文庫〈創刊30周年を記念して〉

創刊30周年記念ツーリング紀行傑作選
『オートバイの旅』シリーズの発刊
1986年に創刊した、ツーリングマガジン『アウトライダー』。
これまで多くの書き手が〈オートバイの旅〉の魅力を
旅行記にまとめ、誌面でお伝えしてきました。
読者のみなさんからは「もう一度、読みたい」
「本にまとめてほしい」とのラブコールも
多数いただいております。
そこで今回、過去の名作を文庫本として
まとめることにいたしました。
題して、『オートバイの旅』。
(写真多数、オールカラー)
本誌4月号の別冊付録としてお届けするほか、
バイクブロスの雑誌書籍販売サイト「BIKE BOOKS」でも
販売(オリジナルステッカー特装版、本体価格650円+税)。
第一巻には、熊谷達也、山田深夜、石山和男、菅生雅文、
田中昭二、斎藤純の各氏の作品を収録しています。
ご自宅、通勤の電車で、あるいは旅先で、
じっくりとお楽しみください。
そして第二巻以降も、どうぞお楽しみに!
中筋純『かさぶた』
写真家、中筋純の最新写真集。
発行は東邦出版。
先月発売されたばかりのものだ。
早くページをめくりたいと思いながら、
ひとたびめくれば心奪われる、
そう分かっていたので
一心不乱となるべき締切前には
手を出すまいと決めていた。
本日、校了。
ようやくページをめくった。
想像していた通りだった。
1ページ、1ページが、重い。
めくるのに、ずいぶん時間を要する。
突きつけられる一枚一枚の写真と
添えられた一二行の言葉が、
日々あくせくと働き続けることで
あの痛みを忘れようとしてきたのかも
知れない自分に、待ったをかける。
シャッタースピード、
コンマ何秒の世界の
なんと深遠なることか。
この衝撃、若き日に手にした
藤原新也の『メメントモリ』以来。
いや、以上だ。
中筋純がアウトライダーの
ひとりであることを誇りに思う。
今夜は序盤の20ページのみにとどめる。
明日からまた
少しずつ、
心して
ページをめくりたい。