6/22~6/28日 今日のひと言ーササユリを偲んで…「 徒然草 」各段を返歌で詠ふ… | 左藤無憂樹―生きる命をつなぐ蓮の絲…いのちの記憶

左藤無憂樹―生きる命をつなぐ蓮の絲…いのちの記憶

この流転する娑婆世界に、重荷を背負いながらも、
懸命に道を尋ねる心魂に、微細ではあっても、
生きる命をつなぐ蓮の絲……。

然(さ)ればこそ、
生きているよろこびも、心を塞ぐ哀しみも……
ともどもに、心にとどめて、
この娑婆世の道を歩いております……。

2020年(令和2年)6月28日-341号

☆・・・・・・‥…‥─━━─‥…‥…─━━─‥‥…・・・・・・☆

 

 

枯れ果てて、散るのではありません。

 

 

この世は、かりそめの宿-

 

ならば-春さらば-と、すがしく散る、

 

万朶の桜のひとひらにこころ学びたいものです。

 

 


今までも、このように生かされ、

 

そして、生きて参りました。

 


 師 承真尼婆子の後ろ姿を追いつ、

 

婆子の踏み跡を行きつ戻りつ……。

 


ひたすらに生きようとする、

 

盲目的意思を感じながらも、

 

深遠な真理を未だ識り得ない我が身の、

 


自分の愚かさに、

 

明けることのない夜……「無明長夜」を憶います。

 

 


だからこそ、人は心の遍歴と軌跡の中で、

 

心の樹海を彷徨い歩くとも、

 


無明長夜を照らす生きる灯火を、


心の旅を開く鍵を、

 

人生の道すがらに求めようとするのです。

 

 

 

☆ 左藤無憂樹─生きる命をつなぐ蓮の絲……☆彡


vol.00341 2020年6月28日(日)配信 

 


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 ☆彡・最新の今日のひと言




2012年6月1日 琵琶湖湖畔にて   

乙女子(をとめご)のようなササユリでございました……



 


・ササユリを詠ふ 

 


・ 「 徒然草 」各段を返歌で詠ふ

 

 

*新訂『徒然草』(岩波文庫) 1985.
吉田 兼好 (著),  西尾 実, 安良岡康作校注

 


・アルビノーニ- 弦楽とオルガンのためのアダージョ ト短調 
 カラヤン ベルリンフィル

 

『徒然草』を読む時には、アルビノーニ-のアダージョを聴きます。 

カラヤンの指揮は素晴らしいと憶います……

 


 


★…2020年6月28日 今日のひと言

─ササユリを 手折らず野辺に ままにおく……


 ササユリを手折らずに、そのまま野辺においてくださった、
 そのやさしいお心に感謝して、

 をとめごのような、美しい花姿、
 清楚なかほりもひと際の、
 ササユリを詠んでみました……


 

★…2020年6月27日 今日のひと言

─「第十三段 ひとり、燈(ともしび)のもとに文(ふみ)をひろげて、
    見ぬ世の人を友とするぞ……

 

・返歌 「 徒然草 第十三段 」を詠ふ

            詠み人知らずの、古の書を読み…歴史を遡って、

            遠い昔の時代の 「 朋友 」 に、憶いをめぐらす……

           ◆昭和の時代に息づくあなたへ……

 


★…2020年6月26日 今日のひと言

─「第十八段 人は、己れをつゞまやかにし……」 


・返歌 「 徒然草 第十八段 」を詠ふ

      孫晨は 冬に藁臥し 許由なを……

 


★…2020年6月25日 今日のひと言

─「第十九段 折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ。」


・返歌 「 徒然草 第十九段 」を詠ふ

      星流る 春に啼泣 夏昴……

 


★…2020年6月24日 今日のひと言

─「第二十六段 風も吹きあへずうつろふ、人の心の花に……」


・返歌 「 徒然草 第二十六段 」を詠ふ

      問ふ秒(間)にも うつろふものは 花の彩……

 


★…2020年6月23日 今日のひと言

─「第二十九段 静かに思へば、万に、過ぎにしかたの……」


・返歌 「 徒然草 第二十九段 」を詠ふ


      小夜ふけて 過ぎ去りし日に 瞑目す……

 


