花枝は嘉彦を追うように、家族を連れて神戸に引越した。
嘉彦も自分を神戸まで追いかけて来てくれた花枝を愛おしく思い
二人は今まで以上に深い仲になっていくのでした。
聡は花枝と子供たちの為に慣れもしない新しい土地で職を探します。
「家族に生活に対する不安な気持ちを持たせてはいけない」
「この3人を守るのは自分なんだ」
自分で自分を奮立たせ、越した日から工事現場の仕事をはじめ
昼も夜も仕事に明け暮れる毎日を送っていました。
一方、花枝は大好きな嘉彦にいつでも逢える時間もあり
聡が稼ぐお金が田舎に居る頃とは段違いの収入になった事もあり
とても充実した生活を送ることが出来ました。
そしてその時は突然来たのです。
母の花枝は聡が仕事に出かけると、毎日のように派手な化粧に
派手な洋服で嘉彦に逢う為に出かけていました。
その間は長女「美津子」が弟の「克己」の子守をしていました。
ご飯の準備すらしない母親の代わりに、前の日の残りのご飯を
おにぎりにしたり気が向いた時に母から貰えるお小遣いでパンを買って
半分ずつして食べ、聡か花枝の帰りをおとなしく待っているのでした。
その日はお天気がよく、美津子は克己を連れて公園に行っていました。
美津子が克己をブランコに乗せていると
「みっちゃん!かぁくん♪ちょっとおいで~」
聞いた事も無い位の上機嫌な声で花枝は「おいでおいで」をしました。
子供達はいつもより少し早い母の帰りに喜び、走りよって行きました。
「みっちゃん、いつもかぁくんの面倒見てくれてありがとうね」
ご機嫌な花枝は走り寄って来る美津子にそういい、側に来た二人を
思いっきり抱きしめてあげました。
久しぶりの母の暖かさに美津子も克己もとても嬉しく思っていると
「二人とも、お腹空いているでしょ?そこのお店でご飯食べようか」
花枝は二人の手を取り、食堂に足を向けました。
外食なんて久しぶりだった子供達はとてもウキウキした気持ちで
お店に向かいました。
「お待たせしちゃってごめんね」
花枝はお店に入るなり奥に座る男性に声をかけました。
美津子と克己が不思議そうに見つめていると、花枝はにっこり笑って
「みっちゃん。かぁくん。お母さんのお友達の嘉彦さんだよ」
花枝と嘉彦。
そして美津子の運命の歯車までもが狂いだした瞬間でした。
