今年のお正月はお籠りパラダイス
ラブ

箱根駅伝見ながら本読んで
韓ドラ見ながら本読んで
華ドラ見ながら本読んで
照れ

嗚呼  幸せ
夜更かしし放題‼️
のはずが
チーン

睡魔が容赦なく襲ってくる
勘弁してくれ〜

さてさて  どんどん点が繋がってきました
けど相変わらず
先の展開は想像できません

今日も頑張って読んでやってくださいませ

赤薔薇赤薔薇赤薔薇赤薔薇赤薔薇赤薔薇赤薔薇赤薔薇

ヨンウォンの使者たち

第  三  章  明晰夢

第  二  節

   ヨンウォンが、シモのこの世の診察室で診察を受けていたその時間、甲21の事務室はあの世にあった。そこに、甲1が来ていた。

「ナ・ヨンウォンの事だって?何か分かったのか?」

   甲21が肩をすくめて言った。

「この世の方の職員たちを使って、今まさに進行中。それより、甲1オッパに急いで知らせてあげたいことがあって。とても興味深いことよ。

   甲1が立ったまま、次の言葉を待った。

「この世の精神科医として向こうに行っている甲25の所に行って、ナ・ヨンウォンの事を聞いてみて。ナ・ヨンウォンの担当医師が、甲25使者だったのよ。多分彼は、たくさんの事を知ってると思うわ。」

   甲1は、寸分の遅れもとらなかった。すぐに向きを変え、事務室を出た。と、その時、こちらに歩いてきた男とドアの前でばったり会った。甲3だった。二人とも急を要した状況だった。なので目礼だけして通り過ぎた。さすがに甲3も絡んではこなかった。甲1は『精神医学科医院』の看板が掛かったあの世の診察室の前に立ち、甲3は甲21の事務室の中に入っていった。

「あらっ?法医官オッパがあの世のドアから入って来るなんて、どうしちゃったの?この世の太陽が、西から昇ったのかしら?」

「あの世で資料を探しに。」

「見つけたの?」

「いや。だから頭が痛くて堪らないんだ。今すぐ一緒にこの世に行こう。お前に検索してもらいたいことがあるんだ。」

「私も忙しいんだけど。」

「急いでるんだ。」

「わかったわ。どうせ私もこの世に帰るところだったから。」

   空間が変わり始めた。この世の古びた事務室に移動しながら、甲3が聞いた。

「人間の魂は、大体何年くらいで生まれ変わるんだ?」

「知らなくて聞いてるの?」

「知っているけど聞いてるんだ。確認のために。」

   この世の事務室に完全に変わった。甲21が答えた。

「平均330年周期で転生するわ。

「そうだよな?俺が知ってる常識もそうだ。じゃあ、死後60年から70年で転生する確率は?」

「ゼロに近いわ。100年以内に転生することはまず無いわ。」

   魂が傷ひとつ無くあの世に来て、すぐに裁判府に直行したとしても、最終判決まで受けるのに33年かかる。地獄に落ちるのはもとより、どんな善行を積んだ魂でも、玉皇国にしばらく留まらなければならない。魂も休まなないといけないからだ。そこに千年万年いる魂は無いが、それでも滞留期間はかなり長い。

「だよな。」

「私に頼みたいことって?」

「人ひとり探してくれ。甲25使者の病院の近くだ。俺から探せば簡単なはずだ。道ですれ違ったから。」

「CCTVをハッキングするのね。わかったわ。少し時間がかかるかも。待ってて。」

   甲21がモニターの前に座って作業を始める間、甲3は古いソファーに寝そべって待っていた。


******


「だから……、私も今、それを聞いているのに、逆にそれを私に聞かれても…」

「蝶まで見たって?」

「ええ、それも幻覚だと分かってはいます。透明だったから。」

「男はどんな顔だった?」

   トントン。

   ノックする音が聞こえた。それに構わず、シモはヨンウォンを問い詰めた。

「顔立ち!顔の特徴を言え!」

「髪の毛が脱色したように……」

   甲1使者を見たんだ!これは明らかだ。一体この人間は何なんだ?

