上差し 画像では、2冊の『中心の喪失(Verlust der Mitte)』が映っていますが、

 

左矢印 左にある古い方の1冊は2010年8月1日(日)に古本店「よみた屋」から3450円買ったものです。

 

右矢印 右にある若干新しく見える灰色のカバーがされている『中心の喪失(Verlust der Mitte)』は2024年3月14日(木)に届いたものです。

 

 

下差し その『中心の喪失(Verlust der Mitte)』は、2024年3月6日(水)に投稿した記事「♫ 現代音楽を教えてくれたシュテファンが作曲した曲 ♬」でご紹介したシュテファン・トゥルンマー氏(Stefan Trummer)の実兄であるトーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )が教えてくれた本です。

 

 

2024年3月6日(水)に投稿した記事「♫ 現代音楽を教えてくれたシュテファンが作曲した曲 ♬」でも書きましたが、1992年9月から約1年間、私がウィーン大学のドイツ語コースに通っていた頃にお付き合いしていたシュテファン・トゥルンマー氏(Stefan Trummer)とウィーン10区で一緒に暮らしていました。

 

そして、隔週で週末になると私とシュテファンが彼の故郷のブルック・アン・デア・ムーア(Bruck an der Mur)に行き、彼の母親エーフィさんとお祖母さまのエミリアさん、彼の実兄のトーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )と共に午後3時までランチをしながら過ごすのが習慣になっていました。そして、トーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )が1か月に1回ほど私たちが暮らすウィーン10区のマンションに遊びに来ることもありました。彼の彼女であったモニカ・ぺスラー(Monika Pessler)さんも遊びに来ることがありましたけどね。

 

クリスマスツリー炎 そのトゥルンマー家では、クリスマスツリーに色の付いた豆電球ではなく直接長さ10センチほどのロウソクを葉っぱに立てて点灯する習慣がありました。そして、日没前に当時25歳だったトーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )がクリスマスツリーに点灯しようとしたら失敗してクリスマスツリーの半分が燃えてしまいました。どうして良いか分からず、でも、消火しようともせずにトーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )が爆笑していたら母親のエーフィさんが来てシュタイヤ―マルク方言で怒鳴りまくってトーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )の頭を3発くらい殴っていたことなども思い出します。

 

星空 ある週末、夜中にテレビで放送されたジャン・ポール・ベルモンド主演のコメディ番組を居間で4人で観ながら私が眠ってしまった時があり、丁度そのジャン・ポール・ベルモンド主演の番組が終わった頃に私が目を覚ましたら、トーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )が私に「どうだ?面白い番組だっただろう?」と言って笑わせてくれたことも覚えています。面白い方でした。

 

(画像提供:Thomas D. Trummer bleibt bis 2030 KUB-Direktor)

 

下差し トーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )シュタイヤ―マルク方言で話されているYOUTUBE動画がありましたのでご紹介します。このYOUTUBE動画を観る限りでは、私たちが共に過ごした31年前と変わらず人々から愛される人徳あるキャラクターのようです。

 

 

下差し トーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )は、私たちよりも1歳年上ですので今年で57歳になられます。現在では、シュタイヤ-マルク州の放送局の番組コメンテーターとしてもご活躍されているようです。

 

(画像提供:WIKI - Thomas D. Trummer)

 

下差し 少しだけドイツ語で書かれたトーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )の詳細を和訳したいと思います。、

 

<WIKI 和訳始め>

 

トーマス・D・トゥルンマー氏(1967年8月2日、ブルック・アン・デア・ムール生まれ)は、オーストリア人の理事長、美術史家であります。 2015年5月1日以来、ブレゲンツ美術館(KUB)の館長を務めています。(契約は2030年4月まで)

 

トゥルンマー氏は、グラーツで音楽、哲学、美術史を学びました。 グラーツ大学の美術史研究所で働き、グラーツ美術館でフリーの理事長として働いた後、ウィーンのオーストリアン・ギャラリー・ベルヴェデーレ(1996年から2006年)で現代美術の初代理事長を務めました。 この役割において、トゥルンマー氏はアトリエ・アウガルテン、後のTB21 アウガルテン コンテンポラリーを設立しました。 2006年から2007年の国際コンペティションの後、トゥルンマー氏はコネチカット州リッジフィールドにあるアルドリッチ現代美術館の初代ホール・キュレトリアル・フェローに任命されました。 その後、2007年から2011年までミュンヘンを拠点にシーメン・アート・プログラムとシーメンス財団でビジュアル・アート・プロジェクトのマネージャーとして働きました。この役割において、トゥルンマー氏はベオグラード市、キエフ市、デトロイト市、シカゴ市、ブリュッセル市、ブダペスト市、ブエノスアイレス市、チューリッヒ市などの博物館の為にに数多くの展示や協力プロジェクトを開発しました。 2010年にはマサチューセッツ州ケンブリッジ市にあるマサチューセッツ工科大学のACT MIT プログラムの芸術、文化、技術の客員研究員を務めました。 2011年から2012年にかけてケルンのルートヴィヒ美術館カスパー・ケーニッヒ氏とともに展覧会「法律の前」を開催しました。 2013年以来、トゥルンマー氏はハイケ・マイヤー・リーパー氏、ブリギット・ハック氏、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト氏、マルクス・シンヴァルト氏と共にEVNコレクションの芸術評議会のメンバーを務めており、2020年からはオーストリア・ルートヴィヒ財団のメンバーでもあります。2023年からはVALIE EXPORT財団のメンバーでもあります。

