2023年12月3日(日)、午後1時から在日ウクライナ正教会の礼拝が始まり、その後で午後3時からホロドモール合同祈祷式が神谷町駅付近にある聖オルバン教会で行われました。そして、ホロドモール合同祈祷式では多くの方々にお集まり頂き、名古屋にあるイスラム教司祭のイマーム・アニース・ライス氏、横須賀海軍ホープチャペルでユダヤ教司祭をされていらっしゃるラビ・アレックス・M・ハミルトン氏、浅草にある臨済宗・桃林寺の副住職である成田義孝氏、カトリック東京大司教区大司教秘書・広報員の赤井悠蔵氏もご出席されメッセージを頂きました。

 

 

下差し 何だか祭壇周辺を飾っているインテリアの配置がいつもと異なっていました。

 

 

下差し いつもであれば、この場所には聖母マリアと幼子イエズスのイコンが飾られているはずです。

 

 

下差し 確かに、本日から待降節(クリスマス・アドヴェント)が始まったこともあり何となく雰囲気が異なっているだけだろうと考えていたら

 

 

下差し その横には大きなアドヴェント・クランツが飾られていました。中央には種火となるロウソクも立てられていました。

 

 

下差し 最初、礼拝が始まったばかりの時にはまだ殆ど出席者はいませんでしたが、途中から次々と日本人の方々が聖堂に入って来られて次第に出席者が増えていきました。最近では私のブログ記事を読んで在日ウクライナ正教会の礼拝を訪れる日本人が多いとのことでお役に立てて良かったと思いました。

 

 

下差し 基本的にウクライナ正教会の礼拝は勿論のこと、東方正教会での礼拝では司祭が会衆に背を向ける形で儀式が行われます。これをカトリック用語で「トリエント・ミサ方式」と呼んでいます。1970年以降、第2バチカン公会議の後は現在行われている会衆と司祭が向かい合う形で行われています。しかし、東方正教会は第2バチカン公会議とは関係ない為、昔から行われている伝統的な礼拝方法を現在でも行っています。

 

 

下差し 今日は侍者の方がいらっしゃいませんでした。恐らく、韓国人の侍者をされていた方は韓国へ帰国されたのだと思います。

 

 

その「トリエント・ミサ方式」で礼拝の儀式を行っていると、信者たちは今どんな儀式が行われているのか目で見て確認することができませんので「聖変化」の際には侍者がベルを鳴らして会衆に知らせるという習慣がありました。それが現在でも続けられているだけです。

 

 

下差し パンが入っている聖杯とワインが入っている聖杯があるようです。因みに、西欧ではエキュメニカル運動という分裂したキリスト教の諸教派を一致させようとする運動が行われている為、プロテスタント信者でもカトリック教会の聖体拝領を受けることができますが、東方正教会の場合、そのエキュメニカル運動に参加していないので聖体拝領は東方正教会の信者に限ります。

 

 

 

午後2時過ぎに在日ウクライナ正教会の礼拝が終わり、次に行われるホロドモール合同祈祷式まで約1時間ありましたので何か食べようと思い聖堂を出ようとしたら、いつも参加して下さっている浄土真宗木邉派のお坊さん(釈慈愛氏)が参加者全員にこのパンフレットを配布して下さっていました。

 

 

武蔵野市西久保3丁目2番5号のビルの中にウクライナカフェ「クラヤヌイ」というウクライナ避難民の方々が働くお店があるようです。

 

 

ご興味がおありの方は是非お立ち寄り下さい!

