NYなう!早速新作ミュージカル『The Band’s Visit』観て気た。映画『迷子の警察音楽隊』をミュージカル化した作品で、作曲は『フル・モンティ』のYazbek。

 

時代は1990年代。エジプトから演奏にやってきた警察音楽隊が、ホールのある街と非常によく似た名前の砂漠の町に間違えてきてしまうことから始まる物語。

 

町の食堂の女主人に窮状を相談すると、『この町から発つバスは明朝まで来ない』ということで一晩泊めてもらえることになった。食堂や、町の人々の家に分散して泊めてもらう中で生まれた、いくつかの人々の交流を描いた作品。

 

大事件はなにも起こらないし、スリリングな展開もひとつもない。休憩なしの短い作品で、大掛かりな演出もない。でも、とっっっても良かった。

 

イスラエル人とエジプト人という関係性にはほとんど直接触れず、あくまでも人間同士の触れ合いとして描いた本作。親しい人には言えなかった辛い過去の秘密を告白したり、ほんの少しの勇気を出すきっかけをもらったり、束の間でも日々の苦しみが癒されたり。静かでささやな感動が、さざ波のように押し寄せてくる。

 

音楽もエジプト風だったりイスラエル風だったり新鮮。そこに、バンドメンバーが奏でる超絶技巧を含む珠玉の演奏が絡んでくる。構成がオシャレ!あと、特に前半はかなり笑える。

 

特に、女主人役は圧倒的に良く、ソロ曲の後ではそこかしこから唸り声のような嘆息が。終幕後はスタンディングオベーションでやんややんやの大喝采でした。