★…2020年6月22日 今日のひと言

─「第七十五段 つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。」


・返歌 「 徒然草 第七十五段 」を詠ふ

     只管打坐 独り閑に 補陀落(ふだらく)の……



 


  ☆彡・ 憶いでの小筥から……今日のひと言

 


★…2016年9月27日 今日のひと言

─…空の海路 真澄みゆきてし……夕方、不思議な雲を観ました。

◆いのちを詠む……佛教短歌

 

★…2016年9月28日 今日のひと言

─……珠露の 風落つ中に 小萩ひそ散る……
透き通った秋の光を、その花びらに写しとるように、

◆いのちを詠む……佛教短歌

 

★…2016年9月29日 今日のひと言

─淑(しと)やかに 花の回廊 群れ枝垂る……
枝垂れた萩が、ふんわりと風にゆれるさま……

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


★…2016年10月1日 今日のひと言

─秋風に ひとつひそ落ち 白芙蓉……
その白い顔(かんばせ)は、菩薩の慈悲か……

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


★…2016年10月2日 今日のひと言

─幻の 黒アゲハ翅 透きとおる…… 

身近なしあわせに気づかずに、
ともすれば、人は、
身の丈以上の景色ばかりを夢見てしまいますが……

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


★…2016年10月3日 今日のひと言

─夢うつつ 山鳩の啼く 音遠く……
花の露、花びらより滴りて、たおやかなりし、花の薫り……

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


★…2016年10月4日 今日のひと言

─こぼれ落つ 菊の花びら 母逝きし……

命はその時を、
空を往く雲のごとくに、
吹かれるがままに過ごしてしまうものです……。

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


★…2016年10月5日 今日のひと言

─白き鯉 錦の鯉も 泰然と……

梵鐘の鳴る音も流れに消えて、
唯々、静寂……
走り去りゆく秋をば偲ばん。

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


★…2016年10月6日 今日のひと言

─子安寺 豊後の海に 波風(なみかぜ)凪ぎて……

光のカーテンが、
豊後灘の海原に映えて、
海の潮道が、
キラキラときらめく……。

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


★…2016年10月7日 今日のひと言

─秋の畑  ゆれる陽射しに 母が居り……

小夜時雨……
夜半から、雨の音しきりと、
木窓を打ちうつけます。

心を打つ雨音……
耳を澄まして 聴いてみる……。

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


★…2016年10月8日 今日のひと言

─雲影に 若き踏み跡 夢を追い……

巡礼の旅より帰りしの……
本人様がどのようなお気持ちであられたのか……
それを憶いますと、今でも心が痛みます……。

◆命を愛おしむ……


 


☆彡・こころの磨き砂

 

2016年9月30日
 
秋うらら いのちの光り 葉を透かし……

ここだけは、童話に出てくるような、
心のあたたまる場所のようでした……。

◆命を愛おしむ……


 


  ☆彡・編集後記

 

★…梅雨明けを指折り数えて待つこの頃……

    
 

 

☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 



2012年6月1日 琵琶湖湖畔にて   乙女子(をとめご)……

 

 

6月28日  ササユリを 手折らず野辺に ままにおく……

 

 

 


ササユリを

 


手折らず野辺に

 


ままにおく

 


やさしき君の

 


こころね憶ふ




 

2020年6月28日  ササユリを詠ふ


 


ササユリを詠んでみました……


 ササユリを手折らずに、

 そのまま野辺においてくださった、

 そのやさしいお心に感謝して、

 乙女子(をとめご)のような、美しい花姿、

 清楚なかほりもひと際の、

 ササユリを詠んでみました……

 

2012年6月1日に、

 

琵琶湖湖畔で写したササユリでございます。

 

乙女子(をとめご)のような、美しい花姿でございました。


清楚なかほりも、ひと際ようございました……。拜



 


☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆




2020年6月23日  逍遥なるままに……京都府立植物園にて




 

6月27日  

 

「第十三段 ひとり、燈のもとに文をひろげて……」

 

「ひとり、燈(ともしび)のもとに文(ふみ)をひろげて、

見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰(なぐさ)むわざなる。


 文は、文選(もんぜん)のあはれなる巻々、白氏文集(はくしの

もんじふ)老子のことば、南華の篇(へん)。この国の博士(はか

せ)どもの書ける物も、いにしへのは、あはれなること多かり。」

 

