三谷幸喜の代表作。内野聖陽と瀬戸康史で20年以上ぶりに再演。

 

戦時中。喜劇作家が新作の台本を検閲官の元に持っていく。検閲官がNGを出すたびに、座付き作家は修正を加えて再挑戦する。何度も何度も繰り返される彼らの面会の行方は……。

 

完璧な映画、とか完璧な漫画、とか言いたくなる作品は誰にもあると思うのだが、『笑の大学』は完璧な演劇と言っていいと思う。思わず吹き出してしまう笑いの要素、思わず逃げ出したくなる緊張感、思わず涙が零れてしまう感動、そして反戦という大きいテーマがグッと迫り出してくる瞬間のゾッとする感覚など、本作の中にはありとあらゆるエッセンスが洗練された状態で詰め込まれている。

 

堅物だがどこか風変りな検閲官を演じる内野聖陽の引き出しの多さ、若さとエネルギーの裏に、大きな信念を抱えている座付き作家を演じる瀬戸康史のタフネス。この脚本に全力で向き合ったふたりの役者が描き出したステージは、ドラマというものが持ちうる素晴らしさを、余すところなく表現しきっていたと感じた。

 

WOWOWで放映されるみたいなので、観られる方はぜひ観てほしい。また再演してほしいな。