「人は変われるものだろうか。」

「酒が人間をダメにするのではない。人間は元々ダメだと言うことを教えてくれるものだ。」(立川談志)

これは、酒がアカンようにするのではなく、その人が元々アカン人だと言うことを酒が暴く。と言うことが本意であるようだ。

人間の性格は歳と共に変わるものだろうか。それとも、元々そう言う性格であっただけなのだろうか。

普段あんなに穏やかで温厚な性格だった人が、歳をとったら極端に怒りっぽくなってガンコになる。頑固と言うよりも意固地と言った方がいいのかも知れない。

この意固地になることは、若き日の自分のプライドに固執することなのか。若き日のヒーロー時代への未練なのか。
どっちにしろ、人間なんてそうそう綺麗に生きて行けるものではないのかもしれない。

顔や姿形のルックスは変われども、中身の性格は「三つ子の魂百までも」でなかなか変わるものではないのだろう。

人間、その性格があからさまに表に現すようになるか。密かに内に収められるか。は、無理にいい人を演じて来たヒトが、晩年になってその箍(たが)が外れるからだろうか。
そして、晩年とは古酒の役割を果たしているのかもしれない。

ある熟女へアドバイスしたら気に触ったのか、バンドワゴン(手のひら返し)な攻撃を受けて絶交となってしまった。

親身になってお互いに良好な付き合いをして来たオヤジさんが、仮面ライダーの仮面を外した途端に、変身ーン!して、何故か分からぬが逆鱗に触れたようで、目の敵にされるようになった。

お二人共に長い付き合いであるが、生(なま)の剥き出しの本性を見せつけられる結果となった。
(因みに、私を褒めてくれた御仁は何故かその後、早死にをしてしまっている。)

そして、考えさせられた。

歳をとるとちょっとしたことで箍が外れやすくなる。
人とヒトとの付き合いはどんなに長くても、どんなに気持ちが通じていると思っていても、いや、通じていると甘えているからこそ、適度な距離感をもって接しなければいけない。と・・

とは言え、今更いいヒトになろうなんてどだいムリである。
ボケて他人様を罵倒して顰蹙(ひんしゅく)を買うよりも、今ままで通り自分の心のままに、「いち早く心の動きを察知して、いずれ疎遠の覚悟を決める。」そんな生き方が無難なのかもしれない。

歳をとると言うことは、「過去を引きずったりしない、代わりに心に刻む」そんな箍が弛み、「気に食わぬとも居る者は居るのである。」から、態度と言うものはちょっとしたものだが、大きな違いを生み出す。

我も年寄りなり。
ならば、年寄りの本性の売り言葉には花言葉で、ブーメランを飛ばそうじゃないか。