*白氏文集(はくしのもんじふ)唐の詩人

    白楽天の詩文集。七十一巻。



 

・返歌 「 徒然草 第十三段 」を詠ふ


2013年6月30日

詠み人知らずの、古の書を読み…

歴史を遡って、遠い昔の時代の 「 朋友 」 に、

憶いをめぐらす……

◆昭和の時代に息づくあなたへ……


 

詠み人知らずの、古の書を読み、


歴史を遡って、


遠い昔の時代の 「 朋友 」 に、


憶いをめぐらす……。

 


それらの「朋友」は、


唐の詩人、白楽天であったり、


荘子であったり、

 

時には、


清少納言であったり、


鴨長明、兼好法師だったりする……


 


そして、


このようにして、


決して返っては来ない、和歌を詠んだりもする……

 

持たざる者の、ささやかな夢である。


 


また、さらに時を遡り、


仏陀御在世中の尊者であったり、

 

「絲綢之路」を東漸する法師の教えであったりする。

 

さらなる流れを辿ってゆくと、


昭和の息遣いの中に、


おかっぱ髪の双眸がいる。

 


せめて、


今の経験と智慧でもって、

 

この少女に、


ゆく道を指し示すことができたなら、

 

違う道もあったろうに、と慮るも、

 

これも、我が人生……。

 


これから先、


どれだけのことを成し得るのか。


 

忙中閑有り。


 

  合掌


 


2013年 6月30日(日)  母の祥月命日に詠める……拜



 


☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 



2020年6月23日  東海道琵琶湖線 山科にて……




 

6月26日 


「第十八段 人は、己れをつゞまやかにし……」 

 

 人は、己れをつゞまやかにし、奢りを退けて、財を持たず、世を貪ら

ざらんぞ、いみじかるべき。昔より、賢き人の富めるは稀なり。

 唐土に許由といひける人は、さらに、身にしたがへる貯へもなくて、

水をも手して捧げて飲みけるを見て、なりひさこといふ物を人の得させ

たりければ、ある時、木の枝に懸けたりけるが、風に吹かれて鳴りける

を、かしかましとて捨てつ。また、手に掬びてぞ水も飲みける。

いかばかり、心のうち涼しかりけん。

 孫晨は、冬の月に衾なくて、藁一束ありけるを、夕べにはこれに臥し、

朝には収めけり。 唐土の人は、これをいみじと思へばこそ、記し止め

て世にも伝へけめ、これらの人は、語りも伝ふべからず。 

 


・返歌 「 徒然草 第十八段 」を詠ふ


     孫晨は 冬に藁臥し 許由なを……



 

孫晨は

 

冬に藁臥し

 

許由なを

 

水掬(むす)びしや

 

語り伝ふべき


 

2020年6月26日 詠


 


*孫晨(そんしん)伝説的立志伝中の人物。冬に衾(ふすま)は寝具。
              月光の冴える冬の夜に藁にくるまって起き伏した。


*許由(きょいゆ)中国古代の尭(ぎょう)代の高士。帝尭から天下の

                         政治を 譲られようとした時、耳が汚れたといって、

                         潁川(えいせん)で耳を洗った という。

 

 


 

☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 

 



2020年6月14日  京都府立植物園にて


 

 

6月25日 


「第十九段 折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ。」

 

「折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ。

「もののあはれは秋こそまされ」と人ごとに言ふめれど、

それもさるものにて、今一きは心も浮き立つものは、

春のけしきにこそあんめれ。

 

鳥の声などもことの外に春めきて、のどやかなる日影に、墻根の

草萌え出づるころより、やゝ春ふかく、霞みわたりて、花もやうやう

けしきだつほどこそあれ、折しも、雨・風うちつづきて、心あわたゝ

しく散り過ぎぬ、青葉になりゆくまで、万に、ただ、心をのみぞ悩ます。

 

花橘は名にこそ負へれ、なほ、梅の匂ひにぞ、古の事も、

立ちかへり恋しう思ひ出でらるゝ。山吹の清げに、藤のおぼつかなき

さましたる、すべて、思ひ捨てがたきこと多し。

 

