うなぎへの思い | 鰻に魅せられて

鰻に魅せられて

~鰻(うなぎ)に関する話題をメインに書き綴ったこだわりブログ~ 
☆うな重を食べるとそこには笑顔が生まれる☆

3年連続のシラスウナギ大不漁が濃厚となってきた。日本では漁が終了するまであと1ヶ月を切り、僅かな期待を込めて“濃厚となってきた”という書き方をさせていただいた。

活鰻相場は、ここ2年のシラスウナギ不漁による供給不安から、すでに中国産筆頭に高騰、今なお予断を許さない状況だ。蒲焼店も断腸の思いで値上げを実施、あるいはうなぎ規格の変更、新メニューの開発など、相場高騰への対応策をとっている。しかし、未だ天井の見えぬ相場展開から“青息吐息”の状況で、ここ最近は蒲焼店に関わる噂として、“問屋への支払いの遅れ”、あるいは“休業、そして廃業”の話も聞かれはじめた。昨今のシラスウナギ大不漁の報道に「うなぎが食べられる無くなるのは寂しい」、そんな声さえ聞かれる。

▼ちなみに“うなぎを食べる“歴史を紐解けば、古くは日本最古の和歌集”万葉集“にも出ている『石麻呂に吾物申す夏痩せに良しといふ物ぞ鰻漁り食せ』(大伴家持)そして、平賀源内によって”土用の丑の日”にうなぎを食べる習慣が根づいた事はあまりにも有名だ。これは今なお、続く習慣の一つで、夏の土用丑はどこの鰻屋も書き入れ時で、まさにお祭り騒ぎと言える賑わいを見せる。
 そんな日本を代表するうなぎという伝統食文化は、3年連続のシラスウナギ不漁が濃厚な事から危機に立たされており、本来、日本人が食べている日本種とはまた別の、異種ウナギに食指を伸ばす動きも実際に見られている。

▼ところで、私事で恐縮だが先日、同窓会をとある老舗蒲焼専門店で行った。“うなぎ人気の根強さ“を裏付ける様に、15人もの同級生が集まり、その日は美味しく、楽しいお酒を飲む事が出来た。久しぶりの再会という懐かしさ、またお酒の席という事もあり終始、笑いの絶えない会となった。その一方で、楽しそうに談笑する皆をみながら、『昔から人を惹き付けるうなぎのパワーってすごいな』と、改めて感心している自分がいた。同窓会に出席した面々からは”ウナギがこんなに美味しいなんて!子供の頃にちゃんと食べさせないとダメなんだね!“、“日本の食文化を堪能出来るのがうなぎの魅力”、“うなぎは老若男女問わず、すべての年齢層にとっての『ごちそう』、あらゆる人を幸せにする食べ物“、”蓋を開ける時の何ともいえないあの瞬間!“、”うなぎを食べるときは特別なとき“、”カルビ焼きがしんどい年頃も、白焼き、蒲焼は意外と食べられた“、“江戸時代から受け継がれた食べ方で今も楽しめる、歴史ある店は間違いないね”、“素材の良さと職人のこだわりが顕著に出る料理。食べて美味しいだけにとどまらず、食べた後のうなぎパワーの効果も期待出来る”、“食欲ない時、お腹が空いた時,暑い時、寒い時もいつでも美味しい”など、うれしくなるコメントばかりだ。

▼うなぎ業界を取り巻く状況は、未だかつて無いほど厳しい。これまでのように“何とかなれば”良いのだが、正直、かなり厳しいと言わざるを得ない。目下、シラスウナギ大不漁についても、“資源枯渇”、“シラスウナギの日本来遊時期のずれ?”“ウナギの産卵場調査の影響?”“海洋環境の影響?”その他諸々の話は聞かれるが、本当のところは誰にもわからない。ただ、明確なのは、原因がはっきりしていない事、それだけだ。
 今、起きている現実を冷静に受け止め、次に何をするべきか、やれるのか、進んでいった方がより建設的だと思う。これほどまでに、人を魅了するうなぎの凄さ、存在感を実感しながら、意地でもこの日本の伝統食文化を次代に継承出来ればと思う。