判決効関係

 

1.既判力

⑴客観的範囲(114Ⅱ含む)A

客観的範囲外とした上で信義則等の適用を問う問題が出る可能性が高い。

⑵主観的範囲B

百選のアペンディックスに載っている所持者を類推した判例に注意。当該判例は客観的範囲も拡張しており出題のネタにしやすいと思われる。弁論終結後の承継人から、①承継がない事案(不法占拠の連鎖事案)、②不動産の登記移転と占有が弁論終結時をまたいで行われている事案が問われる可能性も。29条団体や持分会社との関係で構成員への既判力拡張が問われる可能性も否定できないがややマイナー過ぎると思われる。

⑶時的限界C

基本的にはパターン処理でつまらない問題にしかならない。出題可能性は高くないと思われるが添え物ポジションで出題される可能性あり。無効、解除、取消、相殺、建物買取請求、白地補充のどれが出ても対処できるようにしておく。議論されているのは上記6つだが、まだ見ぬ(というか、私が知らない)形成権行使の遮断の有無が問われる可能性も否定できない。上記6つのどれに寄せるかというアプローチになると思われる。このパターンだと一転して面白い問題に。

⑷確定判決の騙取B

理論的には極めて面白い問題。普通にいけば既判力が作用する事案でそれをひっくり返す問題は司法試験的に大好物。マイナー論点っぽさはあるものの出題可能性はそれなり。

2.既判力に準ずる効力C

判例がある限定承認の事案はまだ出題されていない。学説上議論されている事案類型(建物収去退去、引換給付)は出題されてしまったので、これらの事案の再登板よりは限定承認の事案が出題される可能性の方が高いと思われる。

3.信義則A

客観的範囲からの信義則というパターンでの出題可能性が高い。事案類型を絞るのは困難だが、争点効を否定した判例、S51の判例(20年以上経って蒸し返すのは云々と言ったやつ)はマークしておく。近時の判例だと最高裁判所第二小法廷令和元年7月5日判決(LEX/DB25570328)は要注意(原審判決の時期を考えれば今年の出題もありうる)。攻撃防御方法に着目した判断手法は要件事実との相性も良いので出題可能性が高い。

4.参加的効力B

カラオケボックス事件は何度出てもおかしくない。また、除外事由等の条文操作が問われる可能性もある。他方、補助参加の利益が正面から問われることは考えにくい。緩やかに肯定する方向でコンセンサスが形成されつつあるため。ただし、沖縄のレンタカー云々の判例は単発ネタとして出題可能性あり。

5.反射効B

H23で出題されたパターン(反射効説VS明文なき既判力の主観的範囲の拡張説)は再登板の可能性あり。反射効が問題となるパターン(保証人事例、一般債権者事例、連帯債務事例、持分会社事例が主たる例)は暗記しておく。百選で畑瑞穂が解説している判例は事案が特殊だが、出題されないとも言い切れない。重点講義の説明が詳細なので確認しておいた方が安心。