「灌仏の比、祭の比、若葉の、梢涼しげに茂りゆくほどこそ、

世のあはれも、人の恋しさもまされ」と人の仰せられしこそ、げにさる

ものなれ。五月、菖蒲ふく比、早苗とる比、水鶏の叩くなど、心ぼそか

らぬかは。六月の比、あやしき家に夕顔の白く見えて、蚊遣火ふすぶ

るも、あはれなり。六月祓、またをかし。

 

 七夕祭るこそなまめかしけれ。やうやう夜寒になるほど、雁鳴きて

くる比、萩の下葉色づくほど、早稲田刈り干すなど、とり集めたる事は、

秋のみぞ多かる。また、野分の朝こそをかしけれ。言ひつゞくれば、

みな源氏物語・枕草子などにこと古りにたれど、同じ事、また、

いまさらに言はじとにもあらず。おぼしき事言はぬは腹ふくるゝわざ

なれば、筆にまかせつゝあぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきも

のなれば、人の見るべきにもあらず。 

 

 さて、冬枯のけしきこそ、秋にはをさをさ劣るまじけれ。汀の草に

紅葉の散り止りて、霜いと白うおける朝、遣水より烟の立つこそ

をかしけれ。年の暮れ果てて、人ごとに急ぎあへるころぞ、またなく

あはれなる。すさまじきものにして見る人もなき月の寒けく澄める、

廿日余りの空こそ、心ぼそきものなれ。御仏名、荷前の使立つなど

ぞ、あはれにやんごとなき。

 

 公事ども繁く、春の急ぎにとり重ねて催し行はるるさまぞ、

いみじきや。追儺より四方拝に続くこそ面白けれ。晦日の夜、いたう

闇きに、松どもともして、夜半過ぐるまで、人の、門叩き、走りありきて、

何事にかあらん、ことことしくのゝしりて、足を空に惑ふが、暁がたより、

さすがに音なくなりぬるこそ、年の名残も心ぼそけれ。

 

 亡き人のくる夜とて魂祭るわざは、このごろ都にはなきを、

東のかたには、なほする事にてありしこそ、あはれなりしか。

 かくて明けゆく空のけしき、昨日に変りたりとは見えねど、ひきかへ

めづらしき心地ぞする。大路のさま、松立てわたして、はなやかに

うれしげなるこそ、またあはれなれ。 


 


・返歌 「 徒然草 第十九段 」を詠ふ

 

     星流る 春に啼泣 夏昴……



 


星流る

 

春に啼泣

 

夏昴(すばる)

 

刹那の野分

 

雪雲倶に流る


 


2020年6月25日 詠



 


☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 



2020年6月14日  京都府立植物園にて




 

6月24日 


「第二十六段 風も吹きあへずうつろふ、人の心の花に……」


 風も吹きあへずうつろふ、人の心の花に、馴れにし年月を思へば、

あはれと聞きし言の葉ごとに忘れぬものから、我が世の外になりゆく

ならひこそ、亡き人の別れよりもまさりてかなしきものなれ。

 されば、白き糸の染まんことを悲しび、路のちまたの分れんことを

嘆く人もありけんかし。堀川院の百首の歌の中に、


  昔見し妹が墻根は荒れにけりつばなまじりの菫のみして


さびしきけしき、さる事侍りけん。


 

・返歌 「 徒然草 第二十六段 」を詠ふ


      問ふ秒(間)にも うつろふものは 花の彩……


   
 
 

問ふ秒(間)にも

 

うつろふものは

 

花の彩

 

人のこころは

 

あはれ哀しき


 

2020年6月24日 詠


 

*「色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありかえる」


              小野小町(『古今集』巻十五)




 


☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 



2020年6月14日  ナツツバキ 京都府立植物園にて




 

6月23日  
 
 

「第二十九段 静かに思へば、万に、過ぎにしかたの……」


 静かに思へば、万に、過ぎにしかたの恋しさのみぞせんかたなき。

 人静まりて後、長き夜のすさびに、何となき具足とりしたゝめ、残し

置かじと思ふ反古など破り棄つる中に、亡き人の手習ひ、絵かき

すさびたる、見出でたるこそ、たゞ、その折の心地すれ。このごろ

ある人の文だに、久しくなりて、いかなる折、いつの年なりけんと

思ふは、あはれなるぞかし。手馴れし具足なども、心もなくて、

変らず、久しき、いとかなし。


 

・返歌 「 徒然草 第二十九段 」を詠ふ


     小夜ふけて 過ぎ去りし日に 瞑目す……

 


