会社で隣に座っている方が児童書をよく読まれる方で、
いろいろ情報をもらっていたのですが
ある日、ふと見ると包装紙製のブックカバーに『黒い兄弟』のタイトル。

黒い兄弟・・・くろい…どんな闇~~??

「これ、闇が深そうなタイトルですね~~(;^ω^)」とお聞きしたら
・19世紀のスイスーイタリアが舞台
・煙突掃除夫として売買される少年が主役
・過酷な状況にも負けない勇気と友情の物語
・ひどい大人と手を差し伸べる大人の対比
・「黒い」のは煙突掃除のため煤で真っ黒に汚れた姿
・「黒い兄弟」は同じ境遇の少年たちがつくった同盟

なにそれー「オリバー・ツイスト」的な?おもしろそうじゃないですか!
で、お借りして読んでみました。


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作者のリザ・テツナーは、ドイツ出身。ナチス時代にスイスに亡命し
そこで少年売買の記録をみて衝撃を受け、『黒い兄弟』を執筆したそうです。

もともと民話やグリム童話を伝える語り部をしていたところからも
子供好きと思われる作者。
労働力として売買される少年たちの過酷な状況や悲しさを描きつつも
せめて物語の中では少年たちに希望を失わせなかったのは

病弱だった子ども時代を過ごした自分自身への慈しみのようにも思いました。


子ども時代を大切にされるって、大事ですよね~~~…

主人公のジョルジョは被虐の末、汚名を着せられ逃げ出す決心をします。
ふとした縁で助けてくれた同国人の医師カセラ先生のもとへ仲間と共に身を寄せ、
そこで教育を受けて故郷の教師となり、
父母のもとへ帰る場面で物語は終わります。メデタシメデタシ

私にとっての感動ポイントは
カセラ先生の教育が「手に職」であること。
少年たちが置かれていた環境は「労働という名の虐待」ですが
カセラ先生がいう「仕事」というのは「自己実現のため」の手立てなのですよ。

手に職。
何が好きか。何になりたいか。何が得意か。どんな支えが必要か…
カセラ先生はその子に応じた提案をしてくれます。
素晴らしいキャラクターキラキラキラキラでした。



聞くと、「ロミオの青い空」というアニメ作品の原作なんだそうですよ。
(アニメ化されたときはずいぶん改変されたそうですが)
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね♪