現代アートを続けていたら、いつのまにかマタギの嫁になっていた 大滝ジュンコ
山奥の小さな集落に住むようになった人(嫁)が
そこの暮らしをつづっている。
この著者は、それができる才能を持っていた、としか言いようがない。
一番大きいのは、山の集落での日々の作業を
(大変だとごぼしなからも)楽しみを見つけられる感性だろう。
もちろん、こういう著者(ただの嫁ではなく、工芸作者でもある)を受け入れる
ダンナと義父母と集落の人々であったことも欠かせないが。
いま著者がやっている、
「羽越しな布」の継承にまつわるゴタゴタは
サラッと書いてあるけど、そんなことはなかろうと思える。
問題意識を持って読もうとすると
いろんな課題が押し寄せてきてしまうので、
「山暮らしをしている人のエッセイ」ぐらいの軽い気持ちで
本書を受け止める方がいいような気がする。
現代アートもマタギもそれほど出てこない。
後者の理由は、熊の巻き狩りに女性が参加できないので
書くことが限られているから。