ゲキシネも何度か観てきましたが、今年で20周年なんですね。
実際の舞台のチケットは倍率も高く、簡単には買えないものです。
なので、ゲキシネは凄く助かりますね。
もう何度も観ていますが、毎回新たな感動があり満足度はとても高いです。
更に言うと、本作の展開は最初から予想外なもので、最後まで本当に楽しめました。
そしてラストの感動もとても大きかったですね。
未だにこのクオリティの作品が作り続けられていることにも驚きます。
新感線の舞台というのは、ギャグ要素も満載で楽しいものが多いですし、今回も多くの場面で笑わせて頂きました。
その上で本作はかなりダークな世界観の物語になっていると感じました。
大元になっているのは池波正太郎の必殺シリーズだと思いますし、殺しというテーマが根底にあります。
だからこそ、今回はかなりの死傷者が多かったですし、いつもとは違った雰囲気の結末となりました。
それには結構驚いたし、だからこその感動もありました。
大体、長年続いてしまうものというのはどこかでマンネリ化するのが常ですが、新感線の舞台は毎回新たな感動を与えてくれます。
それこそこの劇団の名前の由来でもあるように感じるのです。
今回は事前情報を一切見ずに観たので、主人公が入れ替わるというのが驚きでした。
古田さんが腰の低い半兵衛という役柄なのも意外だったので、それが入れ替わるのは映画「フェイスオフ」を彷彿とさせるものでした。
なので、ダブル主役というのが実に面白かったですね。
また早乙女太一さんの演技も実に見事でした。
出番もアクションシーンも圧倒的に早乙女太一さんの方が多かったので、本当に重要な役回りだったと思います。
最初の入れ替わりでギャグのように見えていたものが、終盤では重大な決断をするようになり、大きな感動へと繋がりました。
この半兵衛という男を見事に演じきった早乙女太一は見事だったと思います。
同時に古田さんの悪役演技も実に見所がありました。
髑髏城の七人でも二役で悪役を演じていましたが、本作の悪逆非道ぶりは凄まじいものがありました。
そして、ラストも予想外の結末を迎え、余韻がかなりありました。
全作見ている訳ではないので個人的な感想にはなりますが、この終わり方は初めてという感じでしたね。
そこには主人公半兵衛の成長という面も含まれています。
人の良いだけが取り柄で、入り婿の先でも人に使われることを受け入れていた彼が窮地に陥り、自らの決断で道を切り開いていきます。
最終的には家族の為に全てを投げうつ覚悟を決めます。
そういう行動を取れる者こそ、真の主人公ものなのだと思えるのです。
上映開始の冒頭で古田新太さん、久保史緒里さん、山本千尋さんの挨拶があるのですが、そこで古田さんに対し「おとっつあん」と声をかけています。
それは役として親子だからそのように呼んだのだろうと理解したのですが、ラストでこの台詞を聞いた時にその言葉の真の意味を理解しました。
それが判った時は凄く感動しました。
この作品はエンタメ時代劇であるのもそうなのですが、しっかりと家族を描く物語にもなっているのです。
更に言うなら、単純な親子の繋がりを描いたものではありません。
その上で真に家族というものがどういうものなのかを描いているのです。
それが判った時には心底感動しましたね。
本作はエンタメとしても一級品ですが、それ以上に深い奥行があり、そこも含めて素晴らしい舞台になっていると思います。
やはり新感線の舞台は特別な輝きがありますね。