横浜のみなとみらい駅からエスカレーターで地上に出ると、大観覧車。
この景色を撮影するのは何度目でしょうか。そのうち、1回くらいはこの楽しそうなエリアに行きたいと思いつつ・・・
パシフィコ横浜へ直行。
14日、15日に行われた、日本美容外科学会総会へ。
一般にはあまり知られていませんが、「日本美容外科学会」という名前の学会は2つあります。
日本形成外科学会の専門医資格など、厳しい入会基準があるのがこの「JSAPS」
医師免許があり、会員2名の推薦があれば会員になれるという、門戸が広い学会が「JSAS」
こちら「JSAPS」は、バリバリの形成外科専門医ばかりの学会です。
メスを使うオペを学ぶ「教育セミナー」やディスカッションも行う「シンポジウム」、合併症や他院から依頼される修正手術など、最新治療法や成功例ばかりではない、ある意味“美容医療のダーク面”というか、雑誌やテレビ、SNSではあまり出てこないようなプログラムがびっしりです。
美容医療を安全に行うために。そして、トラブルや合併症にどう対応するか、までを含めて学び、情報を伝え、ディスカッションする場です。
今まではプレス聴講するだけでしたが、今回は「美容医療診療指針の意義」というセッションに登壇する機会をいただきました。
医師はもちろん、厚労省の医療安全対策専門官とメディア側の人間という登壇メンバーでした。
「美容医療診療指針」というのは、美容医療の治療のガイドラインで、最新は令和3年度改訂版。
シミとかたるみという症状に対する様々な治療法を「行うことを強く推奨する」から「行わないことを強く推奨する」まで評価し、指針の作成には、美容医療を行う「日本美容外科学会(JSAPS)」「日本形成外科学会」「日本美容皮膚科学会」「日本皮膚科学会」「日本美容外科学会(JSAS)」の5学会が関わりました。
要するに、症状に対する治療法の効果・安全性の度合いがわかるわけで、リスキーな治療が行われることを防ぐ役割もあります。
が、美容医療のトラブルは減らず、一般の方々には指針の存在は知られていないのが現状。このセッションで診療指針の意義について立場の違う登壇者が話し、その後は座長の質問でディスカッションを行いました。
私が話し、お答えしたのは「美容医療診療指針」は雑誌・美容メディアではほぼ知られていないこと。
知らなくても美容医療企画は作れること。
そもそも診療指針は医師が知っているべきことなので、メディアが知るなら医師経由になるだろうということ。
トラブルや信じられないような合併症がおきるのは医師の知識・技術のレベルに起因すると考えられるので、診療指針を知らずに美容医療に関わる医師が多いのではないか?
そのような医師に対して学会で何かできることはないのか? あってほしい。
というようなことを話しました。
1990年代後半に、シミやホクロ、ムダ毛など、「無かったらいいのに」というものの治療から始まった美容医療。
もう20数年経ち、治療法は進化し、増えました。悩みが解消し、気持ちが前向きになるなどの恩恵を受けている人はたくさんいます。
その一方で、とんでもないトラブルやミスもたくさんあり、それに対応できない医師も少なくありません。
修正を望む患者さんが送り込まれ、治療を行っている大学病院や美容クリニックの形成外科医、専門医資格を持つ美容外科医からは、その苦労や「こんな治療をして!」という腹立ちは何度も聞いてます。
美容と言えども医療ですからリスクが必ずあり、「絶対安全」とは言えません。けれど自身の技術が未熟だと自覚があるのか、無いのかわからないような医師が治療に失敗し、患者さんの心身に苦痛を与えている現状は残念で、正直腹立たしいです。
悲惨なトラブル例など、一般の方が目にするのはショックが強いだろうという配慮から、皆さんが目にすることはほとんどなかったと思います。
でも、消費者センターへの苦情は増えるばかり。そろそろ、トラブル症例とか、合併症とか、多くの人に知っていただけるように世の中に出す必要が出てきたなと、個人的には思ってます。
セッションの後、素晴らしい技術と患者さんへの誠意をお持ちのベテラン医師によるオペの動画とその説明を聴講しながら、このような医師が増えていくことを心から願いました。
✱美容医療に興味があり、「どの情報が正しい?」と迷ってる方はこちらへ!
一般社団法人 日本美容外科学会 JSAPS(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)
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日本美容外科学会会報2022 Vol.44 特別号 美容医療診療指針(令和3年度改訂版) |全日本病院出版会 (zenniti.com)