   トントン。

   またもやノックする音が聞こえた。シモの神経はそこまでたどり着かなかった。代わりにヨンウォンが非常ドア、すなわちあの世のドアを指差しながら言った。

「あのドアの方からずっと、ノックの音がしています。どうしてもお返事なさらないなら…」

   シモがヨンウォンの指とドアを交互に見て、2歩ほど後ずさりした。椅子が足に蹴られ、押し出された。

「何なんだ、君!あれが聞こえるのか?あのドアが見えるのか?」

「えっ?見たり聞いたりする分には、別に変じゃありません。幻覚が問題…」

   トントン。

   その瞬間だった。突然、診察室が変わり始めた。4面の壁が遠ざかり、天井が高くなって、今まで無かったソファーとテーブルが現れ、暖炉まで現れた。非常ドアが巨大な両開きのドアに変わった。今回は、ヨンウォンが驚いてすくっと立ち上がった。

「ここはどうなってるんですか?何が変わって…」

   ところがヨンウォンよりもっと驚いたのは、シモだった。この診察室が生きている人間を乗せて、勝手にあの世に移動したのだ。目に見えないからと言って、三途の川が無いわけではない。

「君、今、三途の川を渡って…」

   両開きのドアが、パッと開いた。そこに甲1が立っていた。

「あっ…、私の幻覚が……。この男が私の幻覚…」

   ヨンウォンが自分の頭を両手で抱え、絶望した。

「あぁ!私、とうとう本当に狂ってしまったのね。」

   ヨンウォンを見た甲1が、驚いた目をしながら診察室に入ってきた。その目には、哀しみも浮かんでいた。

「ここはあの世なのに、なぜ君が?」

   ナ・ヨンウォン、死んだのか?違うのか?確かに今、生きてる状態なのに?なら、どうやってここに?ここは死ななければ来られない所なんだぞ!

   甲1が頭を整理する前に、突然また、両扉がパッと閉まって、空間が狭くなり始めた。

   甲1が瞬く間に近づいてきて、ヨンウォンを力いっぱい抱きしめた。以前の地下鉄事故の時とは違っていた。息が詰まるほど、とても強い力だった。ヨンウォンは魂が抜けたように、冷たく硬い肌触りの胸に抱かれていた。ソファーが消えて、暖炉も消えた。巨大な両開きのドアは、再び古びた非常ドアに戻っていた。この世に戻ってきたのだ。安全を確認した甲1が、落ち着いてヨンウォンと視線を合わしながら尋ねた。

「頭が痛いとか、めまいがしたりしないか?」

   息が詰まったんじゃないかと聞かれなかったので、ヨンウォンはゆっくり首を横に振った。

「お腹は?ムカムカしないか?」

「やめろ!」

   シモが叫んだ声だった。彼がメガネを外して机の上に放り投げながら言った。

「今、有り得ないことが、立て続けに起こったんだ!そしてその中でも甲1、君の今の態度が一番有り得ないことなんだぞ!無情な君が人に安否を尋ねてるだと?変になりそうだから、いつも通りに行動しろよ!」

   診察室の中は、まさにパニック状態だった。誰一人としてまともな思考をする者がいなかった。甲1も例外ではなかった。外と繋がったインターホンが鳴った。中で叫んだ声のせいだった。シモがインターホンに向かって素早く言った。

