お前、こいつの事しってるのかよぉ~という圭太の顔を横目にして、


 悪いけど、圭太にはうんちょっと…と簡単に答えた。


 「悪いけど、その辺歩いていてくれる?私命の恩人なんだ!だから話をしたい…」


 「えっ、そっかぁ~うん、、、分かった…」


 と、少し仏頂面を持ちながら、商店街の方へ歩き出してくれた。

 さてと、


 聞かなきゃ…


 「何であそこで、どうしてとびおりたんですか?」


 いきなり、確証部分だぁ


 かなり緊張した趣で聞いたが、彼は驚く事に笑顔をみせた。


 「ん~そうだなぁ~死にたいと思ったからかなぁ~…」


 「それだと理由にならない…」


 「じゃあ、人をすきになる理由ってあるのかなぁ~?」


 「えっ?!ん~どうだろうあるんじゃないかな…」


 「どこが何で、好きなのっていえるのぉ~!!オレはいえない。


  だって悪いけど、好きなものは好きで片付けられないかな、人を好きになる事って。」


 
 そうかもしれない、、初めてそう思った。確かにそうだ。あまり理由はない。


 というか理由があったら、こっちは好きだけど、こっちは嫌いになる。


 ん~深い。


 「ん~よく考えてみたらそうかも知れない。。でも、実際には”死ぬ”のと”好き”に


 なるのでは全然違う事じゃない!」


 「ん~理由がないって言うところは同じだろ?」


 なんか、長くなりそうだ…


 その時におくから、お婆ちゃんがお茶を持ってきてくれた。


 「おや、おや若い子をあまり、からかうもんじゃないよ!」


 「ばあちゃんいたら、声をかけてくれよぉ~本当に、驚かせてばっかりでぇ~」


 「ごめんよぉ~ばあちゃんはもう生気がないもんでなぁ~…うひゃひゃうひゃ。」


 …アニメのおばあちゃんみたいで、面白いぃぃい。


 「恐れ入ります。あまりお気を使わずに、ありがとうございます。」


 そんなたいしたことではないけど、どんどん話に引きづりこまれるのは


 この家系なんだと強く思った。いいなぁ~こういう家庭、憧れる。



 本題に戻した。さっきの話の心境を聞かないと、気が治まらなくなってきて。


 「あのぉ~さっきの話しですけど、何で理由がないの?人生に疲れたとかじゃなくて?


  何か息詰まったとか…。」


 「オレを見て、息詰まったり、何かに思い悩むだりする様に見えるか?ないよなぁ~」

  高らかに笑った。


 「ん~そうだけど、だって本気であそこは、打ち所が悪かったら死んでたんだよぉ~」


 「確かに死にいったけど、死に切れなかったんだよなぁ~…、仕方ない。でも、


  理由は本当にないんだ。死の世界とやらを少し見たくなって。」


 「なんで、見たかったの。」


 


 「生きていたら、見れないからだよ。怖い物みたさというのかな…。そういうのってない?


 女子がほら指の間で、見たがるでしょ?男のあれを、なぁ~!」


 「なぁ~って…まぁ~そういう時もあるけど…。」



 なんか不思議な人だぁ~良く分からない…この人は??


 物事の捉え方が全然、私と違う、いい意味で刺激を受けている。


 「じゃあ、生活に嫌になったとかじゃないのね!」


 「そうだよ!」


 ん~自分とは違うかぁ~、この人であれば相談をしてもいいかなぁと少し頭をよぎったけど、


 まだ時期は早いかなぁと思ったので、やめる事にした。


 もう夕暮れも、完全に闇になったので、ここの連絡先と私のベルを教えて、圭太も


 かえってきたことだし、帰る事にした。


 横浜へ。


 電車1本でここまで来れるのは、神奈川の町ならではなのか、


 山もあり、海もあり、はたまた川もありで、かなりの暮らしやすい町並みだなぁ~と


 最近つくづく思う。変な人間をおいては…


 
 海へは鎌倉から歩いていける、距離で海とは反対側に行くと、八幡宮様が


 祭られている。


 そこに行くと途中には、外壁が立ち並び、微妙に高さが違う。


 西から攻めてくると予想される敵陣にあえて、西の外壁は高くしており、


 乗り越えやすいように、東の壁は低くされている。昔の人たちの知恵だ。


 
 程なく、20分くらい歩くと、「由比ガ浜」に着く。


 弓の形をしている事から着いた名前だが、実は犯罪を犯した人間を


 海にたったまま、大木にくくりつけ、浜辺から弓矢で射抜く処刑もされていた事も


 あったという。だから、毎年少なからず、この海には決まって、死者がでると聞いた事が


 ある。今となれば、そんなの迷信かと思うくらいだが。



 浜辺に着いた時はもうすでに、淡い夕日が海に照りだされていて、何ともいえない
 
 壮大な自然を垣間見る事が出来る。


 照らし出されている海は、呼吸をしている様にもみえる。この瞬間が大好きだった。


 夕日に向かって「バカヤロー!」と叫んでいた青春ドラマがあったのは少し理解


 できないが、自分はいつもありがとうと言いたいくらいだった。



 
 隣には好きな人ではないが、仲間がいる事も幸いしたのではないかと思う。

 
 この間はこの海岸ではない。かなり、鵠沼よりだったが、敢えて、圭太には言わなかった。


 海をみたかったので、ここで十分だ。


 生物は海から生まれ、海に育まれてここまで、進化した。


 考える事も、感情を表に出す事も出来る。


 そんな素晴らしい能力が私には苦痛の時もある。この1日をどう自分で感じ、


 明日から生きられていくか、少し立ち止まる時間が必要だった。


 でも、感情の大波は突如として私を襲う。私が、どうのこうのしても始まらない。


 いかに自分を抑えようとしても、どうしても出てしまう邪悪な感情と行動。


 いけないことは分かっている、でも自分が誰になるのかも、誰なのかも分からない。


 誰にでも、わからない。この孤独と思えない、平常心は時として、毒となる。


 今はこの海のようになりたい。海へ帰りたいとも思う。



 
 この思考は、誰にも理解は出来ない。

 中を色んなところを見て、ぐるっとして球場を後にした。


 結局古着と、トランプ型のコースターと、靴を買った。


 そんなにたいしたものではないが、それでも色々と刺激を受けたものばかりだ。

 
 そとは夕暮れに差し掛かり、辺り一面オレンジ色に包まれた。


 そろそろ家路に着こうかと、駅の方へ向かっていたところ、急に、


 「海行かないか!」


 と圭太が急に言い出した。


 また出たと思っていたが、それでも、なぜか海にいきたくなったので、


 付いていく事にした。


 「今からダッシュで行けば、夕日にまにあうかもなっ!」


 そう期待をして、川崎駅から、直接横須賀線にのり、鎌倉に向かった。


 以前の事件依頼 、海に行っていなかったので、なんかドキドキした。


 そういえば、この間の人大丈夫だろうか?ちゃんと生きているのだろうか?



 なぜ、あんな事をしたのか、少し聞きたくもなった…


 あの青年にであえれば話だが…