近年、日本企業のM&A(企業の合併、買収)がかなりのペースで増加しています。
その背景には、バブル崩壊後の日本企業のリストラや業界再編がありますが、経営戦略の一環として日本でも定着しています。最近のライブドアとフジテレビのニッポン放送株争奪戦ではTOBという手法が話題になりました。
さて、このTOBとはどのようなものなのでしょうか?
 
■ TOBとは?
 
TOB(ティー・オー・ビー)とは、英語のtake-over bid の頭文字をとった略称で、「株式公開買付」のことです。すなわち、ある企業の株式を大量に取得したい場合に、新聞広告などを使って一定の価格で一定の期間に一定の株数を買い取ることを表明し、不特定多数の株主から一挙に株式を取得する方法のことです。

利点として、市場で大量に株を買うと価格が上昇してしまいますが、TOBは公表した買付価格で買うため、資金計画が容易になります。
又、期限までに買付予定数の株式が集まらなかった場合は、株券を返却してキャンセルすることができますので、買付に失敗した時のリスクを抱えません。
 
 TOB の目的とは?
 
米国では、企業を買収する際の手段として広く利用されていますが、日本では今まで企業が自社株を購入するときに多く使われてきました。
なぜなら、株式買い付けの期間や条件を事前に公表することで、インサイダー取引規制に触れることを回避できるからです。最近では、企業が上場しているグループ会社を完全子会社化するためや、グループ外の企業を傘下に収めるためなどの例が増えています。
 
■ TOB の手続きと流れとは?
 
一般的にTOBをかける企業が代理人となる証券会社を決定し、以下の様に進めていきます。

取締役会で決議、発表

翌日に
●日刊の新聞2紙以上にTOB開始の公告を掲載
●届出書を財務局に提出
●説明書などを株主に配布

TOB開始

買付期間は20日から60日以内(この期間内に売りたい投資家が申し込みをする)

TOB締め切り

翌日に結果を公表
・TOB成功 買付目標株数に達した→株券を売ってくれた株主に代金を支払う
・TOB失敗 買付目標株数に達しなかった→株主に株券を返却
 
 友好的TOBと敵対的TOB
 
同じ買収目的のTOBでも友好的TOBと敵対的TOBでは大きな違いがあります。
友好的なTOBとは買収される企業が買収に協力的なケースで、合併や、同じグループ企業を子会社化する際に利用されます。
逆に敵対的TOBとは、買収される側(の経営陣)が株の買い集めに同意していないにもかかわらず、一方的に買収を宣言する場合です。
 
■ 敵対的TOBに対する防衛策あれこれ
 

M&A先進国のアメリカでは以下のような敵対的TOB対抗策が講じられました。

● ポイズンピル
敵対的買収が成功した場合、被買収企業が既存株主に対し、時価を大幅に下回る価格で株式を引き受ける権利を既存株主に与え、それにより株式価値の希薄化を図ること。

● ホワイトナイト 
友好的な買収企業(白馬の騎士)に株式を購入してもらい、敵対的買収者に対抗すること。 

● ゴールデンパラシュート 
被買収企業の価値を大きく下げるという意味では、ポイズンピルと同じ。敵対的買収によって退任する役員に多額の退職慰労金を支払うことをあらかじめ規定。

● パックマン・ディフェンス (Pac-man defense)
買収のターゲットになった企業が、逆に買収を仕掛けた企業を買収しようと株を買い始める防衛策のこと。ゲームのパックマンで敵に飲み込まれるイメージに因む呼称。

● クラウンジュエル (Crown Jewels)
敵対的買収が発生したとき、買収の動機を希薄にさせるため、クラウン・ジュエル(企業の優良資産、ドル箱事業)を処分してしまうこと。


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