「皆さん、片付けて退勤してください。ここは私が片付けますので。 」

 ┈ でも、診察室から大きな声が…。 ┈ 

「治療中です。この患者さんも間もなく出られます。」

 ┈ お待ちの患者さんたちは、どうしたら… ┈ 

「重篤な患者さんに問題が起こったと説明して、帰ってもらってください。」

   インターホンを切った。するとヨンウォンが力なく言った。

「やはり私は今、重篤なんですね?この男、幻覚ですよね?いえ違うわ、たった今、この男と話をしましたよね?でも、この男は何故いきなり、私を抱きしめたのかしら?」

   甲1が答えた。

「三途の川が飲み込むのではないかと思ったからだ。」

   しかしヨンウォンは、どういう意味なのか理解出来なかった。

「三途の川?聞いたことはあるけど、今、それと何の関係が?」

   シモはヨンウォンの言うことは聞かずに、独り言をつぶやいた。

「でもどうして無事に戻ってこれたんだ?三途の川が…、帰してくれるはずは無いのに…」

   ヨンウォンが言った。

「院長先生、どうか私に説明して下さい。この男は幻覚じゃなかったのですか?」

「静かに!僕の頭の中も整理出来ないのに、何の説明をしろと!ナ・ヨンウォン、君の正体は……」

   シモが甲1とヨンウォンを代わる代わる見た。ここで何か一つは整理しなければならない。シモが言った。

「この中で人間は手を上げて!」

   ヨンウォンだけ手を上げた。

「本当に人間なのか?それならどうして…。あぁ、もういい。人間じゃない奴らは手を上げろ!」

   甲1が手を上げた。そしてシモも、うつむいて手を上げた。ヨンウォンの目がシモを見て丸くなった。

「院長先生、これは…、一体どういう…。二人とも人間じゃないということですか?」

「今のこの状況で、我々が人間では無いということより、君が人間だということの方がもっと有り得ないんだよ!」

「さっぱり何を仰ってるのか分かりません。この男は、自分が死神だと言ったのに…」

   シモが甲1に向かって叫んだ。

「死神だってバラしたのか?いつ!一体なぜ!」

   甲1があごの先でヨンウォン指しながら答えた。

「巫の目。半分だけ。」

「何の話だ?管理台帳にはなかったぞ!半分って何だよ?」

「今、調査中だ。」

「そういう事は、この世に来ている我々に一番に知らせるべきじゃないのかよ!」

「それ相応の状況が…。後で詳しく話してやろう。」

「二人だけでコソコソ話さないで下さい!私にも分かるように話して!」

   甲1がヨンウォンに言った。

「君は知らなくていい。俺たちが整理すべきことだ。」

   傲慢極まりない態度だった。ヨンウォンがキレた。

「院長先生!何ですか、一体!説明して下さい!院長先生の正体も!人間じゃないなら何なのか、教えてくださいよ!」

「死神だ。」

   シモの答えにヨンウォンはもっと落ち込んだ。無様に顎まで落ちた。

「それなら私が本当に重篤な精神病者ってことになるんだけど……。あっ、分かった!どういう事なのか分かったわ!」

   甲1は、一度やられたことがある。なので首を横に振った。

「院長先生も私と同じように、集団精神病に罹ったんでしょ?」

   こうなると思った。やはり会話はとんでもない方向に向かった。

「うわぁ!院長先生、潔癖症だけだと思ったら、誇大妄想癖まであったんですね。精神医学の専門医だから、よくご存知でしょ?自らを神や社会的地位の高い特別な存在として誇大妄想するのは、調絃病の症状の一つだということですよね?」

「今言ったことは全部変だけど、潔癖症って何?僕が?」

「ちょっと待って!だって、その黒い手袋をいつもしているから…」

   シモが手袋を脱いで見せてくれた。案の定、今のハードなストレスによって、手だけ無体化していた。ヨンウォンがつぶやいた。

「透明なんだ。手だけ透明なのね。私だけ狂ってるんだわ、私だけ。」

   シモも手袋をはめ直しながら、つぶやいた。

「透明?見えないんじゃなくて、透明に見えるってことなんだな?本当にちゃんと見えてるんだな。確かにあのドアも見えていたから、まぁ。これは予想外だったよ。どうして気配ひとつ無いなんて…」

   甲1が言った。

「ナ・ヨンウォンは帰れ。俺たちだけで話が…」

   ヨンウォンが椅子にドカッと座った。

「帰れないわ!状況が理解できるまで、絶対帰れない!この幻覚さんじゃなくて、院長先生が私を理解させてくれなければなりません。だって院長先生は私の担当医師じゃないですか。今このまま帰ったら、私は狂ったことにしかなりません。」

「君は狂ったんじゃなくて、他の人と違う目を持っているんだよ。」

   シモは自分で言っておきながら、訳が分からなかった。

「違う目って、それは何なのよ。あっ!神気があるとか、そういう意味なの?でもそれは調絃病の一つじゃないですか?私は普段、幽霊とか見たことはありません。飛行機と地下鉄の事故の時以外は。あっ!公園でも。でも、ちょうどあの時は…。あっ!私は外出忌避症なので、見る機会が…。外出しても地面ばかり見ているから。それでも幽霊は来なかったのに…。」

