1型2型を問わず糖尿病において厳格な血糖コントロールを行うことが合併症の発症と進展の阻止に有効であるということが海外や日本の臨床試験により明らかになっています(DCCT/Kumamoto Study)。一方、厳格な血糖コントロールによって低血糖は起きやすくなります。すなわち、糖尿病における薬物治療では低血糖は避けては通れない道なのであります。

低血糖を恐れるあまり過食にはしり、血糖コントロールが悪化してしまう。そのようなことのないようにアプローチすることがわれわれの腕のみせどころではないのでしょうか?


低血糖
それはどんな時におこるのか?

原因はなんだろう?
不適切な食事摂取量不足・摂取時間のずれによる・運動量の増加による・薬剤の量過剰・吸収促進あるいは遅延・腎機能低下・アルコール大量摂取


低血糖対策に知っておきたい知識
インスリン注射の種類による低血糖のおこりやすい時間が異なる
インスリン注射部位と吸収速度
      腹部>上腕>臀部>大腿部の順で速くなる
      入浴・運動でも吸収速度は速まる
低血糖症状は血糖の急激な降下により起こる。緩徐な低下は症状が出難い
低血糖後のリバウンド現象の理解と対処
      低血糖が遅延すると血糖を上昇させるホルモンが分泌され逆に高血糖になる
アルコールと低血糖との関係
      大量のアルコール摂取により肝臓で糖が作られなくなる(糖新生の阻害)
      食前のアルコールは低血糖をきたしやすいが、
      食後のアルコールは逆に高血糖をきたしやすい



薬剤別にみた低血糖の特徴と対処法


経口血糖降下薬には低血糖を起こす薬と単独では起こさない薬がある!?

インスリンをどんどん出す薬・・・SU薬(ダオニール・アマリールなど)グリニド系(グルファストなど)
→単独でも低血糖の危険がある
→遅延性低血糖に注意が必要(SU薬)


インスリンのはたらきを良くする薬・・・BG薬(ジベトスBなど)・チアゾリン系(アクトス)
→単独で低血糖は起こさない
→インスリン・SU薬との併用時に注意が必要


糖の吸収を遅らせる薬・・・α-GI(ベイスンなど)
→単独で低血糖は起こさない
→インスリン・SU薬との併用時に注意が必要
→低血糖時は吸収の良いブドウ糖を服用させる(他の砂糖だと吸収が遅れる)



インスリン注射は製剤による低血糖の起こしやすい時間帯がある!?
ピークの時間や持続時間を知っておくとよい

効き目が早いインスリン・・・超速効型(ノボラピッドなど)・速効型(ノボリンRなど)
→注射後1~3時間に起きやすい
→立ち上がりが早く抜けるのも早い
→インスリンを打つ時間が早かった時に起こりやすい


効き目が長いインスリン・・・中間型(ノボリンNなど)・遅効型(ランタスなど)
→次の食事前に起きやすい(空腹時)
→効き目が長いので遅延性低血糖に注意(22~24時間)
→食事の時間が遅れたときに起こりやすい


混ざったタイプのインスリン・・・混合型(ノボリン30Rなど)・二相性(ノボラピッド30ミックスなど)
→効き目が短い作用と長い作用の両方に注意が必要


低血糖を起こした後は・・・

低血糖には理由があります。低血糖を起こした後には原因をよく検討して究明することにより取り除くことが大切です。
(食事時間の調節・血糖測定により日常の血糖の動きを把握する・運動前の捕食など)
低血糖は放置しておくと危険な状態になることがありますが、早い段階で正しい処置をすれば心配はいりません。
低血糖は恐れずに今後に生かす経験ととらえましょう
糖尿病という長い道を歩いていく際の手助け足助けになるのではと思います



    道

 この道を行けば
 どうなるものか
 危ぶむなかれ
 危ぶめば道はなし
 踏み出せば
 その一足が道となり
 その一足が道となる
 迷わず行けよ
 行けばわかるさ

ナノパス 「05年度グッドデザイン大賞」(日本産業デザイン振興会主催)に25日、医療機器のテルモの世界一細いインスリン用注射針「ナノパス33」が選ばれた。



インスリンの針は非常に細い


チョット前までは30、31Gが主流でした(G:数が大きいほど細い)

一般の注射で細いのが28Gなのに比較すると、それでもすごく細い

さらにここ1~2年で32G、33Gとさらに細くなった!
僕も自分に刺してみました

プスリ・・・感想は


「おぉ!痛くない!?」


32G,33Gのものは細くなっただけではなく

注入する時の圧力を軽減するために先のほうを細くしている(テーパー構造)

うわさでは表面も磨かれているのだという

これはスゲー技術らしい


インスリンはすごくいい薬なのに残念ながら注射しかない(日本では?)