 


小夜ふけて

 

過ぎ去りし日に

 

瞑目す

 

優し貌がお

 

こころ鎮まりて


 


2020年6月23日 詠



 


☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 



2020年6月14日  「 無憂樹 」の樹……京都府立植物園にて




 

6月22日   

 

「第七十五段 つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。」


 つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。

まぎるゝ方なく、たゞひとりあるのみこそよけれ。 

 世に従へば、心、外の塵に奪はれて惑ひ易く、人に交れば、言葉、

よその聞きに随ひて、さながら、心にあらず。人に戯れ、物に争ひ、

一度は恨み、一度は喜ぶ。その事、定まれる事なし。分別みだりに

起りて、得失止む時なし。惑ひの上に酔へり。酔ひの中に夢をなす。

走りて急がはしく、ほれて忘れたる事、人皆かくの如し。 

 

 未だ、まことの道を知らずとも、縁を離れて身を閑かにし、事にあづ

からずして心を安くせんこそ、しばらく楽しぶとも言ひつべけれ。

「生活・人事・伎能・学問等の諸縁を止めよ」とこそ、

摩訶止観にも侍れ。


 

・返歌 「 徒然草 第七十五段 」を詠ふ


     只管打坐 独り閑に 補陀落(ふだらく)の……



 

只管打坐

 

独り閑に

 

補陀落(ふだらく)の

 

お庭におわす

 

菩薩に逢ふや



 

2020年6月22日 詠





 

・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 


2016年9月27日

 

…空の海路 真澄みゆきてし……夕方、不思議な雲を観ました。


◆いのちを詠む……佛教短歌



 

立ち雲の


 

秋空に映え


 

昇りゆく


 

空の海路


 

真澄みゆきてし




 


2016年9月27日     詠


 

観天望気と申しましょうか……


 

山登りをしていた頃より、


雲の形を観るのが好きです。

 

夕方、不思議な雲を観ました。

 

何という雲でしょうか。

 

初めて、こういった形の雲を観ました。 合掌




 


・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 


2016年9月28日

 

……珠露の 風落つ中に 小萩ひそ散る……

◆いのちを詠む……佛教短歌


 


風光る

 


葉末に結ぶ

 


珠露の

 


風落つ中に

 


小萩ひそ散る


 


2016年9月28日     詠




 


古墳の杜の奥から啼く、

 

声の主を探しながら、


長い坂道を降りてまいりますと、

 


雑草のひと群のなかに、


早咲きの萩の花が、


小風にゆられています。

 


透き通った秋の光を、


その花びらに写しとるように、

 


身に染めた小房が、


夜半、雨まじりの風に吹かれたものか、

 


一夜の儚き夢を見し、


佳人のように、


道の傍に散り初めておりました……。

 

 


これから、


ひと雨ごとに深まりを増してゆく秋……

 


心も鎮まり、


希望も湧いてまいりましょう。合掌





 


・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 

2016年9月29日

 

淑(しと)やかに 花の回廊 群れ枝垂る……

枝垂れた萩が、ふんわりと風にゆれるさま……

◆いのちを詠む……佛教短歌




 

淑(しと)やかに

 


花の回廊

 


群れ枝垂る

 


萩の海原

 


昊 ( そら ) 澄みわたり




 

2016年9月29日     詠




 


萩の咲く季節は、


野分吹き、秋風の冷たさを覚える季節です。

 

枝垂れた萩が、


ふんわりと風にゆれるさま……

 


淑やか な小花の数々は、


儚い夢に彩りを添えるように、

 


深まりゆく秋の風情を憶わせるものです。合掌

 



 

・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 


2016年10月1日  


秋風に ひとつひそ落ち 白芙蓉……

その白い顔(かんばせ)は、菩薩の慈悲か……


◆いのちを詠む……佛教短歌

 

 


秋風に

 

ひとつひそ落ち

 

白芙蓉

 

小さき蝶

 

花を揺らし飛び


 

 

2016年10月1日    詠

 

 

 

 

その白い顔(かんばせ)は、菩薩の慈悲か……


憶いを取り残し、

 

流れ往く時の疾さ……


果敢無さには、この世の無常を知らされるものです。

 

寺庭を吹く風に乗り、

小さな蝶が芙蓉の花を揺らし、

 

