レイ・クーニーによる戯曲をマギーが演出。

 

クリスマスイブの夜。ロンドンの高級ホテルのスイートルームにて、保守党副大臣のリチャードは窮地に陥っていた。急に呼び出された秘書ジョージは、リチャードによる支離滅裂な指示に困惑。果たして、この夜に一体に何が起こったのか……?

 

オーソドックスなシチュエーションコメディで、演出も奇をてらったところがないので素直に楽しめた。ここ2年くらいの間にロンドンに2回行っているので、どんな感じの場所が舞台になっているのかがイメージできることもあるし、クリスマスシーズンに向けてピッタリの内容ということもあって、鑑賞後はホッコリ気分。そういえば最近、こういう舞台観てなかったなあと気づかされた。

 

食えない男でズルいのになぜか憎めない副大臣と、真面目で固いモラリストの秘書という中心の2人の人物造形が実に英国的。もしかしたら戯曲はもっと皮肉っぽいのかも?と思わないでもないが、ジョークのレベルもほどよい。こういったシチュエーションコメディは吉本新喜劇っぽくなりがちというか、日本の客へのウケを意識しすぎるとベタっとしてしまいがちなのだが、上手いこと瀟洒な雰囲気を保ったまま終わったのも良かった。良い意味でカチッとしていたというか。

 

急なキャスト変更も気にならないチームワークで、兵庫県文のお上品なお客さんもしっかり笑わせていた。たまにはこういうサラっと観られる舞台もいいね。