針の痛みへの恐怖や手技のわずらわしさがインスリン導入の大きな壁になっている


針の痛みはこのような技術の進歩でどんどん少なくなっています

ただ痛みへの恐怖は針を刺す前に感じる気持ちである

このような素晴らしい機器があるということを無駄にしないよう


僕たちは

今のインスリン注射は痛みはほとんどない(*)ということ上手く紹介することが必要です



どんな感じか1回刺してみましょうか?←強引かな?



(*)インスリン注射がほとんど痛くない理由

インスリンを刺す場所(腹部・肩・太ももなど)は指先と違い痛みの神経が点々とまばらに存在している。そのため神経にあたらなければ痛みはほとんどない。ただ運悪く神経に針が刺さるとビリビリしびれるように痛いです(5回に1回くらいある)

内服薬でなかなか血糖が下がらない

インスリン注射を始めましょう

と医師にいわれたら、どう思うでしょうか


「はい、わかりました」

と即答するひとはほとんどいないと思います


はじめたらやめられないと思うと怖い

針が痛そうでいや

めんどくさそう

なにがなんでもいや

などなど


実際は、一生続けなければいけないわけではないし、針もほとんど痛くないし、操作は簡単でさほどめんどくさくはないのです

こういったちょっとした誤解によるものはやってみれば後から解消されるのであまり問題にはなりませんが、

将来の不安や生活の制限など、わかっちゃいるけど受け入れられない気持ちがふつふつわいてくるのです


DAWN STUDY(Diabetes Attitudes, Wishes and Needs 2000-2001年)によるとインスリン非使用2型糖尿病患者にインスリンに対する考えは、「インスリンを使うと糖尿病が良くなる」と答えた患者はわずか26%で、「インスリンを始めなければならないと思うと不安である」と答えた方は60%であった


石井先生(天理よろづ相談所病院)らの調査によると

注射が嫌だという注射への「否定的な感情」(寄与率25%)、そしてインスリンを打つようになったら終わりだと思う「病気への絶望感」(15%)、注射を打つ「恥ずかしさ」(8%)、外食や旅行ができない「活動制限」(7%)というものがあるとのこと


実際この導入に際する心理的不安を取り除くことがとても大事で

インスリンを導入する事によるメリットを時間をかけ十分説明し、納得して同意を得なければインスリン導入はできない


逆に「インスリンを導入する事によるメリットが十分説明されて、それに納得同意することができればインスリン導入の90%が終わったと判断できる」とも言われている


作用の不足したインスリンを直接補うこの治療法は生理的で効果的であり

インスリンで血糖が良くなれば予後が良いということを

実例をまじえゆっくり丁寧に説明する

相手の不安な気持ちを共感する


それがインスリン療法を始める前にしなければいけないことです

メタボリックシンドロームとは

内臓肥満、インスリン抵抗性、低HDLコレステロール血症(善玉コレステロール不足)、高中性脂肪血症、高血圧などの動脈硬化の原因になる様々な原因が重なり合って、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を起こしやすい状態を指します


平成17年4月8日日本内科学会にて、日本人のためのメタボリックシンドロームの診断基準が発表されました

 ウエストが男性で85 cm以上、女性で90 cm以上あることに加え、

 次の3項目のうち2つ以上が該当する場合
 1.収縮期血圧が130mmHg以上か拡張期血圧が85mmHg以上

 2.空腹時の血糖値が110mg/dl以上

 3.中性脂肪が150mg/dl以上か、HDLコレステロールが40mg/dl未満


内臓脂肪が溜まっていて、それに加え血圧・血糖・脂質のうち2つ以上に軽度以上の異常がある場合は、ひとつひとつは病気となっていなくても

重複することで動脈硬化の危険性が非常に高くなる(30倍も)のです


これはすなわち

健康診断でギリギリセーフの値が3つ以上あるひとは

実はセーフではなくむしろリスクが高いということです


この診断基準は内臓脂肪の蓄積が基盤になっています

内臓脂肪が体にわるさをするのです

まずは食事と運動で体重(ウエスト周り)をしぼることが必要でしょう

幸い

内臓脂肪は皮下脂肪に比べ溜まりやすいが

消費もしやすい脂肪なのです



このおなかもまだ間に合う!

糖尿病と診断されているので

もちろん血糖が高い!