 

 

 

 

下差し そして、約1時間の休憩後に聖オルバン教会の聖堂に戻ると、また再びインテリアの配置が変わっていました。

 

 

ちょっと、この黒っぽい背景の中に描かれた十字架の絵は「生き残った母親が殺された子供を膝の上に置いて悲しんでいる様子」だと思います。これの詳細については後ほどご説明したいと思います。

 

 

そして、バイオリニストの新井智子(あらいちえこ)さんの演奏でホロドモール合同祈祷式が始まりました。

 

 

先ほどの「生き残った母親が殺された子供を膝の上に置いて悲しんでいる様子」が描かれた絵についてですが、これは恐らくホロドモールで餓死した娘の死を悲しんでいる母の姿だと思いました。

 

 

 

 

在日ウクライナ正教会の主任司祭であるポール司祭のお話によると、ポール司祭が生まれる前に彼のご両親はウクライナからアメリカへ移住してニューヨーク市内にあるウクライナ人が形成した小さなコミュニティーでポール司祭は生まれ育ちました。だから、ご近所さんはウクライナ人ばかりでその小さな村の中では主にウクライナ語が話されていたとのことでした。

 

そして、まだ子供だったポール司祭のお隣にステラさんという老婦人とそのご主人が暮らしていたそうです。いつもポール司祭が遊びに行くと賞味期限が切れた飴(飴が溶けて包紙にくっつている)をくれたそうです。そんなステラさんのご主人が亡くなり1991年にはウクライナが旧ソ連から独立して1つの国として成立した時にステラさんはポール司祭に教えてくれました、「私には子供がいなんじゃないの、私には小さな娘が2人いて餓死してしまったの。旧ソ連のスターリンの兵士が私たちから家畜や種にするつもりだった小麦まで没収してしまったから何も食べるものがなくて娘たちは餓死してしまった。ホロドモールはね、自然災害で穀物が育たなくてウクライナ人が餓死したのではなくて旧ソ連のスターリンが意図的に領土を広げる為にウクライナ人を殺しただけ。でも、そのことについて旧ソ連時代には公然と話すことが禁止されていて、もし話したりすると殺されるんだよ。私は大人だったからどうにか助かったけど、私の娘たちは段々と体力を失い生きたミイラのようになってその犠牲者となった。」と。そのことがあの絵に描かれているのだと私は思いました。

 

 

現在、中東地域ではガザ地区での戦争が続いていますが、名古屋からイスラム教司祭のイマーム・アニース・ライス氏、横須賀海軍ホープチャペルでユダヤ教司祭をされていらっしゃるラビ・アレックス・M・ハミルトン氏も来て下さいました。

 

ちょっと個人的には、イスラム教徒とユダヤ教徒が同じ建物の中にいて大丈夫なのかな?と心配していましたが、大丈夫だったようです。恐らく、ガザ戦争が始まる前にもう既にこの在日ウクライナ正教会によるホロドモール合同祈祷式が計画されていたものと思われます。まさか一ヶ月前からガザ戦争が起こるなんて誰も考えてもみなかったと思います。

 

 

各々の宗教の代表者の方々が1個ずつロウソクを灯して「生き残った母親が殺された子供を膝の上に置いて悲しんでいる様子」の絵の前に置きます。これもポール司祭のアイデアでしょうか?

 

 

イスラム教司祭のイマーム・アニース・ライス氏のメッセージの中で「"... who so ever killed a person it shall be as if he killed all mankind. And whosoever gave life to one, it shall be as if he had given life to all mankind. " 」という部分がユダヤ教のラビ・アレックス・M・ハミルトン氏がおっしゃった「The Talmud teaches that when a person is killed, it is as if the entire world is destroyed. 」に似ていると思いました。やっぱりモーセから出た宗教だけあって似ている部分がありますね。

 

 

<イスラム教司祭のイマーム・アニース・ライス氏のメッセージ始め>

 

