普段の歌唱では使わない表現方法で、歌声で、どんどん心をえぐられていくような歌唱でした。
素晴らしかったです!!!!!
歌い終えて、「はぁ。もう、この歌は身が削られるというか・・・はぁ・・・」とおっしゃって、たぶんまた乾杯したと思います。
CDと一番印象というか迫力が違ったのは「身も心も」だったんじゃないかなぁ。と思います。
次に続く。