花から花へ飛ぶさまは、

光を十方にあまねく照らす天界のようです。

 

 

                      合掌


 


 


・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 


2016年10月2日  幻の 黒アゲハ翅 透きとおる…… 
 

身近なしあわせに気づかずに、
ともすれば、人は、
身の丈以上の景色ばかりを夢見てしまいますが……
 
◆いのちを詠む……佛教短歌


 


幻の

 

黒アゲハ翅

 

透きとおる

 

仏の庭に

 

花揺らし舞う

 

 

 

2016年10月2日      詠

 

 


 

この一年間、

心の裡に留めていた数々の言の葉……

 

秋の陽ざしに、花びらを薄紫に染めて、

精一杯、この哀しみを受けとめているようです。

 

身近なしあわせに気づかずに、

 

ともすれば、人は、

身の丈以上の景色ばかりを夢見てしまいますが、

 

どうか、

爽やかな青空の広がる、

この秋の空のように、

 

我が心 真っ直ぐに……と、

心に祈るばかりです。

 

 

         合掌  

 

 

 

 


・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 

2016年10月3日

夢うつつ 山鳩の啼く 音遠く……
花の露、花びらより滴りて、たおやかなりし、花の薫り……

◆いのちを詠む……佛教短歌


 

夢うつつ

 


山鳩の啼く

 


音遠く

 


亡き義母(はは)の聲

 


顔(かんばせ)やさし


 

 

 

2016年10月3日     詠

 

 
 

 

乙女菊、紫の濃きも薄きも、


夕映えの移りゆく中に、薄らいでゆく。

 

花の露、花びらより滴りて、


たおやかなりし、花の薫り……

 


花の氣を胸の隅々にまで、

いっぱいに吸いこんでみる……。

 

深呼吸……数息感。

 

躰の隅々まで、

菊の薫りで清められてゆくようです。

 

 

                 合掌   

 

 

 


・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 

2016年10月4日


こぼれ落つ 菊の花びら 母逝きし……

命はその時を、
空を往く雲のごとくに、
吹かれるがままに過ごしてしまうものです……。

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


こぼれ落つ

 


菊の花びら

 


母逝きし

 


小さきため息

 


その瞬間(とき)憶う

 

 

 

2016年10月4日 詠

 

 

 

 

 

光陰は矢のごとし。

 

二度と巡らぬ若き日々。

 

生きる意味を問うことすら知らずして、

 

 

命はその時を、

 

空を往く雲のごとくに、

 

吹かれるがままに過ごしてしまうものです……。

 

 

                        合掌



 


・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 


2016年10月5日

白き鯉 錦の鯉も 泰然と……

梵鐘の鳴る音も流れに消えて、
唯々、静寂……
走り去りゆく秋をば偲ばん。

◆いのちを詠む……佛教短歌

 


 

白き鯉

 


錦の鯉も

 


泰然と

 


泳ぎおる池

 


時は鎮まり

 

 

 
2016年10月5日    詠

 

 

 

 

世の無常なるがままに、


流れ往きける、

 

静寂な池に、

 

さ迷うがままに、


ゆらゆらと漂うて、

 

空をゆく雲の影、


水面に映りぬ。


梵鐘の鳴る音も流れに消えて、


唯々、静寂……

 

走り去りゆく秋をば偲ばん。

 

 

             合掌




 

・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 

2016年10月6日

子安寺 豊後の海に 波風(なみかぜ)凪ぎて……

光のカーテンが、
豊後灘の海原に映えて、
海の潮道が、
キラキラときらめく……。

◆いのちを詠む……佛教短歌
 


 

茜映ゆ

 


夕陽をながむ

 


子安寺

 

豊後の海に

 


波風(なみかぜ)凪ぎて

 

 


2016年10月6日    詠

 

 

 

 

群雲の絶え間から、

幾筋もの陽射し……

 

光のカーテンが、

 
豊後灘の海原に映えて、


海の潮道が、

キラキラときらめく……。

 

すばらしい景色にも、

 

どうして、

花も、樹も、

 

人も、その命、

散り急いでしまうのだろうか……。

 

瀬戸内の鞆の浦に連なる、

この夕映えに輝く豊後の海を見ろすと、

 