First and foremost, I would like to commend the organizer for hosting such am exceptional event. And I am grateful for the oppotunity to be speaking to you all this afternoon. I would like to take this oppotunity to extend my deepest condolences to all innocent civilians killed and wounded in Ukraine and Gaza. No human being can ever hear the news of their fellow human beings been killed. For no fault of theirs and not feel that noising pain. Thus my thoughts and heartful prayers are with people of Ukraine and Palastine at the tragic time. On behalf of Ahmadiya Muslim Community in Japan I wish to make it categorically clear that we condemn all such wars and act of terrorism. We offer our heartful sympathies to the victime of wars, in due to crime and other parts of the world. In all parts of the world Ahmadiya Muslim Community seeks to promote peace. And according to the teachings of Isram raises its voice against this brutalities. Since time immemorial, the world was witnessed vicious wars and genocides conducted against several nations. As a consequences, these words create humanitarian crisis lead to the displacement and impoverishment of millions of people. And give birth to generational trauma. All this is based on the decisions of small group that hold power of the vested interests. These words always affect children and women the most. Children and women who are often already in adverse situations. With the war excavating and already mariginalized situation. Here we see people facing systematic discrimination of becoming targets of violence simply because of who they are, because of their identity. We must act both to defend those at immediate risk and those who could be in jeopardy in the future. Fundamental to teach, fundamental to Isramic teaching is that Muslims must learn to coexist peacefully and harmoniously with all other members of society and never cause them any harm or distress. Despite this, many people associate with violence and warfares. Even though nothing could be further more the truth. No matter what terrorist may claim under no circumstances of discriminate attacks or killings ever justified under the flawed notion of collateral damage. Isram has enshrined the sanctity of human life in chapter 5th and verse 33 of the Holy Quaran. And I qoute "... who so ever killed a person it shall be as if he killed all mankind. And whosoever gave life to one, it shall be as if he had given life to all mankind. " Isramic teachings instruct us to help both the oppressor and the oppressed. When the comparisons of the holy prophet Muhammad peace be upon him. We are taught this. They asked him how could a crual oppressor be helped. He responded simply by saying that you can help him by stopping his hand which means preventing him from wrong doing. The oppressor believes the through force he can subjugate his opponent. But people of faith believe that G-d almighty is the possessor of all powers. I most humbly urge all political, religious and civil society leaders to reject all kinds of warfare in particular where it results in innocent civilians facing its deadliest consequence. All nations and all people must come together for the greater, good and unite in their efforts to stop all forms of cruelty, persecution and injustice. The best way to honor those who lost their lives so tragedically. In Holodomor, 90 years ago, is to showcase to the wider world the lessons we learn from this. And atrocity that wars in fighting and killings can never established peace and reconciliation. And that we should not put our own selfish and vested interest above humanity. On this somber anniversary we are reminded that peace in Ukraine is still fragile. We cannot let up in working towards genuine reconciliation. We owe this is, we owe this to the victims of the Holdomor Genocide. The survivors, the peole of Ukraine and all humanity. 

 

 

(ライブ配信された動画より)

 

<イスラム教司祭のイマーム・アニース・ライス氏のメッセージ終わり>

 

そして、英語でのメッセージを読み上げて下さった後にイスラム教式の平和の祈りとしてアザーンを唱えて下さいました。

 

 

いつも聖オルバン教会の照明器具は比較的に明るくならない設定になっており聖堂内は暗い為、ちょっとね、黒人かと勘違いしてしまいそうですが、この方はパキスタン人だそうです。

 

 

こちらが、横須賀海軍ホープチャペルでユダヤ教司祭をされていらっしゃるラビ・アレックス・M・ハミルトン氏です。最初は米軍海軍士官の格好してらっしゃいましたので、「あれっ?教会の中に進駐軍がいる!」と驚きました。しかし、それもそのはず、ポール司祭も横須賀海軍ホープチャペルでチャプレンをされていますのでお友達同士ということですね。

 

 

ラビ・アレックス・M・ハミルトン氏のメッセージの中では、ガザ戦争で戦うイスラエル軍のことがある為か「ウクライナも孤立していないよ!僕らが共にいるよ!」と話しをされました。確かに、現在のイスラエルは反イスラエル感情が高まる中メゲずに自分たちの方針からブレずに真っすぐ前を向いて戦っていますから、ある意味では国連や世界中の国々から叩かれているイスラエルですから逆に孤立してしまったとの心寂しい感情があるのかも知れません。国連や他の国々がハマスのプロパガンダに騙されて逆にイスラエルを敵に回す行為を行っていますが、それにも負けずに孤立していてもブレないイスラエルの強さがあるので彼らの「孤独感」は私たちには見えないだけなのかも知れません。

