(画像提供:"Gebärende Maria": Marienstatue im Linzer Dom zerstört)

 

上差し 2024年7月1日(月)から3週間限定でオーストリアのリンツ市内にあるマリーエン大聖堂で無名の芸術家であるエスター・シュトラウス氏(女性だけど「氏」で)による「出産する聖母マリア像」が展示されていましたが、初日に何者かによってこの「出産する聖母マリア像」の頭部がノコギリで切断されてしまったことが、賛否両論ありますが、ちょっとした事件になりました。しかし、その頭部が見つかり、現在は修復されたとのことです。

 

 

下差し 確かに、カトリック教会の大聖堂にこの「出産する聖母マリア像」を展示するということすら物議を醸しだしているものの、そもそも聖母マリアの出産シーンを彫刻として製作しようとするアイデアはキリスト教徒からは出ないと思うのです。

 

そして、この「出産する聖母マリア像」は、キリスト教のクリスマスの伝統的習慣である聖家族のイエス・キリスト降誕場面(プレゼピオ)を飾ることをメインとして使用しているリンツ市内にあるマリーエン大聖堂では「場違いだ!」と思ってしまう人がいても仕方ないと思うのです。これは、聖母マリアでなくても、一般的に考えると若い女性であれば誰でもできる出産なので「神聖さ」もないし、幼子イエス・キリストの姿がないので有難い「救い主」の到来すら感じることができません。そんな作品をカトリック教会に飾るなんて「ふざけるんじゃねーよ!」となって首を刎ねられてるのも分かるような気がしました。

 

(画像提供:"Gebärende Maria": Marienstatue im Linzer Dom zerstört)

 

下差し しかし、ところがどっこい!的な事実が判明したのです。

 

そもそも、この芸術家の名前「エスター・シュトラウス」なんてのは旧約聖書の「エステル記」に因んでつけられたユダヤ人女性の名前です。キリスト教徒の女性にはない名前です。

 

下差し これは一般論でしかないかも知れませんが、西欧諸国では、その人の名前で信仰している宗教が分かるようになっています。だから、私の場合、私の洗礼名と堅信名として「Etheldreda(エデルドレーダ)」というイギリス出身の聖人の名前を頂きました。ドイツ語にすると「Edeltraud(エーデルトラウト)」になります。そして、その「Etheldreda(エデルドレーダ)」という聖人の祭日が毎年の6月23日となります。そんな風にしてカトリック信者たちは聖人リストから名前を選んでつけてもらうので、旧約聖書に登場する人物の名前を生まれた赤ちゃんにつけるってことは殆どないと思います。

 

 

 

下差し 実は、この「出産する聖母マリア像」を製作した芸術家であるエスター・シュトラウス氏、彼女の祖父は1943年にアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所に収容されていたようなのです。彼女の証言と拘りは、彼女が見た夢とごっちゃになった状態ですが、この芸術家エスター・シュトラウス氏がユダヤ人の娘であることは間違いないと考えています。

 

 

何せ、この芸術家エスター・シュトラウス氏の聖家族のイエス・キリスト降誕場面(プレゼピオ)に対する解釈の仕方が的外れですしね。キリスト教的信仰者であることが全く表現されておらず、この世界中で最も有名な歴史的女性の突拍子もない偶像を製作して、無名であった芸術家エスター・シュトラウス氏の名前を世界に知らしめたいという、自分さえ良ければいいという、ある一種のユダヤ人特有のご都合主義的な(ガザ戦争でも分かるように)野心にかられた気持ちしか表現していないように思えてしまいます。ただ、聖母マリアに対する信仰はないけど恩恵にあやかりたいだけのように。

 

(画像提供:"Gebärende Maria": Marienstatue im Linzer Dom zerstört)

 

※ しかし、旧約聖書の時代の出産ってこんな風だったんでしょうかね?江戸時代の日本とかでは天井から紐を吊って、それに掴まりながら出産していたとのシーンをテレビで見たことがありました。又は、動物が出産するように横たわるとかね。

 

 

 

 