 

2012年から2015年4月までトゥルンマー氏はマインツ美術館の監督を務めました。2015年5月からブレゲンツ美術館(KUB)の館長を務めています。

下差し トゥルンマー氏は学芸員としての仕事に加えて現代美術のジャーナリストとして、又、またさまざまな大学や美術大学で講師としても働いています。 著書「
Bilder in der Pandemie」が 2021 年 1 月に出版されました。

 

 

 

(画像提供:AMAZON - Bilder der Pandemie. 50 Bildbetrachtungen: Kunsthaus Bregenz Paperback – 26 Jan. 2021)

 

 

 

<WIKI 和訳終わり>

 

 

下差し どうして、私が2010年8月から『中心の喪失(Verlust der Mitte)』を買い集めているのか?・・・というと、オーストリア人の美術史家ハンス・ゼードルマイヤー(Hans Sedlmayr)が書いた『中心の喪失(Verlust der Mitte)』が「すなわち「中心」とは西欧文化における神であり総合的人間像(の集合としての総合芸術)を指している」として近代美術の危機を訴えた貴重な本であり、これを将来に遺す為に買い集めて図書館に寄付したいと思ったからでした。古本屋に眠ったまま捨てられてしまったら勿体ないですから。

 

 

下差し 現在、生き残っている昭和生まれの日本人ですら殆ど知らない『中心の喪失(Verlust der Mitte)』ですから、日本語WIKIに詳細が載っていないんですよね。こちらをご参考にして頂けたらと思います。

 

(画像提供:Artwords(アートワード)『中心の喪失』ハンス・ゼードルマイア)

 

下差し 今回、メルカリで送料込みで1900円で売られていた『中心の喪失(Verlust der Mitte)』です。

 

※ この『中心の喪失(Verlust der Mitte)』の価値が分かる書店では9800円(送料込)で売られていました。しかし、幸いなことにこの出品者はその価値が分からなかったようです、昭和の後半か平成生まれの方でしょうね。

 

 

下差し こちらが、若干新しいカバーがされているものです。ドイツ語のタイトルは「Verlust der Mitte(フェアルスト デア ミッテ)」です。ドイツ語で「Verlust(フェアルスト)」とは、失うという意味の動詞「verloren(フェアローレン)」が名詞になったもので男性名詞です。

 

 

下差し 当時の日本円で1600円だったようです。しかし、当時といっても1965年発行とのことですから現在の価値にすると3840円くらいになると思います。

 

 

下差し カバーというか箱ですね。でも、中身の本のデザインは同じです。

 

 

下差し 内部は殆ど未使用品というか新品同様です。

 

 

下差し そして、こちらが、2010年8月に古本店「よみた屋」から3450円(送料込)買ったものです。

 

 

下差し 中身の本のデザインは同じです。また、次の回にオーストリア人の美術史家ハンス・ゼードルマイヤー(Hans Sedlmayr)について書きたいと思います。

 

 

下差し しかし、実は・・・、『中心の喪失(Verlust der Mitte)』を私に教えて下さったのは、直接的にはトーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )ではなく、日本から遊びに来られていた大沢恵子さんという当時60歳くらいのご婦人とトーマス・D・トゥルンマー氏(Thomas D. Trummer )との会話でこの『中心の喪失(Verlust der Mitte)』の話が出てきたのを私は聞いていただけでした。その大沢恵子さんのご主人が東京大学出身で、ご主人の勧めで『中心の喪失(Verlust der Mitte)』を読まされたとのことでした。

 

 

下差し 1965年に日本で出版された訳ですから、私が生まれる3年前のことになります。

 

 

下差し しかし、こちらの古本店「よみた屋」から買ったものにはアンダーラインが引かれていて、「現代では、個人においてばかりではく集団においても、意識されていないものを意識にのぼらせることによって、事態を新たな次元で直接的にまた明らかな形でとらえる、という課題が、われわれに課せられているようにみえる。」とあります。

 

 

下差し 別の頁にも「絵画の優れた成果は、このようにカダイの外で起こるものであり、一般に絵画というものは、特定の課題に対して成り立つのではなく、それ自体で<自由>芸術として成り立つのであり、公共の仕事として実施されるものではない」にアンダーラインがされています。因みに、これを和訳されたのは、石川公一氏と阿部公正氏です。

 

 

下差し 2010年8月に古本店「よみた屋」から買った際の納品書を記念に裏表紙に貼っておきました。

 

 

下差し 恐らくですが、古本の価値というか値段というものは・・・、その本を知らない人が増えるほど値段が安くなる、又は、価値が下がってしまうものなんですね。例え、それが真珠であっても、売る人が豚ならば。

 

 

 

下差し 古賀茂明氏が書かれた「日本中枢の崩壊」も、『中心の喪失(Verlust der Mitte)』を買った後に読んだ訳ですが、これをドイツ語にすると「Verlust der Mitte」になるんですよね。恐らく、古賀茂明氏も『中心の喪失(Verlust der Mitte)』を読んだことがおありなのだと思います。