モルヌピラビルについて前に書きましたが、その時点では承認審議書類を見つけられませんでした。その後、審議報告書が公開されましたので追加情報です。

 

審議書類他、同意説明文書などのURLを添付します。

 

医薬品医療機器総合機構より

資料1:令和3年12月24日モルヌピラビル審議結果報告書

 

資料2:「妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、又は妊娠する可能性のある女性」

 

資料3:患者さん、そのご家族の方へ

 

資料4:同意説明文書

 

私は専門家では無いので、見当違いかもしれませんが、審査報告書を読んでみて感じたことは、この薬は効果があるのか疑問であるということです。

 

プラセボとの比較では効果は数%の様ですし、表10を見るとウイルス量については、ほぼ変わらないようです。そして、妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投与について、以下の点を踏まえ禁忌とすることが適切と考える。とありました。

 

資料2では、妊娠している女性又は妊娠している可能性のある女性には投与できません。と一番最初に書いてありますので、女性は注意が必要です。

 

さらに、この薬は動物実験で、催奇形性などが認められております。と続きます。

前回書いたブログで心配された事が、そのまま書いてありました。前回のブログに詳細に書いてありますので、ぜひ読んでみてください。

 

(前回のブログより)

11月の会議で、政府の健康顧問は、モルヌピラビルとして知られるこの薬の効果が最初に報告されたものよりも効果が低いという情報を検討し、先天性欠損症を引き起こす可能性がある事に加え、それが人間のDNAに突然変異を引き起こす可能性があるという情報を検討しました。

 

我々は、rNHCがFAVおよびRBVをはるかに超えた強力な抗ウイルス活性を有するが、HPRT突然変異誘発アッセイにおいて宿主に対しても変異原性であることを発見した。

 

妊娠中の女性だけではなく、全ての人にとって危ないと思ってしまいます。

 

新型コロナはほとんど重症化しませんし、これから流行するであろうオミクロンはさらに弱毒化されていると思われます。高齢者や基礎疾患があり、感染により命の危険が有る方は、この薬を検討されても良いと思いますが、一般の健康な人がPCR検査で陽性だったということだけで、薬を飲むことはリスクが大きいと思われます

 

ワクチンと同じく、慎重に熟考されることをオススメします。

 

 

以下に審議報告書の一部を転載しますので、是非読んでみてください。

 

II. 提出された資料の概略 
1. 起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等

モルヌピラビル(以下、「本薬」)は、米国の非営利団体であるDrug Innovation Ventures at Emory University(DRIVE), LLCにより創製され、Ridgeback Biotherapeutics LP及びMerck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Incにより開発された。本薬は、生体内で加水分解されN-ヒドロキシシチジン(NHC)となり、細胞内でリン酸化されN-ヒドロキシシチジン5´-三リン酸(NHC-TP)となる。NHC-TPがSARS-CoV-2のRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の基質となり、ウイルス複製過程で新たに合成されるウイルスゲノムの変異割合を増加させ、ウイルス複製を阻害する。

 

β-D - N4-ヒドロキシシチジンは、ウイルスゲノム中に高レベルの突然変異を誘導する強力な抗アルファウイルス化合物である。

 

 

2.1 海外第Ⅱa相試験(MK-4482-006試験<2020年6月~2021年2月>) 
18歳以上のSARS-CoV-2による感染症患者(目標例数172例6))を対象に、本薬の抗ウイルス活性及び安全性を検討することを目的として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験7)が、米国の11施設で実施された。


 

[剤形・含量] 1 カプセル中にモルヌピラビル 200 mg を含有するカプセル剤

※1回に4錠飲むようです。

 

2.2 国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験(MK-4482-002試験<2020年10月~継続中>) 
2.2.1 第Ⅱ相パート(2021年3月データカットオフ) 

18歳以上のSARS-CoV-2による感染症患者[目標例数300例(各群75例)12)]を対象に、本薬の有効性及び安全性を検討することを目的として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が、米国、ロシア、コロンビア等の12カ国82施設で実施された。


有効性について、主要評価項目であるMITT集団における無作為化29日目までの理由を問わない入院16)又は死亡(以下、「イベント」)が認められた被験者の割合は表5のとおりであった。

a)無作為化29日目までの死亡は認められず、イベント発現例は全て入院であった。無作為化29日目の生存状況が不明な場合は非イベントとされた。

 

2.2.2 第Ⅲ相パート(2021年9月データカットオフ、速報値) 
18歳以上のSARS-CoV-2による感染症患者[目標例数1,550例(各群775例)]を対象に、本薬の有効性及び安全性を検討することを目的として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が、コロンビア、ロシア、南アフリカ、米国、日本等の21の国又は地域146施設で実施された。本試験の主な選択・除外基準は表7のとおりであった。