   甲1が口を挟んだ。

「あの世のクリーンプロジェクトによって、近頃は幽霊を見るのは難しいだろう。」

「それはまた、どういう意味なのかさっぱり…」

「とにかく君は狂っていない。君も混乱しているだろうが、今、俺たちも劣らず混乱している状況だ。とにかく家に帰れ。俺が一部始終を調べて説明してあげるから。俺達も情報をやり取りして頭を整理してこそ、君に話してやれるんじゃないのか?」

   ヨンウォンがシモを見た。シモも渾身の力を込めてうなずいた。

「狂ってないよ。君の担当医師である僕が保証する。君が狂ってたら、僕も狂ってることになるから。いっそ僕も今、狂ってしまいたいよ!」

   ヨンウォンがドアの方に行きかけて、また振り返った。

「死神だそうですね?でもどうして医者になったのですか?ニセ医者だったんですか?」

   シモが壁に掛けられた資格証を堂々と指差した。

「僕の専門医の資格証だ!僕が医大で苦労して、自ら得たものだ!ニセモノだなんて!僕はニセ死神という言葉は聞き流せても、ニセ医者という言葉は聞き流すことは出来ない。医大も正々堂々と試験を受けて入ったんだ。受験だけで5回!仮に10回受けて入ったやつよりは早かったが、医大ごとの足切りラインは本当に高かったんだ。」

「いえ、そうじゃ無くて、どうして死神が他の職業ではなく医師を…。それは本当に有り得ないんじゃないですか?」

   シモが机を乗り越えて来て、ヨンウォンをドアの方へ押しやった。

「今は話すことは無い。だから帰ってくれ、頼む。家にもう帰れ!我々だけで整理する時間をくれよ!」

   甲1が彼の手首を掴んだ。

「手荒に扱うな。言葉で言え。」

「甲1使者まで、本当にどうしちゃったんだよ!いつも通りにしろよ、いつも通りに!」

「名前がカビル(甲1 갑일 カビル)なの?外国の名前?」

「名前じゃなくて番号!」

「世の中にそんな番号がどこに…」

   甲1も疲れ果てた。こんな細かい事まで説明する余裕が無かった。

「手荒に扱ってもいいから、追い出せ!」

   こう言いながら甲1が手を離すやいなや、シモはドアを開けた。まさにその直前、甲1は外に見えないように無体化していた。ヨンウォンは押し出されながら言った。

「ほら、ほら!透明になったわ。私、ハッキリ見たわ。それも全部説明してくれないと!」

   シモはヨンウォンだけ外に追い出して、ドアを閉めた。ヨンウォンが外からずっと叫び続けた。

「私を急にまた抱きしめたことは、まだちゃんと説明してもらってないわ!私が触ったり、抱いたりしようとしたら跳ね除けて、自分は抱きしめるの?それも説明しなさいよ!明日まで待てないわ。すぐに出て来なさいよ!来ないならいいわよ。ここに朝から晩まで居座ってやるから!」

   ヨンウォンがドアに背を向けた。カウンターの女性職員二人と看護師が、真っ青になって立ち尽くしていた。皆、帰る準備を済ませた状態だった。支払いのために、職員たちの所へ行った。そして、興奮をどうにか鎮めながら、クレジットカードを差し出した。

