シャドウプレイ:『ドラキュラ』の著者名は? | うみねこ島 ベストセラー以外の本を読みたい人のために

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という人もいるでしょう。

このブログは、中世ファンタジーでなくても、魅力あるヒーローは作れることが実感できる
「黒ねこサンゴロウ」シリーズをみなさんに紹介するために開いております。

シャドウプレイ ジョセフ・オコーナー/栩木伸明訳

 

ロンドンにある劇場の支配人と、2人の人気俳優による

18世紀末の話。

3人とも実在の人物で、劇場支配人は

『吸血鬼ドラキュラ』を書いたブラム・ストーカー。

 

どのように『ドラキュラ』を書いたか、にはそれほど力点がない。

3人が生きた時代と舞台演劇が、

そしてなによりもストーカーとほか2人の人物がイキイキと描かれている。

 

場面描写の打ち切り(切り替え)方が上手で、

ダレる感じのところがあまりないのが印象的だ。

 

『ドラキュラ』やシェイクスピアなどを知っていると

より楽しめるのかもしれないし、そのための訳者注も親切だが、

そこはスルーしてもだいじょうぶだよ。

 

「ドラキュラ」とか「フランケンシュタイン」は

どういう内容か(あるいは設定ぐらいは)現代人でも知っているだろう。

しかし著者の名前はおそらく知らない。

それは本として読まれていないからだ。

 

それは著者としては残念かもしれないが、

そもそもストーカーは生前、これほどドラキュラが広まったことを知らなかったようだ。

 

著者名は知られず、本も読まれていない。

なのにだれもが「ドラキュラ」を知っている。

つまり一般名詞になったってことだよね。

それもすごいことだなあ。