[正論(74)~外為特会を今こそ活用せよ①~]のつづき


■円安の今なら、16兆円を財政運営に使える

これに対して、今の水準の為替レートであくまで、累積評価損が解消されただけであって、含み益はないと財務省はいうだろう。

しかし、前述の2013.3末決算額では、積立金が21兆円もある。この積立金は外貨変動に備えるために残高の3割程度を目安に積むものとされている。

これは、今の外為資産水準が適正であれば、その通りであるが、実は先進国で日本のように外為資産を多く積む国はないのだ。先進国では変動相場制が基本なので、原則として巨額の外貨準備を持つ必要はない。為替はマネタリーアプローチ理論から、2国間でそれぞれしっかりとしたインフレ目標があれば、介入は不要になるからだ。

変動相場制であれば、一度為替介入して外債を購入しても、その外債の償還期限が来たら償還し、それで調達した政府短期証券も償還し、資産と負債を両方ともに減少させるのが筋だ。ところが、日本の外為特会では、外債のロールオーバーを行うことで、事実上の為替介入を継続している。その結果、先進国では類を見ない巨額な外為資金になっている。





外界準備のGDP比でみると、サウジアラビア、シンガポール、スイス、中国などは日本より大きいが、変動相場制の先進国でみると、日本は突出して大きい。

これについては、本コラムで何度も指摘してきた(2013年10月28日付け本コラム「ねじれが解消したいまこそ官僚の既得権益にメスを!今国会で注目すべき特会改革法と公務員制度改革法の意外な関係」/2013年2月18日付け本コラム「G20でマスコミ報道はピンぼけばかり!本当に必要なのは「外為特会利権」の改革だ」/2013年2月11日付け本コラム「日銀人事と日銀法改正のボトルネック"財務省天下りネットワーク"の外為利権に要注意!」)。

外為資金の累積評価損が解消した今、今後、満期の到来する外貨証券を順次償還を受け、政府短期証券を償還していくべきだ。これまで、この当たり前をせずに、償還が来ても外貨債券にロールオーバーして資産残高を維持してきたのを止めるだけだ。

そうすれば、残高が減少し、そのために必要だった積立金が取り崩せる。先進国並みに、今の100兆円の外貨債券を20兆円程度に圧縮すれば、積立金は16兆円程度は取り崩せて、財政運営に使える。

■財務省の外為利権解消を!

また、この外為資産の圧縮は別の効用がある。財務省が先進国の運営方法に反して、巨額な外為資産を持つのは、外為利権という話も、本コラムで何度もしてきた。

今回の消費増税にかかわる、財務省の「ご説明」によって、金融機関のエコノミストが消費増税の走狗になったのは、この外為利権が関係している金融機関も少なくない。親会社のために、子会社のサラリーマン・エコノミストが必死になって「営業」していたと考えるほうが自然である。

そうした外為利権をなくすことができるのだ。今回の増税への「ご説明」に外為利権を使うとはとんでもないことだ。

その上で、円安は日本経済全体ではプラスであるが、一部で苦しんでいる人もいる。そうしたところへの経済対策にも使える。今は、GDPギャップが15兆円ほどあるのだから、この外為資金を活用して、GDPギャップを一刻も早く埋めることも必要である。

円安で政府が潤っているのに、それを活用しない手はない。しかも、15兆円のGDPギャップが埋められること、円安で苦しんでいる人を助けられること、財務省の外為利権の解消になることという一石三鳥の政策である。
(高橋洋一 ニュースの深層)[現代ビジネス]


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不公平と新たなる官僚利権の元「軽減税率」
恐らく、導入後に財務省は更なる消費税増税を言い出すだろう。


租税の原則は「公平・中立・簡素」である。
軽減税率導入反対!



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