キャンディ | 生きるために不必要で大切なもの[Rental Heart Cafe self-cover]

キャンディ

050314


         「なんだ?そのなんとかデーって?そんなの理由になんな
          いでしょ。だからって、直帰してデートなの?おまえ、
          仕事そんなんでいいの?」


         「なんで俺まで嘘つかなきゃなんないのさ?」


         「‥‥いや、何の日かは知ってるけどさ、俺、そういうの
          関係ないもん。」


         「‥‥だいたいさ、チョコもらってさ、なんでおかえしが
          キャンディなわけ?菓子業界の陰謀丸出しじゃない?」


         「えっ?いまどきキャンディじゃないの?じゃ、なにあげ
          んのよ?」


         「ピ~ア~ス~!?ル~ビ~イ~!?おまえわらしべ長者
          かよ!?彼女、ウハウハじゃん。」


         「言うんだよ!‥‥俺んとこの地元はみんななんだりかん
          だりウハウハっていうの!」


         「いんだよ、んなこたぁどうでも!それで?プレゼント渡
          して?メシおごって?んでどうすんの?」


         「へっ?帰っちゃうの?‥‥バカだねぇ‥‥男ってバカだ
          ねぇ。餌付けのつもり?それ。ハハハッ。イルカだね、
          まるで。でもイルカの方が頭よかったりして‥‥。」


         「ご、ごめん言い過ぎた。‥‥怒んなよ。‥‥まぁチョコ
          はもらってんだもんな。気持ちだよな。そうだよな。」


         「じゃぁ、チーフに言い訳しとけばいいのね。わぁった。
          適当に言っといてやるよ‥‥。」


         「じゃぁな‥‥。楽しんでこいよ‥‥。」


         「あっ、そうだ!なあ!ちょっ!もしもーし!‥‥。あの
          ‥‥ちょっと聞いていい?」


         「‥‥ちなみにさ。‥‥ちなみにね。キャンディが、あり
          えないってことじゃぁないよね?」



No.0198
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