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中学では真面目であったが、それなりに目立っていた。






なぜかと言うと、中学の鞄は男子はキャンバス地の肩掛け鞄か手提げの革鞄。







革鞄は高価なので、殆どの生徒が肩掛け。







革鞄は女子だけだったが、私は家が貧乏にもかかわらず、社長さんが入学祝いに革鞄を買ってくれた為に、男子私一人革鞄であった。







また、学帽なるものがあったが、かぶらなくても良いとの事で全員かぶっていなかったが、私は父の戦争映画好きが高じて、海軍士官用軍帽に憧れていた為、学帽をかぶって学校へ行った。


                (映画 連合艦隊の金田賢一さん)



当然、その他大勢と違う人間は目を付けられる。






特に私の学校は都内でも1、2を争う程の不良校で、毎日先生は校内の不良を追っかけるのに必死であった。
我々、普通の生徒は自習で放ったらかしの状態がかなりあった。







ある日の放課後、学校帰りに近所の駄菓子屋に長ラン、ボンタンの先輩がゲームをやっていた。







私は海軍士官ばりに、学帽の先端を尖らせ浅くかぶり、背筋を伸ばし、手には革鞄で詰襟はキチッと止め、今にも敬礼でもしそうな出で立ちで帰路に向かっていた。







「おい!おまえ、待てよ!」







「おまえ、一人で学帽かぶってんだなぁ。おもしれぇなぁ。ちょっと、そこで立ってろよ。」







と声を掛けてきた。








私も言うがままに立ち止まった。








不良の先輩はロケット花火を手に近ずいてきて、ロケット花火の棒を折って地面に置いた。







私に向かって火をつけると、音を立てて向かって来ると思いきや、棒を折ってしまったので真っ直ぐには飛ばず、有ろう事か不良の先輩に向かって飛んでしまった。






不良の先輩はロケット花火が向かってきたので大急ぎで逃げてしまった。







その間に私は帰路についた。







先輩の頭の出来が余り優れてなくて良かった。