あんじゅ刺繍店 -3ページ目

あんじゅ刺繍店

「たべもの」「からだ」にかんする詩・エッセイ

でたところは下高井戸までつづいている商店街で、

男のひとがふたりでたって

いるところがまさかパン屋だったなんてしらなかった!

写生のようなつめたい性格のおっきなパンがならぶ

手前のちいさいのは宝石のようで、かえない

かえないから食べられません食べません

食べません

宝石は高いし、主婦のわたしには、かえない

いつしか彼がかってくれる
いつしか彼が、かってくれたら食べようと思います

(にしたって)宝石は食べません

あれは食べられないから

食べられないときめたのはどちらさん?

という話だったけ

ひょっとしたら食べられたとお父さんがいってくれるなら

食べてみようと思います
(かもしれない)

(いずれにしたって)彼か、お父さんか、だれか男のひとがかってくれたら、

食べます

食べてみようという気が

いたします
これを食欲といってしまうのは幻想と
蔑まされるでしょうねえ

ねえ
わたしの食欲はどこに

だれもしらない
そんなのしるわけがない
しるか

しらないんだってって

ここの幻想をぶち破ってくれるのは

あったかいきみのからだ

あったかいきみのからだだと

きみのからだには

エナジーが

つめたくなったわたしのからだをあったかく

もするもんだと

いったけれどお父さんそれはちがう

それはちがうよ

ちがったよ
(いわないで)
もうなにもいわない

いわないのはいえないからじゃなくて

いわない

(いわないで)
いいたくないんだいわない

ほっしないのです

(ほっしないで)
かきたてないのです

(かきたてないで)
かきたてないようにして食べるのです

食べるからです食べられなくなります
食べるそぶりが
(白ける)
つめたくしたのはわたし

このわたしなのだから

わたしはやっぱりほっしているのはつめたい

つめたい、

なんかがある

なんかがある

なんかがある

そう思うのもやっぱりきみらのは幻想です

わたしはなんでもありません

あるのはつめたいをほっしているこのからだ

かたいみとしょっぱいぷちぷちの
ある
もうくだしてしまいますよ