キャンディ
「なんだ?そのなんとかデーって?そんなの理由になんな
いでしょ。だからって、直帰してデートなの?おまえ、
仕事そんなんでいいの?」
「なんで俺まで嘘つかなきゃなんないのさ?」
「‥‥いや、何の日かは知ってるけどさ、俺、そういうの
関係ないもん。」
「‥‥だいたいさ、チョコもらってさ、なんでおかえしが
キャンディなわけ?菓子業界の陰謀丸出しじゃない?」
「えっ?いまどきキャンディじゃないの?じゃ、なにあげ
んのよ?」
「ピ~ア~ス~!?ル~ビ~イ~!?おまえわらしべ長者
かよ!?彼女、ウハウハじゃん。」
「言うんだよ!‥‥俺んとこの地元はみんななんだりかん
だりウハウハっていうの!」
「いんだよ、んなこたぁどうでも!それで?プレゼント渡
して?メシおごって?んでどうすんの?」
「へっ?帰っちゃうの?‥‥バカだねぇ‥‥男ってバカだ
ねぇ。餌付けのつもり?それ。ハハハッ。イルカだね、
まるで。でもイルカの方が頭よかったりして‥‥。」
「ご、ごめん言い過ぎた。‥‥怒んなよ。‥‥まぁチョコ
はもらってんだもんな。気持ちだよな。そうだよな。」
「じゃぁ、チーフに言い訳しとけばいいのね。わぁった。
適当に言っといてやるよ‥‥。」
「じゃぁな‥‥。楽しんでこいよ‥‥。」
「あっ、そうだ!なあ!ちょっ!もしもーし!‥‥。あの
‥‥ちょっと聞いていい?」
「‥‥ちなみにさ。‥‥ちなみにね。キャンディが、あり
えないってことじゃぁないよね?」
050314