この本は『ほかならぬ人へ』と『かけがえのない人へ』の2作品から成っています。
読み始めからもやもやした気持ちになり、最後までそれが解消されずに読み終えました。
以下作品ごとに感想を書きます。
『ほかならぬ人へ』
主人公明生と彼の周りの女性たち、それぞれにとっての大切な人の話。
登場する女性たちはわかりやすいキャラクターです。
美人だけど性格に問題のある明生の妻なずな。
スタイルがよくて仕事もできるけれど、顔がブサイクな上司の東海さん。
子どもの頃から明生の兄を思い続けるいとこの渚。
キャラはわかりやすいのに、彼女たちのセリフや行動が腑に落ちません。
明生にとっての東海さんがかけがえのない人で、このふたりの言動はわかるとして、なずなと渚は自分の思い込みの中で右往左往しているだけというか。
思い込みに振り回されるのはよくあることでも、そういうことを書きたい小説ではないような気がするし、明生たちの関係を際立たせるために彼女たちを登場させたのだとしたら不幸すぎます。
ん~もやもやします。
それぞれの登場人物の感情がもっと丁寧に書かれていれば、また違う読み方もできたのかもしれませんが。
なんとなく消化不良のまま終わってしまった作品です。
『かけがえのない人へ』
主人公みはるは、婚約者聖司との結婚式を前にして以前交際していた黒木と縒りを戻す。黒木とつきあう中で大事なものに気づいていく。
全体的にメロドラマ的です。不倫とか不遇な過去とか。
『ほかならぬ人へ』から続けて読むと、「またか」という感じになります。
それでもどちらかといえばこの作品の方が好きです。
みはるの言っていることもわかる、行動も理解はできます。
『ほかならぬ人へ』より一貫していると思います。
結末は、こうなるしかなかっただろうなと思える終わり方です。
どちらの作品も、失ってからそれが自分にとって大切だったと気づきます。
現実でもそういうことは多いけれど、失なう前に気づくことができたらいいのにね。