 

<ラビ・アレックス・M・ハミルトン氏のメッセージ始め>

 

Thank you Father Kroluk, and thank you Mr. Ambassador. We gather today to memorialize the millions of souls whose bright sparks were extinguished 90 years ago in the Holodomor Genocide. The Talmud teaches that when a person is killed, it is as if the entire world is destroyed. How many worlds were destroyed? The book of Lamentations begins with the words Echad Yashuvad vada haira .. How lonely sist city once teeming with people. I want to pick up on Lamentations themes of loneliness. Death and destruction, does that to the victims and survivors. It isolates them. They watch their children, brother and sisiters died, leaving nobody else beside them. Loneliness is a secondary way of afflicting those already persecuted. Isolation has a way of tormenting the soul and getting into their minds. Of the many things we may feel, sorrow over the sheer amount of loss within a genocide, scars of starvation, trauma of survivors, loneliness should not be one of them. Ukrainian brothers and sisters, you are not alone. Not on this stage, and not on the world stage. Today as a global community we remember the millions who perished. I am personally grateful for the faith leaders and all who are gathered here today to ensure that Ukraine is not standing alone in their sorrow. I will now write, recite the traditional "El Malei Rachamim" for the millions who died in Holodomor Genocide. 

 

(画像提供:WIKI - "El Malei Rachamim")

 

 

(ライブ配信された動画より)

 

 

<ラビ・アレックス・M・ハミルトン氏のメッセージ終わり>

 

 

下差し 米軍海軍士官の制服姿のラビ・アレックス・M・ハミルトン氏、このようなお姿の方が聖オルバン教会のベンチに腰掛けていらっしゃいました。今まで映画や昔の動画で観る進駐軍はヘルメット姿だったり三角形の帽子を被っていたりしますから、このような本物の米軍海軍士官を見たのは初めてでした。

 

(画像提供:The Making of a Jewish Chaplain in the U.S. Navy)

 

下差し 多くの日本人たちが知っている進駐軍姿のラビ・アレックス・M・ハミルトン氏。因みに、ユダヤ教徒なので既にご結婚されています。

 

(画像提供:The Making of a Jewish Chaplain in the U.S. Navy)

 

浅草にある臨済宗・桃林寺の副住職である成田義孝氏がメッセージの中でおっしゃっていたのは、慶長十六年に創建され約400年が経ちましたが、大正時代には関東大震災、昭和時代には東京大空襲により被災し境内も焼失し、オマケに第二次世界大戦では臨済宗・桃林寺の住職が召集令状を受けて太平洋戦争に行き武器を持って戦うなど苦労の連続でした。しかし、どの宗教を問わず信仰のある者が参戦するなんて有り得ない、信仰があるのであれば共に一致して平和を築き上げることの方がもっと大切ではないでしょうか?と訴えておられました。

 

 

臨済宗・桃林寺の副住職である成田義孝氏のメッセージ始め>

 

