28『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』 | 休暇中映画と舞台の鑑賞日記 (ameblo.jp)

 

こちらの続編。

 

前章を観ていないとわからないと思うのでストーリーは割愛。

 

原作とは異なるようだが、後章で一応完結するようになっていた。前章で広げた風呂敷はしっかり回収しつつ、クライマックス(地球の危機)に向けて突き進んでいく展開。シリアスで複雑な要素が増えているので日常と非日常という対比要素は薄まっていたものの、田舎での合宿という地理的な変化で日常を強調。さらにそれが時間軸に関するSF要素とも密接に絡むという捻りの効いた仕掛けになっていて、ほどよく入り組んでいて飽きさせない。

 

全体としては門出とおんたんの存在感が弱まっている気がして、結果的に一番活躍したのが途中から参入した男性キャラだったのはやや残念。世界が壊れたってなにしたってあなたがいればそれでいい、という帰結は前章から語られていたので「がっかり」とまではいかないが、それでも私はおんたんに闘ってほしかったかな。「あなたがいればそれでいい。でも、私は世界も救う!」という主人公を望むのは欲張りすぎだろうか?もう30分長くしてもいいから、そういう未来を感じさせてほしかったのが正直なところ。

 

一方で、おんたんの変化自体はきめ細やかでとても良かった。自己中心的な部分と献身的な部分がアンバランスで他者依存が強いというパーソナリティの発露が環境や状況によって変化するという描写や、恋愛を含めた精神的な成長段階がかなり丁寧に描かれていく。それは門出も同じなのだが、単純化されないレイヤーのある心の機微がとてもリアル。大人が子供に「こうあってほしい」と期待するような都合の良い不安定さではなく、自分でも戸惑ってしまうような感情の変化を表現するのがとても上手だと感じた。