我が見ゆる、

この娑婆世間の夕ぐれのようすは、

なんとも、こころ侘しく憶うものです。

 

 

                 合掌     

 



 

・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 

2016年10月7日

秋の畑  ゆれる陽射しに 母が居り……

小夜時雨……
夜半から、雨の音しきりと、
木窓を打ちうつけます。

心を打つ雨音……
耳を澄まして 聴いてみる……。

◆いのちを詠む……佛教短歌
 


 

秋の畑

 


ゆれる陽射しに

 


母が居り

 


面影重ね

 


懐かしき日々


 


2016年10月4日 詠




 

小夜時雨……

 


夜半から、雨の音しきりと、

木窓を打ちうつけます。

 


心を打つ雨音……

耳を澄まして 聴いてみる……。



 

一夜明け、

心の晴れる群青色の空を仰ぎ見ますと、

真白い雲がゆったりと、浮かんでいます。

 


この人の道に、道しるべなく。

過去と現(うつつ)の世界をゆらゆら揺らぐ。

 


確かなのは、

今ここにいる私……。


 

               合掌

                 
                     


 

・‥……─━━…‥…憶いでの小筥から……‥…━━─…‥‥・

 

2016年10月8日

雲影に 若き踏み跡 夢を追い……

巡礼の旅より帰りしの……
本人様がどのようなお気持ちであられたのか……
それを憶いますと、今でも心が痛みます……。

◆命を愛おしむ……

 

   打出浜より、比叡山を望む。

 


 


雲影に

 


若き踏み跡

 


夢を追い

 


菩提の道を

 


遠く聴きおり

 

 

 

2016年10月8日   詠

 

 

 

 

留守中も、拙いこの場に、

お立ち寄り頂きまして、ありがとうございました。

 

縁者の一周忌法要のために、大分に出向き、

岐路、広島の縁者宅に立ち寄り戻ってまいりました。

 

遠路の旅ゆえか、

少々風邪の氣もあり、この数日伏せっておりました。

 

憶いかえせば、昨年の今頃は、

突然の余命宣告と急な入院闘病の為に、

 

本人は治療も受けられず、

家族はホスピス病棟の一室で、

里芋をおろし金ですりおろし、

 

また、生姜シップを作るために、

慣れないおろし金に指をすり傷だらけにしながら、

里芋、生姜シップをガーゼに塗り、

 

他に、何も治療を受けられないために、

脚をさするしかありませんでした。

 

民間療法にすがる憶いで、

これから先どうなるのか、

状況の把握もできずに、

その最期の時を待っておりました。

 

本人様がどのようなお気持ちであられたのか……

それを憶いますと、今でも心が痛みます……。

 

しかしながら、

最期まで、気丈な御方でありました。

 

〇〇さん……

みなさん、どうですか?

風邪をひいていませんか?

 

私どもの暮らしぶりを尋ねる、

そのやさしいもの言いが今でも偲ばれます……。

 

 

                          合掌
 

 
 

 


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◆「こころの磨き砂」


 


2020年6月14日  木苺……京都府立植物園にて



 

2016年9月30日

 
秋うらら いのちの光り 葉を透かし……

ここだけは、童話に出てくるような、
心のあたたまる場所のようでした……。

◆命を愛おしむ……



 

秋うらら


 


いのちの光り


 


葉を透かし


 


染め温 ( ぬく ) もりて


 


ゆれて融けあう




 

2016年9月30日     詠





 


中秋から 晩秋へ、

 

秋うららかにして、

 

眼の前を刻々と、


通り過ぎてゆくこの頃、


 

時に、


透きとおった風が身に染み入ります……。


 


陽だまりの中で、


八重桜の葉が一葉……

 

秋の陽ざしに温もった光を受けて、

 

黄金色に輝いています。

 


侘しさ、もの悲しさを憶う秋ではありますが、


 


ここだけは、

 

童話に出てくるような、


心のあたたまる場所のようでした……。


 


                   合掌



 


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◇編集後記



 


皆さまには、ご清祥にお過ごしのことと推います……


 

いわゆる新生活様式というものには、

 

まだまだ戸惑いを感じておりますが、

 

早いもので、もう七月を迎えます。

 


梅雨明けを指折り数えて待つこの頃、

 


本格的な夏を間近にひかえ、

 


御身お大事になさいますよう。拜


 




 



 






 


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