その他の論点(判決効及び弁論主義以外)

 

1.送達(の瑕疵)A

百選(4版基準)39、40、116の事案と処理方法を確認しておく。時系列的には116→39→40の順。現在の判例法理では各事案がどのように処理されることになるのか各自で検討し、まとめノートを作っておく。

 

2.当事者確定B

学説は色々あるが、実質的表示説と規範分類説だけマスターしておけば良い。基本は実質的表示説。気合いであてはめて妥当な結論を導く。どうしてもおかしな結論になるときは、緊急避難として規範分類説を使う。規範分類説はどんな結論でも導くことができる。融通無碍なところが同説の弱点でもあるが、緊急避難のときは便利。

 

3.任意的訴訟担当A

そろそろ出てもおかしくない。百選に載っているのは建設関係のJVの事案。この事案は多分出ない。解説に載っている労働組合の事案のように、判例とは逆の結論になるような事案が出題される可能性が高いと思われる。

 

4.法律上の争訟C

個人的には、ヤマと言い続けてきた論点。出題されるとすれば事案に多少の俗っぽさが必要。百選の解説に載っている霊感商法事案は有力候補だが、代表役員等の選解任、寄付金の返還請求等も念のためフォローしておくべき。出題形式を工夫しないとほとんどの受験生に0点を付けなくてはいけなくなるため、会話文の中で理論構成を明示してくれるはず。事前に知識を入れておきたい人は山本和彦「民事訴訟法の基本問題」、中野貞一郎「民事訴訟法の論点Ⅰ」の該当部分を参照。

 

5.確認の利益A

遺産確認の訴えは①出題実績がなく、②内容的にも面白く(判旨を読んだだけでは、遺産確認の訴え=相続共有状態確認の訴えであって、「相続共有」概念を用いない民法の後片付けをしていることが読み取りにくい)、③複雑訴訟とも繋げやすい、という点で出題可能性がかなり高いと思われる。

 

6.反対相殺B

少しマニアックだが、ストレートには問い難い訴訟行為論が出せる点で出題可能性はそれなり。判旨を読んでも意味がわからないので調査官解説を読むこと。「抗弁優先説は不合理であり、再抗弁優先説は訴訟上の相殺の法的性質から合理的に説明することができず、意思表示説及び相殺適状説は理論的問題がある上に実務上煩瑣に耐えず、また、相殺の効力発生の優劣について決定基準たり得ない場合が予想されるという重大な問題もある。」という調査官の説明が決定版であって、意味不明な判旨をコピペするのでは全く足りない。

出題パターンは以下2つ。①立場と結論を指定するパターン(○○の結論を導いてください。●●という理論構成ならいけると思います的なやつ)、②反対相殺が訴訟上の相殺ではなく実体法上の相殺のパターン。

 

7.占有の訴えと本件の訴え、形式的形成訴訟A

前者は百選の解説で言及されている東京地判S45.4.16も確認しておく。予備的反訴とつなげて出題される可能性もある。予備的反訴の復習もしておく。

後者は境界確定訴訟が典型例。まずは百選の解説に載っている判例を全て押さえる。注意すべき点は以下2つ。①境界確定は形式的形成訴訟(実質非訟)にもかかわらず136条の例外として所有権確認(訴訟事件)と併合可能、②境界確定でも当事者適格は本案と違って弁論主義が妥当する。

 

8.重複訴訟B

出題可能性は必ずしも高くないが念のため。出るとしたら相殺の抗弁と絡めたパターンだが、知識問題になりがちでどう捻れば面白い問題になるか想像がつかない。

 

9.処分権主義A

立退料関係は出題可能性が高いと思われる。重点講義の該当部分を確認しておくのが良いと思われる。

 

10.複雑訴訟A

独当:全論点を確認しておく。特に和解等の効力との絡みは要注意

補参:補助参加の利益を正面から問う問題は多分でない。補助参加の利益は広く認めるというコンセンサスがあるから、つまらない問題にしかならない。沖縄レンタカー事案(百選)は変わり種として問われるかもしれないが、判例に批判的なトーンで出題されると予想される。参加的効力の除外事由等の条文操作が一番出題可能性が高いと思われる。

必要的共同訴訟:固有も類似も出題可能性はそれなりだが、対策してどうなるものでもないので基礎知識の精度を高める。例えば、固有該当性の判断において、どのような事案でも「訴訟法的観点」を一般論で書いている人は基礎知識の精度に問題あり。

主観的追加的併合:何度出てもおかしくない。問題の核心は裁判所の併合分離裁量(152Ⅰ)。主観的追加的併合肯定説は同裁量を裁判所から剥奪しようとする。判例は弱い理由付けをたくさん組み合わせて合わせ技1本で主観的追加的併合を否定した。同判例の理由付け自体を否定するのは困難なので、判例と異なる結論を導くときは必要性を強調する議論を展開する。

主観的予備的併合:出題可能性は低いと思われる。41条訴訟とのすみ分けも可能と議論されているところではあるが(主観的予備的併合には40条が準用されることとし、39条ルールを採用した41条訴訟とは異なる機能を担わせることで)、少しマニアックな議論に立ち入ることになる。この議論に立ち入らないのであれば、「判例は否定しており41条が新設されたので必要性もない」で終わってしまうので多分出ない。

(予備的)反訴:出題可能性は高い。反訴は条文見ればわかるが、予備的反訴は念のため復習しておく。特に、判例が付している留保の意味をよく理解しておく。

 

11.訴訟承継B

書き方は適格承継でも紛争の主体たる地位の移転でも良い。訴訟承継論の文脈における「適格」は紛争の主体たる地位と大差ない意味で使われており言葉遊びに過ぎない。物権的請求→物権的請求、債権的請求→物権的請求のパターンは要注意(弁論終結後の承継人でも同様)。訴訟承継の条文は極めてわかりにくいのであらかじめ素読しておく。

 

12.控訴B

控訴の利益(形式的不服説とその例外で説明するか上野説で説明するかは趣味の問題。いずれにせよ問題となる事案類型は共通しており、そこさえ押さえておけば問題ない)、不利益変更禁止原則、利益変更禁止原則を復習しておく。なお、上告は出ないので安心して良い!

 

13.再審C

出題実績がなく、理論的には極めて重要な問題なので、出題可能性は一定程度あると思われる。特に送達の瑕疵と絡めて出題されることが予想される。再審事由は現場で条文確認すれば良い。条文の位置だけは把握しておく。再審の原告適格との関係では117は出てもおかしくない。118は再審1発目の出題としてはテクニカル過ぎるので気にしなくて良い。