「お会計を。」

   職員の1人が急いで受け取って、尋ねた。

「院長先生の処方箋のオーダーがまだ…」

「今日はお薬はないそうです。診療費だけ決済してください。」

「あっ、はい。」

   職員たちはジャージ姿のヨンウォンを、頭のてっぺんからつま先までジロジロ見た。綺麗なのは靴だけだった。ヨンウォンが彼女らに尋ねた。

「私は見えてるんですよね?」

   ジロジロ見ていた職員が、ギクリとして問い返した。

「えっ?何がですか?」

「確かに見えてるから会話をしているんでしょうね。さっき私が出てきた診療室の中に、院長先生がいらっしゃいましたよね?」

「一緒にいらっしゃったから、患者さんの方がもっと良くご存知でしょう。当然…」

   支払いが終わった。ヨンウォンはクレジットカードを受け取って、診療室に向かってもう一度叫んだ。

「待ってるから、必ず来て!約束したわよ!」

   ヨンウォンが病院を出た。その後、職員たちは大騒ぎになった。

「あの二人、付き合ってるの?そういう仲だったの?タメ口で話す間柄なの?いつ、どう進展したの?」

「ウチの院長先生、あれが好みだったの?目がすごく肥えてると思ってたのに。」

「急に抱きしめたって言ってたじゃん。『また』っても言ってたわ。これってセクハラじゃないの?」

「ウチの院長先生がそんな事するはずないわよ。分かるでしょ、ねっとりとした目つき。女たちはそういうのに敏感なのよ。なのにウチの院長先生は、そういうのは全く無かったでしょ?私たちを木片でも見るように見てたじゃない。失礼なほど。違う?私だけがそう感じてたの?」

「そんなはずないでしょ?そういう淡白さがあるから好きなんだけど…」

「女が先にちょっかい出したんだわ。院長先生は跳ね除けたって言ってたじゃない。」

「あっ!そうよ。確かに聞いたわ。」

「オモッ。どうするの、ウチの院長先生。おかしな女に引っかかったみたい。」

   外ではこんなに大騒ぎになってることも知らずに、診療室の中では甲1とシモが、へとへとになって座り込んでいた。シモがつぶやいた。

「ここの空間のシステムエラーだったのか?」

「三途の川の暴悪さを知らないわけじゃないよな?システムエラーでも、三途の川が許すはずがない。あの世からこの世に脱走しようとする魂を防ぐために存在するのが三途の川なのだから。」

「そうだよな。三途の川が生きている人間を、四肢肉体が完全な人間を、生きている肉体のまま出入りさせるわけないよな。間違って死んだ魂でもなく生きた体なんて、聞いたことも見たことも無い。」

「今までこんな事は無かった。間違いなく未曾有の事態だ。」

「今ここで、ハッキリしたのは一つだけだ。甲1使者の前頭葉は、完全無欠だということだ。」

「何言ってるんだ?」

「何でもない。ちょっと頭を冷やしてから話そう。」

「そうだな。」

   二人は会話をやめ、ただひたすらぼーっと座っていた。


*******


「法医官オッパ、見つけたわ。」

   甲3がソファーから起き上がって、机の方にやって来た。モニター二つには、それぞれ6つの画面が同時に再生されていた。全てが違う画面だった。そのうちの1箇所を甲3が指でさした。

「この女だ!身元照会してみてくれ。」

「うん?ナ・ヨンウォンじゃないのよ!」

「画面だけ見て身元を突き止めるなんて、システム管理所は凄いんだな?」

   甲21が、椅子からすくっと立ち上がった。そして甲3を睨みつけながら、叫んだ。

「何なのよ?法医官オッパもナ・ヨンウォンだったの?何で?何でまたナ・ヨンウォンなの?あっ、待って!60年から70年振りに転生がなんちゃらって言ってなかったっけ?」

「うん、それは俺が100年くらい前に…」

   甲21は、ただ事でないことを直感した。それで本能的に叫んだ。

「黙って、甲3使者!今から一言も何も言わないで!」

「何故だ?」

「ちょっと待って。誰か呼ぶから。来たら話そう。」

   ここは今、この世だった。なのであの世のスマホでは、中央官制センター以外には繋がらなかった。甲21は、中央官制センター長に電話をかけた。呼出音が鳴ってる間、甲3が言った。