無作為化された775例(本薬群387例、プラセボ群388例)のうち、治験薬が1回以上投与された765例(本薬群386例、プラセボ群379例)が安全性解析対象とされた。安全性解析対象集団のうち、治験薬投与開始前に入院した13例を除く762例(本薬群385例、プラセボ群377例)がMITT集団とされ、有効性解析対象集団とされた。なお、中間解析に日本人は含まれていない。

 

 

 

 

なお、ウイルス量の推移は表 10 のとおりであり、無作為化 3 日目及び投与終了時点(無作為化 5 日目)において本薬群でプラセボ群と比較してウイルス量が低下した。

 

 

3.2 安全性について
日本人における安全性について、国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験(MK-4482-002試験)に組み入れられた日本人8例の情報(2.2.2参照)に加えて、日本人の健康成人を対象とした国内第Ⅰ相試験34)(MK-4482-008試験)(速報値)において、有害事象は単回投与パートの本薬200 mg群1/6例(皮膚炎)、本薬400 mg群1/6例[アミラーゼ増加及びリパーゼ増加各1例(重複あり)]、反復投与パートの本薬400 mg群4/15例(起立性低血圧2例、アミラーゼ増加及び体位性めまい各1例)、本薬800 mg群8/15例[中毒性皮疹 35)3例、血中クレアチンホスホキナーゼ増加2例、起立性頻脈症候群、口内炎、ALT増加、異汗性湿疹及び貨幣状湿疹各1例(重複あり)]、プラセボ群1/10例(ヘモグロビン減少)に認められ、単回投与パートの本薬400 mg群1例(アミラーゼ増加及びリパーゼ増加)、反復投与パートの本薬400 mg群1例(アミラーゼ増加)及び本薬800 mg群5例(中毒性皮疹3例及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加2例)は治験薬との因果関係は否定されなかった。投与中止に至った有害事象は、反復投与パート本薬800 mg群1例(中毒性皮疹)に認められ、重篤な有害事象及び死亡は認められなかった。

 

本剤の安全性について、国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験(MK-4482-002試験)の第Ⅲ相パートは速報値のみが得られていること及び日本人における本剤の投与経験は極めて限られていることから、明確に結論付けることは困難であるものの、臨床試験における有害事象の発現状況(2.1、2.2及び3.2参照)、英国においてConditional Marketing Authorizationが得られていること、米国FDAにおいてEmergency Use Authorizationが申請されAdvisory Committeeにおいて許可勧告されていること等を踏まえると、添付文書において、英国のSUMMARY OF PRODUCT CHARACTERISTICSと同様の注意喚起を行うことに加えて、以下の点について注意喚起を行うことで本剤の安全性リスクは管理可能と考える。また、本剤の日本人における安全性について、製造販売後も引き続き情報収集し、新たな知見が得られた場合には速やかに医療現場に情報提供する必要がある。
 

3.2.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性等への投与について 
妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投与について、以下の点を踏まえ禁忌とすることが適切と考える。
  
・生殖発生毒性試験として、ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験、並びにラット及びウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験が実施され、主な毒性所見として、ラットを用いた胚・胎児発生に関する試験の胎児において、外表、内臓及び骨格奇形、胎児体重低値及び仙椎平均椎骨数低値が認められた。なお、非臨床試験において、本薬及びNHCに遺伝毒性リスクは認められていない。  

・催奇形性に対する無毒性量(本薬500 mg/kg)を投与したときの血漿中NHC曝露量(AUC0-24 h)は、217 µmol・h/L、胚・胎児に対する無毒性量(本薬250 mg/kg)を投与したときの血漿中NHC曝露量(AUC0- 24 h)は58.3 µmol・h/Lであり、当該曝露量は、ヒトに本薬を投与したときの血漿中NHC曝露量(AUC0- 24 h:75.6 μmol・h/L36))と比較してそれぞれ約2.9倍及び約0.8倍であった。  

・臨床試験において妊婦は除外されたため、妊婦への投与に関する安全性情報は得られていないが、非臨床試験成績を踏まえると本薬はヒトに対して、潜在的な催奇形性リスクを有する可能性が考えられること。  

・本邦において、妊婦に対して投与可能なSARS-CoV-2による感染症に対する治療薬が承認されていること。  なお、授乳婦への投与については、本薬を授乳婦へ投与した場合の乳汁移行性は不明であるものの、ラットを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能試験において、新生児発育に対して、本薬曝露の影響が認められないことから、授乳に対する安全性上の懸念は低いと考える。

 

4. 総合評価 
本申請に際し提出された資料を踏まえ、本剤のSARS-CoV-2による感染症に対する有効性は期待でき、安全性については、得られた情報を踏まえて適切に注意喚起を行うことで管理可能と考える。ただし、本申請に際し提出が猶予された資料を踏まえ、改めて本剤の品質、有効性及び安全性について検討する必要がある。  

以上を踏まえ、本剤を特例承認する場合の効能・効果、用法・用量及び承認条件等は、以下のように設定することが適当と考えられる。本品目は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断する。

 

 

過去記事もご覧ください。