中筋純『かさぶた』
写真家、中筋純の最新写真集。
発行は東邦出版。
先月発売されたばかりのものだ。
早くページをめくりたいと思いながら、
ひとたびめくれば心奪われる、
そう分かっていたので
一心不乱となるべき締切前には
手を出すまいと決めていた。
本日、校了。
ようやくページをめくった。
想像していた通りだった。
1ページ、1ページが、重い。
めくるのに、ずいぶん時間を要する。
突きつけられる一枚一枚の写真と
添えられた一二行の言葉が、
日々あくせくと働き続けることで
あの痛みを忘れようとしてきたのかも
知れない自分に、待ったをかける。
シャッタースピード、
コンマ何秒の世界の
なんと深遠なることか。
この衝撃、若き日に手にした
藤原新也の『メメントモリ』以来。
いや、以上だ。
中筋純がアウトライダーの
ひとりであることを誇りに思う。
今夜は序盤の20ページのみにとどめる。
明日からまた
少しずつ、
心して
ページをめくりたい。