「俺はお前に言っておくことが…」

   甲21がスマホを耳に当てたまま怒鳴った。

「黙って!喋らないで!今は聞きたくない!一緒に聞いてよ。あなたも聞いておいた方がいいと思うから。」

怒鳴っている間に電話が繋がった。

 ┈ 何で怒鳴るんだよ?どうしたんだ? ┈ 

   甲3が、電話が繋がってるとは知らずに話し続けた。

「何が聞きたくなくて、何を聞かなきゃならないと言うんだ?」

 ┈ 気の狂った奴がそこにいるんだな?また問題を起こしたのか? ┈ 

「センター長オッパ、甲1使者はどこにいるの?さっき私のあの世の事務所に来て、出ていったのよ。」

 ┈ 待った、位置を確認してみる。……出国記録も無いのに、この世にいるようだ。 ┈ 

「あっ!精神科診療室いるんだわ。分かった。」

 ┈ 何のことだよ! ┈ 

「後で説明してあげる。今、急いでるから。」

   甲21はあの世のスマホを切って、この世のスマホで電話をかけた。シモのこの世のスマホにかけたのだけど、出なかった。一旦切って、病院にかけ直した。誰も出なかった。まだ診察時間が終わる前だった。

「おかしいわ。受付終了後も電話には出るはずなのに…。」

甲3も、甲21が何故こうするのか訳が分からなくてイライラした。

「いきなり甲1使者を何で探すんだ?」

   甲21が、電話を切った。そして言った。

「オッパ、今からこの世の診察室に一緒に行こう。精神科オッパは私たちと違って、診察室の外にほとんど出ないから、そこにいると思う。甲1オッパと何かあって、電話に出られないみたい。」

「二人の間に起きる事って何がある?あの二人には何の接点も無いじゃないか。」

「接点が出来たのよ。」

「昼飯時、甲25使者と会ったけど、何事も無かった…」

「その後に出来たのよ!行こう!行って話そう。」

   甲21が手を差し出した。甲3が、何の手かと言うような表情をした。

「空間移動。私たちは使者庁月職とは違って、この世での正確な座標移動に弱いのよ。一緒に連れて行って欲しいの。本当に空気読めないわね。」

   甲3が甲21の手首をつかんで、シモの診察室に移動した。そこで彼らが出くわしたのは、魂が抜けたように患者用の椅子に座っている甲1とシモの姿だった。甲3が叫んだ。

「どうしたんだ!攻撃されたのか?玉皇国の奴らの仕業か?」

   シモが片方の目だけ開けて、二人を確認した。

「ただでさえ気分が悪いのに、甲3、お前がなぜ現れるんだ?」

「俺の方が聞きたいよ。なぜ、連れてこられたのか。興信所の使者に聞いてみろ。」

「甲21使者、また何で!」

「精神科オッパが電話に出ないから、直接来たのよ。」

「電話に出るのが面倒で。何の用かは知らないが、今度聞くよ。」

「重要な事よ。もの凄く!」

「我々は今、核爆弾にやられたんだ。他の事を聞く気分じゃない。」

「私たちは法医官オッパが核爆弾を持って来たんだけど。」

「俺がいくら気狂いでも、核爆弾は持ち歩けないぜ。」

「この核爆弾が、その核爆弾なのかしら?」

「自分が気狂いだと分かってるんだな。」

   甲21が両手をサッと上げて叫んだ。

「待って!皆んな静かに!この中で、ナ・ヨンウォンを知ってる人、手を上げて!」

   速さの差はあったが、診察室内の四人の使者全員、手を上げた。彼らの目が同時に大きくなった。そして、しばしの静寂が過ぎる間、お互いがお互いを見るのに忙しかった。静寂を1番最初に破ったのは甲1だった。

「甲3使者が、どうして手を上げるんだ?」

「皆んな知っていたのか?」

   シモが甲3に向かって叫んだ。

「サンプル1だって、知っていたのか?」

「サンプル1だったのか?」

   甲1が割り込んできた。

「サンプル1って、どういうことだよ!」

   シモが言った。

「じゃあ、甲3使者は何で知ってるんだ?」

「俺はここに来る直前に知った。なら、お前らは?」

パン!パン!パン!

   甲21が手を叩いて、パニックになっている他の使者たちを集中させた。

「オッパたち!これでもう私達とも話をする気になったでしょ?」


ピンクマカロンマカロンピンクマカロンマカロンピンクマカロンマカロンピンクマカロンマカロン

あらら
三人のオッパたち
ヨンウォンを巡ってどうなるのかしら?
甲21姉さん
ビシッとまとめて下さいませ

相変わらず ヨンウォンには多くの謎が
真顔

今日も読んでくれはって
おおきにさんです
ピンクハート