最近のMCUが凋落しているようですが、私もシーズン4で観たのは3作品で、シーズン5だと本作が最初になります。
逆にシーズン3は9作品も観ているので、その差は歴然です。
やはりMCUはエンドゲームで終わるべきだったのかもしれません。
それに、そもそもデッドプールはMCUではかったはずです。
あくまでXMENの世界で完結していたはずなのに、本作でその垣根も取っ払ってしまいました。
それの是非はさておき、本作ではメタな発言も含め、今のマーベル作品の低迷が一つのテーマになっています。
デッドプールも中年の憂鬱と抱えていますし、ウルヴァリンも失敗した人生を歩んでいます。
それを面白いと見るか、見苦しいと感じるかは観客次第だと思いますが、私自身は結構苦笑いという感じでした。
笑えるシーンも多く、全体的には楽しめたのですが、やはりどこか鬱屈した空気を感じていたのです。
本作はマルチバースだからこそ出来るネタをふんだんに取り込んでいますが、逆にこの設定が作品世界の質を落としてしまっているようにも思えるのです。

本作のシナリオもどこまでがメタで、どこまでが正史なのかが曖昧でした。
LOGANの世界線との続きになっているようですが、あの世界では別にウルヴァリンは英雄になっている訳ではありません。
なので、あのウルヴァリンを英雄視しているのは、その映画を観ている者達の居る世界なのです。
要するに我々ということになりますが、その辺もコメディだからこそと言えるのかもしれません。
しかし、それをMCUとして組み込んでしまうと、様々な矛盾が生じてしまいます。
などなど、色々考えてしまうと厄介なことになるので、敢えて全て無視した方が良いのかもしれません。
また、物語自体もメタ要素が満載で、今迄で不遇な扱いとなったキャラ達が集合というもので、かなり哀愁が漂うものでした。
なので、素直に久しぶりの登場で喜ぶというより、あの人は今という企画を見るような感覚だったのです。
その辺を全て笑いとして扱っているのもわかるのですが、昔のシリーズを楽しんでいた側からすると複雑な心境にもなりました。
ある意味、スパイダーマン ノーウェイホームのパロディとも言えますが、あの時の感動のようなものは無かったですね。
個人的にはガンビットは結構好きなキャラだけに、いじられ役だったのは残念でした。

色々な意味で、本作を単独の作品として観たと言うよりも、MCUシリーズという現実の状況の上にある作品になっていると思います。
勿論、コメディとしての面白さや、映画としての良さも沢山あるのも事実です。
なので、映画単体だけを観るのなら十分に楽しめる作品になっています。
しかし、どうしてもそれだけで済ませられない背景事情まで透けて見えてしまうのです。
そういう意味では、デッドプールはMCUとは別の系統でも良かったのではとも思うのです。
その方が余計な雑音が無くなって、より純粋に楽しめた気もします。
正直に言ってしまえば、デッドプールという素材を勿体ない使い方をしてしまった気がするのです