ガンダムという作品は多岐に別れていますので、一纏めには出来ないジャンルだと思います。
それでも、やはりガンダムの原点とも言うべき宇宙世紀シリーズは外すことが出来ません。
その比較は避けられないですが、簡潔に言ってしまえば宇宙世紀シリーズは文学作品です。
それに比べると、このSEEDシリーズというのは、純粋なエンタメ作品だと思います。
それくらい本質が異なるので、上下という基準では見ることは出来ません。
それこそ観客の好みで好きな方を観れば良いのです。
勿論私は圧倒的に宇宙世紀シリーズが好みなのですが、かといってSEEDシリーズを否定する気は全くありません。
寧ろ、このシリーズならではの楽しみ方があるので、楽しんで観るのが良いと思っています。

因みに私はSEEDシリーズのDESTENYしか見ていないという変な視聴者です。
そして、キャラクターとしてはシンが好きだったりします。
本作ではひたすらバカキャラになっていましたが、それはそれで良かったのではと思います。
あとルナマリアとイチャイチャするのを楽しむのもアリですね。
恐らく、このシリーズが好きな人というのは、シナリオよりもキャラクターが好きだから見るという人の方が多いのでしょう。
因みに登場するモビルスーツもまたキャラクターの範疇です。
つまり、このシリーズの見所はキャラクターのメロドラマ部分になるのです。
私にはそれ以外の要素は一切、盛り上がれるものが無かったです。

以下、作品として薄いと感じるのは、やはり敵側の説得力です。
これがそもそも脆弱なので、結果的に勧善懲悪になっているのです。
この悪役の言い分は今迄何度も繰り返された理屈であって、目新しさもなく勝利した時のカタルシスも少ないですね。
アクションシーンに関しても、かなり予定調和がありますし、明らかに狙った演出もあり、興ざめする場面もありました。
しかし、それこそ歌舞伎の大見得を切るのと同様に「待ってました」と受け止める人も多いので、決して間違っていると言いたい訳ではないのです。
つまり、本当にファンのニーズをしっかりと把握し、丁度良いバランスで提供しているのです。
そういう意味で、本当にエンタメとして実に良く出来ているとも思ったのです。
つまり、確実にB級映画を目指して、しっかりとB級に仕上げた映画だと思います。
それが興行収入で結果を出していますし、それはガンダムというブランドにとっても良いことだと思うのです。
これからもガンダムというジャンルが発展する為にもこういった方向性も大事なのでしょう。