私のお寺は浅草にあります。400年前に創建され初代将軍徳川家康公のご長女がスポンサーとなって建てられたお寺です。そして、明治維新の廃仏毀釈という非常に仏教にとって厳しい流れ、そこも何とか潜り抜け、その後、大正時代には関東大震災という大地震が東京でありました。お寺も燃えて無くなりました。そして、何とか皆さんのお陰で再建して頂いたのですが、残念ながら第二次世界大戦でお寺に爆弾が落ちました。そして、お寺も燃えて無くなりました。そして、もっと不幸だったのは、私の祖父がその時私たちのお寺の住職であったにもかかわらず日本政治からの命令もあり仏教徒でありながら、殺生を禁じられている僧侶でありながら自由化を持って武器を持って中国大陸に行っておりました。そして、その後、現地で病死したと聞いております。本当に戦争というのは決してあってはならないし、ましてや聖職者が武器を持って人を殺す、自由を持って人を殺す行為は絶対にやっていはいけないことを他者の命令によってならなければならない立場になりやってしまいました。しかし、今ここにある、皆さんがご覧になって頂いている教会も正に近くにある東京タワーもこの東京の街も焼野原になったところから再建してやっと80年経って現在のようになりました。一人々の努力というのは本当に小さなものかも知れません。でも、それを積み重ねていくとこうした街も何十年かけて甦らせることができます。宗教家というものは、宗派を超えてホロドモールでの話もですね、私も初めて、このポール司祭から伺って勉強しました。私は自分の不勉強を本当に恥じています。ですが、私たちは学ぶこともできます。そして、またこの場に立ってお話することもできます。本当に皆さんに感謝しております。私がいつも考えているのは、そうですね、どの宗教に限らず宗教家として、この混沌とした世の中、戦争が止まらない、この世界をどう変えたら良いのかと。それは私の中の例えで言いますと、今の世界は汚れた池だと考えています。その汚れた池をキレイにするにはどうしたら良いのかと?だけど、池の水を抜いてしまえば簡単ですよね。ですが、そんなことをしたら生きている人間は全員死んでしまいます、生きている魚も死んでしまう。ならば、やはり汚い水を一杯汲み出してから、そこへキレイな水を入れる作業を繰り返す必要があるのだと思います。そして、それを永遠に繰り返していくしかないのだと思います。その作業こそが私たち宗教家や人類に求められていることなのだと思いました。ホロドモールに限らず世界中にはまだまだ不幸が多くあります。私どもは平和を祈り、それを望む多くの方々に今日ここにお集まり頂いています。是非ですね、小さな一歩かも知れませんが、この小さな積み重ねが将来の子供たちに平和な世界を残すことができるのだと信じております。

 

 

(ライブ配信された動画より)

 

 

臨済宗・桃林寺の副住職である成田義孝氏のメッセージ終わり>

 

そして、メッセージの後で平和の祈りとしてお経を上げて下さいました。

 

 

そして、次はカトリック東京大司教区大司教秘書・広報員の赤井悠蔵氏からのメッセージでした。現在、タルチシオ菊地功大司教はローマにいらっしゃるとのことで教秘書・広報員の赤井悠蔵氏が代理としてタルチシオ菊地功大司教が書かれた文章を読んで下さいました。そのメッセージの中にあったのは「一人の命の、一つの民族の犠牲の上に成り立つ平和など決してあり得ません。」でした。全くその通りだと思いました、その一言に尽きると思いました。

 

タルチシオ菊地功大司教からのメッセージ始め>

 

神からの賜物である命は、その始まりから終わりまで守られ育まれ尊重されなければなりません。一人々の人間としての尊厳を真摯に尊重しなければ平和を達成することはできません。一人の命の、一つの民族の犠牲の上に成り立つ平和など決してあり得ません。教皇フランシスコは2023年の世界平和の日のメッセージの中で私たちがその渦中にいる道徳的、社会的、政治的、経済的危機は全て相互に関連しています。まだ、独立した問題として捉えている事柄も実際にはそれぞれが別の問題や原因の結果であるということです。ですから、私たちは責任と思いやりを持って世界の課題に立ち向かうように求められているのです、と述べました。

 

遠く離れた国で起こっている紛争や悲劇も私たちと無関係な事ではありません。私たち一人々は誰もが傍観者ではなく当事者であります。私たちは世界に神の秩序が確立されることを求めています。しかし、大国による隣国の住民や権力者による弱者への暴力と迫害は終わりがありません。とりわけ、ウクライナにおける戦争、聖地における人道上の悲劇、今、世界は神の秩序の源である愛ではなく、憎しみと分断によって支配されているかのようです。世界中の弱くされた人々が愛を求め平和を求めて叫んでいます。1932年に隣人からの思いやりの欠如によって引き起こされたウクライナのホロドモール追悼の日にあたり善意の全ての人々と共にこの世界に平和が確立されるように祈ります。この残虐な全ての犠牲者に永遠の安息が与えられますように祈ります。そして、今、生命の危機に瀕しているウクライナの人々と暴力と迫害に苦しむ全世界の人々の為に神が常にその方々とおられますよう祈ります。慈しみ深い全能の父である神が、この世界に平和を与えて下さいますように。