下差し ささっと検索してみただけですが、旧約聖書の時代の出産は以下のようなスタイルで出産していたようです。やっぱり、芸術家エスター・シュトラウス氏の「出産する聖母マリア像」のように、一人で空を見ながら出産するのは無理でしょうね。

 

 

(画像提供:Childbirth and Children in the Bible)

 

 

下差し 中世時代には、以下のようなスタイルで出産していたようです。

(画像提供:Childbirth and Children in the Bible)

 

 

 

 

 

下差し それでは、ユダヤ人芸術家によって製作された「出産する聖母マリア像」の聖母マリアの頭部が切断された記事を和訳してご紹介致します。

 

 

 

<記事の和訳始め>

 

 

(タイトル)「聖マリア像」:リンツ大聖堂の正面にあるマリア像

 

2024年7月1日(月)からリンツ市内にあるマリーエン大聖堂で芸術家エスター・シュトラウスによる「出産する聖母マリア像」が7月22日(月)までの3週間のみ鑑賞できるようになりました。

 

しかし、それから間もなく、その「出産する聖母マリア像」の聖母マリアの像の頭部が何者かによってノコギリで切られ、行方知れずの状態になっていました。

この芸術家エスター・シュトラウスの作品は、2024年7月1日(月)から3週間のみの展示でした。因みに、この作品は、1913 年にドイツ人彫刻家であるセバスチャン・オステルリーダーがこのマリーエン大聖堂で自作の聖家族のイエス・キリスト降誕場面(プレゼピオ)を展示するプロジェクトの一環であり、今までに毎年、菩提樹の木から製作された40体の人形が世界一の聖家族のイエス・キリスト降誕場面(プレゼピオ)座を狙う展示会がありました。

 

芸術家エステル・シュトラウスは、芸術家気取りの仕事をしており、隠れ家的な生活を送っていますが、フェミニストの観点から、キリストの誕生の瞬間を捉えた聖家族のイエス・キリスト降誕場面(プレゼピオ)の像を110年もの間製作し続けてマリーエン大聖堂に作品を飾った人物に敬意を表し、今回の彼女の作品展示への参加に対して独自の神学を説いています。

 

芸術家エステル・シュトラウスは、マリーエン大聖堂に飾る為に聖家族のイエス・キリスト降誕場面(プレゼピオ)の一部である 2 人のマリアの像を製作しました。1つはクリスマス・イブに設置された飼い葉桶の中の子供の横で手を組んでひざまずいている聖母マリアと、膝の上に子供イエスを乗せて座っている聖母マリアです。 そして、公現祭に現れる3番目の聖母マリア像として出産する聖母マリア像」を製作しました。

 

聖母マリアという人物は世界で最も有名な女性

 

芸術家エスター・シュトラウスは、聖母マリアの描写について次のように語っています、「恐らく、聖母マリアは、世界で最も有目で、2000年以上の間相変わらず数多くの絵画や彫刻のタイトルになって描かれている女性です。これらの聖母マリアにかかわる作品の大部分は男性の職人(芸術家)によって製作されました。だから、何かが足りないような感じがするのは何故でしょうか?世界中の何百万人ものキリスト教徒の人々が祝う主のご降誕祭は、いかなる絵画や彫刻にもそれ(出産)を見出すことができません。」と。

 

 

そして、芸術家エスター・シュトラウスは、無性愛者としての聖母マリアの描写や「理想的な母親または女性の像」のテーマは、単に「再び家父長制的な権力関係を助長するだけではないか?」という語っています。

 

リンツ教区の広報担当者は、ORFラジオのオーバー・オーストリア州からAPAへの報告を認めました。従がって、彫刻の頭は鋸で切り落とされとし、調査は現在進行中です。

出産する聖母マリア像」の聖母マリアの像の頭部が切り落とされた原因の調査

 

聖母マリアの像の頭部が切り落とした動機は、誰かが描写に対する不快感を表明し、発言者が言うように「議論を避けたい」ということであったと考えられています。現在、ブルゲンラント在住のアーティストとの接触が試みられています。

 

 

<記事の和訳終わり>