個体としての進化が行き詰まった人類を人工的に補完し、完全な個体を作り上げるための計画、それが人類補完計画です。碇ゲンドウによって提唱されたものですが、その考え自体はゼーレが常々考えていたもので、ユイとの再会を望んだゲンドウがゼーレに代わって遂行すると言う意味を含めて提唱したものなのです。ゼーレからすると前々から考えていたことを緻密な計画を立てて実行しようという者がいるのなら、その者に一任した方が楽に事が進みます。予算の事を考えていればそれでいいのですから楽なものです。(ただしこの場合ゲンドウとゼーレは切り離して考えています)ゼーレはゲンドウに国連の地位に着かせ、またいつか訪れる使徒の襲来に備える軍備として国連加盟国からその予算をおろさせることにしました。詳細は上層部だけが知っている秘密事項ということで、一般員にはその名前しか知らされていませんでしたが、人類補完計画は国連の扱う国際プロジェクトとなったのです。これはゼーレの001、キールが国連のトップだったことにより裏から操れたことで、ゼーレの国連に対する影響力はかなりのものであることがわかります。
補完というのですから、今の人類には欠けているところがあるのです。欠陥を持っているがために進化に行き詰まっているのです。その解決法は原罪からの解放(贖罪)、あるいは知恵の実の産物の科学という力で人工的に欠陥を補う、もしくは生命の実を手に入れ神への道を歩む、この3通りが考えられます。
初めの方法がゼーレの考える道です。2番目の方法の場合、人類の科学の進歩には限界がきており成功する前に人類が滅亡する可能性が大である、とゼーレは考えています。ゲンドウも同じ意見のようです。最後の方法は、ゲンドウの案です。もちろんゼーレに提唱したものとは別のシナリオです。
ゼーレの案では、贖罪を行い新生することが目的となっています。そのためにはすべての使徒を倒し、生命の樹を出現させる必要があります。そして樹にはりつけにしてロンギヌスの槍で刺すことでその儀式は完了します。周囲にキリストの12使徒を表す何かを用意することも、儀式の補助として考えています。儀式が終わるとはりつけになったよりしろから発生するアンチATフィールドにより原始へと回帰していきますが、誤った人類の生命の源、リリスの卵ではなくアダムの卵に還り、白き月からの新生を計画しています。そのためには白き月も新しく用意する必要があります。それらを用意してこれらの事を行うことでゼーレの案は完全に遂行されると言えます。よりしろにはリリスを使い、補助として12体のエヴァを使うつもりでした。これはセカンドインパクトのアダムをリリスに置き換えて行うということで、確実に全人類が還元するように12のエヴァを儀式の補佐をさせる予定でした。このことが決まってから、エヴァの製造、E計画は人類補完計画の一部に含まれる形になりました。
ゲンドウの案は神への道、つまり生命の実と知恵の実の2つを手に入れることです。初めはゼーレのシナリオ通りことを進めていたゲンドウですが、ゼーレのシナリオではエヴァに残ったユイとは1つになれないことを悟った結果、ゼーレとは決別することを決めたようです。他人の中のユイには会えるでしょうが、本物のユイの魂はエヴァという殻に包まれているためユイは卵に還元せず、ユイとの心の融合は起こり得ないことになります。どちらにせよ、まずはゼーレの案同様に、使徒を殲滅し生命の樹を手にします。それだけで神に等しい力を得られます。しかし全人類を神にしたいわけではありません。神になるのは自分だけでいいのです。エヴァに消え永遠に生きることができるユイと共に生きるには、神と同じ不老不死が必要だったのです。全人類は贖罪後の卵への回帰による魂、心の補完をして、自分はアダムの細胞を体に入れることによってアダムと融合し、神の力を得ることでユイと永遠に生きていくシナリオでした。
人類補完計画を国連で扱うにあたって人類補完委員会を設置させ、その実行を任せた碇ゲンドウの監視と経済面の監督の役割をさせました。国連の加盟国から資金を集めるのも委員会の仕事でしょう。この委員会の設立によりゲンドウを司令に置いたネルフは世間的、経済的問題は全て任せて、使徒殲滅に集中できるようになりました。委員会の議長がキールだということが、この委員会もゼーレの思い道理に動く組織であると物語っています。委員会のメンバーはキールの他、出資する国からも代表として参加しています。こうして準備が整い、ゲンドウはネルフとエヴァを使ってゼーレの望むシナリオを進めながらも自分の目指すゴールへの道を作っていくつもりだったのです。
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