さてどの薬をつかおうか?


ちょっと待って!


・インスリン非依存状態で、十分な食事・運動療法を2~4ヶ月間行ってもよい血糖コントロールが得られない場合、経口血糖降下薬の適応となる

・食事・運動がおろそかになれば経口血糖降下薬の効果は低下するので、経口血糖降下薬開始後も、食事・運動の実践状況に常に注意を払う必要がある

(科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドラインより)


というように、

まずは食事・運動療法がありきで薬物療法はその補助である

薬物治療中も食事・運動の継続が必要である

ということを医療者側と患者側両者が十分納得しておく必要があるのです





・・・となっていますが

実際は、食事・運動が不十分でも血糖が高いからやむえず薬を使う場合がほとんどだと思います

多くの場合

本人の食事・運動への意識を高めるのは非常に難しい

最初は良くても血糖が良くなると怠けてくるということもある



どうしたらいいのでしょうか?

もちろん十人十色で患者さん一人一人で対応は違うと思う



食事・運動療法がどんだけ効果があるかを具体的に説明する

というのはどうでしょうか


例えば、こんなエビデンスがあります

糖尿病予備軍の人(522人)を無作為に2つのグループに分け、そのうち1つのグループを生活習慣介入群として体重減少、脂肪摂取減少、運動増加などを目標とした個人指導を行いました

結果4年間での糖尿病発症率は生活習慣介入群がなんと58%も低かったのです

(2001年 Finnish Diabetes Prevention Stady)


すごいですね

約60%も発症を抑えられる薬なんて今現在この世に存在しません

食事・運動療法は非常に効果がある薬(それ以上のもの)だということでしょう


実際にSMBG をして食事運動で血糖がどれだけ下がるか試してみるというのも効果的でしょう(逆に食べるとどれだけ上がるかを知ったほうがいいのかも)



これですこしは気持ちが変わる?


いえいえそんな簡単ではないでしょう


それでも

食事・運動療法の徹底は非常に困難です

薬はただ飲むだけだけど

食事・運動療法は自分の意思が必要ですから

わかっちゃいるけどできないということも多いです


ならば、

できるところを探す

どんな小さな事でもできることを見つけてそこから始めるのが良いでしょう

管理栄養士さ・理学療法士さん看護師さんにも相談して

具体的な方法が見つけられるさらにいいです


避けなきゃいけないのは

薬を飲めば食事・運動はしなくてもいいんだ

薬で血糖が下がった分だけ食べていいんだ

と思うことです


人はがんばった分だけ得したい(楽したい)と思うようです





がんばったご褒美は「健康」である


納得できるかな?

糖尿病の療養指導にはエンパワーメントが重要である


エンパワーメントとは権限を与えるという意味である

患者自身の判断で自己管理にあたることができるように患者それぞれの能力を引き出す事ができるように指導する事をエンパワーメント法と呼んでいる

科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドラインより


すなわち

患者さんが自分で「この食事が悪いのならこうしよう」などと判断できるようにすること

それは患者さんが本来持っている権限(能力)をひきだすことで、医療者側が押し付けるものではない


薬物療法でいうなら

単に薬品名、作用機序、副作用を説明するだけではエンパワーはされない

どのようにすれば効果的な薬物治療ができるかを一緒に考える

たとえば

「効果的な運動でインスリンの単位を減らせるかもしれない」などの方法を自分自身で導き出せるようにすることがエンパワーメントを意識した薬物療法ではないかと考えられる


エンパワーするための基本は心理アプローチにあり、

患者が参加できるようにする療養指導は時間や労力よりむしろ人間関係である



人の気持ちってわからない

医療者側がいくら熱心にレクチャーしてもあまり効果がなかったり

なにげない一言で急にやる気を出したりと

正解はどこにも無いのではないでしょうか




ある患者さんは非常に頑固で

勝手にインスリンの単位を変えて低血糖になっていた

久し振りに会ったら

ドリンクのカロリー表示を見ながら低血糖の対処していることを

うれしそうに僕に語った

糖尿病の飲み薬はいくつかに分類されます

1.スルホニル尿素薬(SU薬)

2.ビグアナイド薬(BG薬)

3.α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

4.チアゾリン誘導体

5.速効性インスリン分泌促進薬


さて

どのくすりがいいのでしょうか?