 

 

(ライブ配信された動画より)

 

 

タルチシオ菊地功大司教からのメッセージ終わり>

 

 

皆さんが少し疲れてきたような気配がしたのか、ポール司祭が祭壇でお清めをする儀式を始められました。頭の切り替えに必要ですね。

 

 

そして、この祭壇のお清めの儀式が終わるとポール司祭がセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使をご紹介して下さいました。

 

 

そして、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使からのメッセージがこちらになります。

 

セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使のメッセージ始め

 

本日は、私どもがこの追悼式においてウクライナの多くの犠牲者の為にここにお集まり下さり有り難うございます。

 

本日は、1932年から1933年にかけてのウクライナにおけるホロドモール大飢饉の犠牲者を追悼する集まりです。ウクライナ人にとって良く分かっていることは残念なことに1回だけの飢饉ではなく何度も同じような飢饉がありました。ですから、単数形でホロドモールと表現するよりは複数形のホロドモーリを表現する方が正しいのではないかと思います。

 

実は1922年、1923年、1932年、1933年、その他にも悲惨なホロドモールの歴史がありますが、ポール司祭のご説明にもあったように旧ソ連時代にはそのような悲惨な歴史の話をすることは禁止されていました。しかし、今になってアメリカ、カナダ、ポーランド、ノルウェー、イギリスの複数の研究者たちの研究のお陰で私たちが知らなかった真実を知ることができるようになりました。

 

実は、私がアメリカのウクライナ大使館で働いていた頃、丁度ジェームス・メイソン氏の幅広い書籍をウクライナへ移すプロジェクトに参加していました。その結果、その全ての書籍や資料をウクライナに運び出すことができましたが、その全てを読み終えるにはまだ数十年必要ですし、複数の研究者たちの努力が必要です。そして、その恐ろしいホロドモールの歴史の結果で犠牲になったウクライナ人の正確な人数はまだ不明です。只、分かっているのは、ホロドモールはスターリン政権の計画の一部だったということです。そして、ホロドモールでの生き残りのウクライナ人をシベリアに強制移住させてウクライナという国を消滅させることが目的でした。

 

今から360年前にウクライナは非常に大きな過ちを犯してしまいました。それはロシアの王国と協定を結んでその一部になったということです。その後、数えきれないくらいの迫害や虐待を受けウクライナという国を亡くす目的での攻撃を受けてきました。

 

そして、ようやく1991年にウクライナが独立国家として承認された時の自由と幸福を得た感覚を忘れることができません。やはり自分たちの領土で自分らしく生きることができるというのはウクライナ人としてのアイデンティティを強めることにもなりました。

 

丁度、今行われているロシア軍によるウクライナ侵攻の目的は1991年に独立国家として自由に生きることが許されたウクライナ人のアイデンティティを殺すことです。そして、それは第二次世界大戦以後に起こったかなり大きな戦争とも言えます。しかし、折角、ウクライナ人が手に入れた念願の自由と幸福を今更簡単に手放す訳にはいきません。

 

ホロドモールで餓死したウクライナ人の数が不明であると同様に現在行われているロシア軍によるウクライナ侵攻で亡くなったウクライナ人の数も不明です。

 

しかし、それでもウクライナは必ず勝利します。平和を望む民族は戦争を望む民族に必ず勝利します。

 

(ライブ配信された動画より)

 

セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使のメッセージ終わり

 

 

 

 

下差し そして、今回のこの「ホロドモール合同祈祷式」に参加できなかった日本人の方々の為に配布されたパンフレットを撮影して載せることにしました。是非、ご参考になさって下さい。