ジョン・クラシンスキー監督最新作。

 

幼い頃に母を亡くしたビーは、母が闘病中に住んでいたブルックリンの祖母の家に再びやってくる。今度は父親が闘病しないといけなくなったからだ。深く傷つき子どもであることを拒否していたビーだったが、あるとき奇妙な生き物たちに遭遇。彼らは自分たちをイマジナリーフレンド(IF)だと言うのだが……。

 

原題は『IF』。イマジナリーフレンドの頭文字と、もしもの意味のIFを掛け合わせたタイトルになっている。邦題がなぜ『ブルー』になったのか激しく疑問だ。青いモフモフのイマジナリーフレンドも確かに出てくるけど、別に彼(?)が中心というわけでもないのでね。

 

私はイマジナリーフレンドがいたタイプの子どもで、そんな私に育てられた息子もやはり同じタイプ(今でも毎日2人でぬいぐるみを交えて会話をするしね)。それもあってか、本作の世界観にはかなりスムーズに入り込めた。いまどき珍しいほどストレートな(言い方を変えると捻りのない)ストーリー展開なので、退屈に思う人もいるかもしれない。

 

起承転結の転となるシーンが祖母のくだりだと思うのだが、祖母の存在がけっこう効いている。おそらく母方の祖母で祖父はいない。12歳のビーに対して「前に来たときはこんなに小さかったから」と言っていたから、ビーの母親が亡くなってからビーは一度もこの祖母の元を訪ねなかったのだろう。夫にも娘にも先立たれて、孫娘は娘の死以来一度も会いに来てくれなくて……って、めちゃくちゃ可哀想なんですけど!ビーを泊めてあげる部屋はすごくガーリーな感じなんだけど、おそらくそこはかつて祖母の娘(ビーの母親)の部屋だったからだよね?つまり、亡き娘が暮らしていた部屋をそのまんまにしてあるってことなわけよ。めちゃめちゃ切ない!!!

 

だから、祖母がフィーチャーされるクライマックスのひとつにはかなりグッと来てしまった。ものすごく美しかったし。そこからは畳みかけるように物語が展開していって、素直に感動できた。オチについては読めてしまったのと、ちょっと蛇足かなと思うシーンもあったものの、全体としてはシンプルに良い気分になれるファンタジーに仕上がっていたと思う。少女の成長譚としてもわかりやすくて無理がない。

 

声優陣が異様に豪華なのも特徴なのだが、この作品はミュージカルにすると良いと思った。おばあちゃんがフィーチャーされるミュージカルには名作が多いというのもあるんだけど(ビリーエリオットやピピンなど)、キャラクターの数だけミュージカルシーンを増やせるし、その割に物語の規模は小さめだし、シチュエーションも少なくて済む。いくらでもアレンジ可能だしね。イマジナリーフレンドはパペットで表現すればいいし、けっこうオシャレな子ども向けミュージカルになるんじゃないかな。