海外での大規模臨床試験UKPDSではSU薬、BG薬、インスリンが治療薬として用いられているが、これらの治療法では血糖コントロールが改善すれば、細小血管障害のリスクは各群ともに同等に減少した

(科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドラインより)


すなわち

どの治療方法でも血糖がコントロールできれば細小血管障害のリスクは下がる

ということが予想できるということらいしい


ただ、それぞれの薬に長所短所がある

強力な血糖降下作用(SU)や食後血糖降下作用(α-GI、速効性インスリン分泌促進薬)、インスリン抵抗性の改善作用(BG薬、チアゾリン誘導体)などの効果

あるいは、体重増加や膵臓の疲弊、消化器症状などの症状

何でもいいってわけではない


血糖をさげることが最大の目標で

何をつかってさげるかを選択する

コレが腕のみせどころ


といえるのではないでしょうか?



Q インスリン注射ははじめたら一生続けなければいけない?

Ans  そんなことはありません


僕の少ない経験ですが、この誤解多いです

一生続けなければいけない方も多いですが、インスリンをやめれる方もいます

むしろ最近は短期間だけインスリンを打つことで膵臓を休ませて、その後飲み薬にもどす治療もおこなわれています(糖毒性の解除)


そもそも糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます(正確には他にも妊娠糖尿病などがあります)

1型糖尿病はインスリンがでなくなる病気

 (何らかの理由で膵臓のβ細胞が破壊され絶対的インスリンの不足がおきる)

2型糖尿病はインスリンはあるけど少なくしか出なかったりとか効きにくかったりする病気

 (遺伝・生活習慣などの理由で相対的にインスリンの作用不全がおきる)


このうち1型糖尿病はインスリン治療が必要です

(他にも糖尿病合併妊娠、糖尿病性昏睡ではインスリンの使用が絶対適応となる)

しかし、2型糖尿病は生存のためにインスリンが必要となることはほとんどないと言われています


そして

日本人の95%以上2型糖尿病です


「2型糖尿病はインスリンはあるけど少なくしか出なかったりとか効きにくかったりする病気」

ってことは

インスリンをだしてくれる膵臓を元気にする

インスリンを効きやすい体質にする

ことができれば

一度インスリン療法がはじまってもまたインスリンを注射しなくてもいい状態になれるのです


ただし、そのためには

食事・運動療法を適確におこなうこと

指示されたインスリン注射を正しくおこなうこと

が絶対必要です


特にインスリンを早期に導入したほうが

インスリン注射から離脱できる可能性が高いようです


今は

「インスリンは早くはじめて早くやめる」

そんな時代です



僕の少ない経験ですが

一度インスリンをはじめると最初は嫌がっていたひとでも


「調子が良いのでインスリンはやめたくない」


と言う方が多いです




関連

注射 短期間で終わる例も

血糖自己測定のことを英語ではself-monitoring of blood glucose(SMBG)と言います

あたまの部分にセルフモニタリングと付きますね


糖尿病はセルケアが大事

いくらまわりがあーだこーだ言っても

自分で管理しないと良くならないのです


糖尿病自身は痛くもかゆくもない病気

ただ血糖が高いだけ

でもそれを放置すると合併症になる確立があがり非常に予後が悪いのです


血糖が高いかどうかは血糖を測らなければわかりません


自分で血糖を測る事ができれば

糖尿病に対する意識が高まり治療に前向きに向かうことができます


今は操作も非常に簡単で痛みの少ない機械が発売されています

インスリンを打っている方は保険が適応になります


まずは血糖を測る事それが糖尿病の治療です

うちの病院では糖尿病教室をやってます


糖尿病教室とは集団教育のプログラムのひとつで

1人の講師に対し複数の患者が講義をうける


うちは月曜~金曜の13時から外来の待合室のとなりでやっている

料金は無料で誰でも参加可能

講師は医師・薬剤師・看護師・管理栄養士・検査技師・理学療法士と各専門分野にわかれている

ちなみに僕も薬剤師担当分野をうけもって毎週水・金に登場しています


他の職種のはなしって意外と聞く機会がすくないので

一週間すべて聞くと僕にとってもすごく勉強になる


昼休みの眠い目をこすりながら

あんぱんに含まれる砂糖の量に驚いている



おやつの砂糖量

いちごのショートケーキ1個 29.4
あんぱん1個 29
クリームソーダー1杯 20
カステラ50㌘ 19
果汁飲料50%オレンジ250ML 18
チョコ・チョコレート1枚38㌘ 18
カスタードプリン1個 10.2
シュークリーム1個 6.2さ
ドーナツ1個 6.2
ビスケット20㌘ 2.4
アイスクリーム1個 7.2
ミニカップゼリー2個 4.1