我が家の近所一帯で睨みをきかせていた野良猫のハナちゃん
身体が大きくて、
のしのしと歩く姿がかっこいいボス猫だった
体毛は白地に黒のブチ
鼻の横に小さなブチがあって鼻くその様に見えたことから、最初は鼻くそ君と呼んでいた
駅へ向かう道で会うことが多く、
その都度鼻くそ君と呼びかけるのもちょっとなぁと思い直して“ハナちゃん”と呼ぶことにした
こちらが勝手につけた名前とはいえ、
呼びかけると歩みを止めてこちらをじっと見る
尻尾がピンと立っていることも多かったので機嫌は良かったと思う
他のオス猫と喧嘩をしているところもよく見かけたが、圧倒的な強さだった
強くてデカくて(顔もデカくて)とにかくかっこいい猫だった
ハナちゃんがご飯と簡単なねぐらをもらっていた古い家にはおばあさんがひとりで暮らしていた
最近ハナちゃんを見かけないなぁ、と思い始めてしばらく経ったある日
駅に向かう途中、おばあさんを見かけたので訊ねてみた
あの子は死んじゃったよ
ええ?
若いオス猫と喧嘩して、傷からバイ菌が入ったらしくてね
一週間くらいで死んじゃった
うちの庭に埋めたよ
ショックだった
野良だから室内飼いの猫ほど長生きは出来ないとわかってはいたけれども
見かけるたびに声をかけて気にかけていたかっこいいボスだったから
もう会えないんだと思うと寂しくて
ハナちゃんがいなくなった町内では新しいボス猫がのしのしと歩く様になった
体毛は白地に黒のブチ
少しだけ長毛
大きな頬
ハナちゃんの子かも知れない
振り返った時の顔つきがハナちゃんにとてもよく似ていたから