高校一年の女子高生の独白という形で物語は進む。
普段から親友とずっと一緒に行動している。お互いの顔を見て話して笑って勉強して、いつも一緒。他の女子が彼氏といるのをみて「彼氏欲しいねー」とか言いあっている。
ある日の昼休みに突然隣のクラスの幼馴染Aが告白してきた。びっくりして何も考えられず答えられず、とりあえず一週間待ってもらう。放課後、校庭を歩きながら親友は興奮していろいろ尋ねてくるが、本人は言葉少な。どうしていいやら困惑している。正門付近にくると同じ中学だったまた一年先輩の男子Bが待ち伏せして告白してきた。どうやら告白騒動を聞きつけて慌てて自分も告白してきたらしい。降ればどしゃぶり、頭が真っ白になってやはり返事を一週間待ってもらうことにした。
帰宅の道を並んで歩きながら、親友も言葉が少なくなる。「…どっちにするの?」「…分かんない」「だよね」「…うん」そして眠れない夜。
翌日、学校で親友がいろんな情報を聞きまわってきたが、決断には至らない。Aとは幼馴染で気心が知れているが最近はあまり話をしていない。お互いの家族は知り合いだし、一緒にいると楽だとは思う。先輩を選んでおばさん達とぎくしゃくするのは嬉しくはない。Bは一つ上の先輩でかっこいいし頭もいい。同級生と比べると断然頼りがいがある。こちらを選ぶと私の株も上がる気がするが、同性の敵を増やすような気がする。というか、すでに2年の女子から睨まれてる気がする。
「どっちを選ぶの?」「どっちを選んだらいいと思う?」「私にも分からない」先輩の良さ、幼馴染の良さ、メリットやデメリットを二人で話すがまったく決められない。
眠れない夜を幾夜も過ごし授業中に居眠りするありさま。少しやせた。喜んだ。
いよいよ明日返事をしないといけないというその晩、去年まで同じ高校に通っていた兄に思い切って相談してみた。優秀な成績で生徒会長もしていた自慢の兄は、黙って最後まで話を聞いた。「で、兄貴はどっちを選んだらいいと思う?」
少し間があって「そうかーお前も彼氏とか言うようになったかぁ」「兄貴なんかいっぱい女連れてるじゃん」「あれはみんな大学のサークル友達」「え~」笑
「おれはAもBもそれほど知らないから一般論として言うぞ」「二択で悩んだら第三の道を探せ、だ」そういって立ち上がり、頭をぽんぽんしてリビングを出ていった。頭を抱えて「二択で悩んだら第三の道を探せ?どういうこと??」
翌朝、「どっちにするか決めた?」と親友。じっと目を見るがうまく返事が出来ない。授業中もずっと考え事をして過ごす。放課後、後者の裏で待っているAとB。嫌がる親友の腕を引っ張るようにして立会人として一緒にきてもらう。並んで待つ二人の前に立って大きく深呼吸をする。どちらが選ばれるのか、手に汗を握るAとB。
少しの間のあと「ごめんなさい」と大きな声で言い、ブンと音がする勢いで頭を下げた。びっくりするABと親友。「私、この一週間よーく考えてみた。で、選べないことが分かった」「だから選ばないことにしたの」「いま一番大切なのは親友。だから二人とも付き合えません。ごめんなさい」もう一度音がする勢いで頭を下げ、あっけにとられている二人を置いて親友の肘をつかんで歩き去る。
校舎の陰に二人が見えなくなってから「ちょっと、それでいいの?二人とも人気の男子だよ。彼氏欲しいっていってたじゃない」「うん、でもね、私はいまあなたと一緒に過ごすのがすごく楽しいの。親友もそうじゃない?」「どちらかを選ばないといけないと思ってこの一週間胃が痛くなる思いをしたけど、選ばないという選択もあるのだとようやく気づいたの。おかしいかな、親友は迷惑だった?」
「…実をいうと、私一人取り残されて、独りぼっちになるような気がして怖かった」「正直に言う、私…すごくホッとした」顔を見合わせて笑う二人。
翌日もなにもなかったように笑って話す二人。数日経って、いつの間にか告白騒動も無かったような雰囲気になった。今日も二人は笑って青春の一日を過ごしている。
というお話。