練習はかなり熱いものになった。かなり充実した1日だった。

 中身の濃いものになり、久々にいい汗をながして、汗が出ることにびっくりした。


 今までもこれからも、この感触を忘れてはならない。


 休憩時間中に、真由美が寄ってきた。


 「あのさ、大丈夫?心面。なんか、浮かない顔しているよっ。」

 「そっかなぁ~それほどでも…。」


 やっぱり親友だ、見透かされている。

 


 「うん、まぁ~たいしたことではないから、心配しないでねっ。」

 「そぉ~?何かあったらすぐ言ってよねっ、水くさいからね、黙っているのは。」


 心配はありがたい、けどなぜか殻にこもってしまう。


 体が何か打ち込んでいれば、別だし、楽しいときは本当に別なんだが、

 今の気持ちと心では無理だ。こう諦めるのはいけないとは思えない。



 自然と全てがマイナスの方向に流れていく気がする。


 


 練習は予想以上にハードで、自分たちでも音を上げる内容であったが、

 1年生が良くついてきてくれた。明日から4日間持たせてあげたい。


 何よりの自信になるから。

 


 練習後はいつものミーティングで、略してMTGと読んでいたが、

 他愛もない横文字をならべるだけだった。


 部室で話すことに決めている。ここが原点だから。


 全てはここから始まる。


 総勢15名だが、それでも、誰が抜きに出るか分からない、兵ぞろい。


 いつも、メンバーを見るとぞくぞくするのは私だけかもしれない。



 活発な意見を飛ぶ。後輩も遠慮なく意見が飛び出る。


 レシーブ後の動線や、フォーメションの変更の提案。


 どんどん意見が飛び交いながら、何時も夕暮れを向かえ、時間を切った、
 練習後は必ず、こういう意見で頭も使い、納得して次に向かうようにする。


 1日の積み重ねが今は大事だと思うから。


 よく言われたことがある。


 練習1日休むと、取り戻すのに1ヶ月。


 風邪を引くと3ヶ月だと。


 だから、自己管理は徹底してこのときから行われた。


 
 刑務所はどんなものかしらないが、人間形成の場だと自分は思う。


 これがなければ、今の自分はない。


 ずる賢い人間になっていたかもしれない。できれば、賢い、正直な人間がいい。


 ずるいやつはどんどんずるくなる。



 それを許すこともあるのが、怖い世間だと今になれば思う。


 
 MTG後はだらだらしない、明日の練習にそなえ、即解散する。


 自分の時間も大事だと思っているから。

 


 でも、今は自分は自分の時間ほど苦痛なものはない。

 部活のときと、本当に自分。明らかに、2重人格だ。


 表と裏。これが怖い。


 左右できない自分がここに入るので…


 
 どこにもやれない辛さは自分だけ。


 多分、こう思っている人がいても、誰にも打ち明けられないのではと思うことが多々ある。


 自分にしか分からない事。これが一番怖いことだ。

 


 
 一人でいる勇気が今は欲しいと思う。

 



 帰り際、昇降口の脇の公衆電話からベルを打った。

 


 「キョウモツカレタヨオ デモガンバル!」

 


 夢斗あてに。

 ほんの支えに彼はなってくれている。


 次の休みはどこに行こうかな。なんて、妄想めいたことが、小さな幸せだったのかもしれない。


 

 翌朝、目覚めは最高潮に悪い。

 体が重く、動けない状態だが、今日から練習が始まる。

 盆前であと5日間の辛抱だ。というより、辛抱とは練習に対してではなく、

 自分に対してだ。

 言うことの利かない体を引き釣り、それでも体を起こすのに何時もの倍以上の

 時間を要した。


 やっぱり、薬に頼るしかないのだろうか?

 そうふと頭をよぎる。薬にも色々あると思うんだが、それでも薬漬けになる自分は

 創造したくないのが本音だった。

 
 朝は食べれない。でもお菓子はとことんまで食べれる。

 いわゆる摂食障害が出始めたのもこの頃だ。

 嫌いな食べ物を見るたびに、吐き気がもよおす。

 止め処ないのだ。

 
 
 朝食はココアだけにして、足早に家を出た。

 「あんた、またやせたんじゃない?」

 出る菜に母親から、厳しい一言が発せられた。

 
 「んぅぅ~まぁ~練習がハードだからねっ!」

 「まっそれくらいが丁度いいかっ。」


 豪快に笑いながらいう母親には、言いたくない。

 というか、行ったところで私のせいと決め付けられるのであって、

 なんとも情けない思いをするので、ここで話しをきった。

 
 外は何時もと変わらないいい天気で、なまっていた体を起こすように

 駅まで走った。

 汗はあまりかかない、これも多分爽快感や、気持ちのいいことではなく

 体には良くない事は分かっていた。

 
 でも、疲れている体は嫌いではないので、わざといじめてみた。


 学校に着くと、久下先生が珍しく一番に体育館のモップがけをしたいた。


 「先生、いいよぉ、自分たちでやるからぁ~。」
 
 「いやいや、いいだ、見ているだけだとなんか、申し訳なくて…。」

 
 こういうところが先生のいいところだ。

 「そうですかぁ~そんな気を使わずにいいのに…、でも正直にうれしいです。

  そういう姿勢って…」

 
 ありがたいなぁ~って心底思えた。

 

 そのうち、生徒たちが続々と集まってきた、久々の練習再開で、号令と

 ミーティングからはじめた。

 まずは久下先生から言葉を発した。

 「いいか、みんな、仲間の死は非常に辛い。先生も、何人か見てきたが、いつ見ても

  辛い。人間誰かが死んでいいというのだけはない事を知ってほしい。悲しむ人間が

何人いるか、生きるべき、この世に生を受けてきたんだ。

その事をしっかり踏まえるように。」

 


 しみじみに心に響く言葉だった。

 確かに、そうかもしれない。死ぬなんて考えることは間違っている。

 間違いだけど、その中でも生きないといけない。

 生きること、本当に大事なんだと思った。


 続いて私の番だった。

 「先生も言われているとおり、自分たちが今なんで、ここにいるかしっかり認識して

  やっていこうねっ。鈴木のためだけじゃない、自分のため、チームのため、家族のため。

  色々な人がいるから、自分が成り立つ。そういう結果をだしていこうねっ!」


 気持ちのありのままに言った。メンバーの顔が少し、自分の表情を取り戻した事が

 何よりの手ごたえだった。


 生きすべきもの、全ての人に困難はある。幸福もある。誰にでも。

 だから面白い。


 
 自分も克服しないとなぁ~…


ご無沙汰しており、申し訳ございません。


現状なかなか、筆が進まない状況です。


色々考えている中で、気持ちが前に前に行くのですが、焦って書いているのでは?という


ジレンマになっております。


ブログを通じて不特定多数の皆さんが見ていらっしゃって、その中でお好みになられた方が


見ていただいている。そう思いながら、年を越してしまいました。



連載?は9日からまた再開いたしますので、何卒お待ちくださいませ。



夢味 一犀