今日は葬式明けの2日目の練習だった。


 今週から自分で練習の組み立てなど細かな所まで、決めた。


 いろんな本や、中学からお世話になった先生の話など…


 練習メニューは様々あり、今の時期にとこれからのスキルアップとはで

 2点に絞って練習を試みた。


 まだ手探りの状態で、部員の皆はどう思っているかはわからない。


 でもきっと、今までの様についてきてくれる。


 そう信じていたが、それは甘かった。




 2日目、ある後輩から言われた。

 



 「キャプテン…正直辛いんですけど、今の練習。何のためにしているんですか

  この過酷な練習は。」

 かなり激しい口調で言われたが、それでも自分は一蹴した。

 


 「今の練習は、正直誰でも辛いと分かっているの。
 
  それでも、勝つため、自分を鍛えるためには仕方のないことなの。


  逆に中途半端な練習をして、中途半端なところで負けて満足するかな?」



 「いいえ、多分しません。とういうか、ちゃんとした目標があるなら、がんばります。」



 少しほっとした。


 自分の言葉などには、あまり自信がない。


 ありのまま伝えることが一番と思っている。


 自分も正直辛いし、何でと思うときも一杯ある。


 勝ち負けにはこだわらない。


 でも、やった、ここまでやったという充実感がなければ、今こんなにも

 大変な練習をしている意味がない。


 もしかしたら、強豪チームと互角に戦えて、負けるかもしれない。

 そのときは、必ず悔いは残らないはずだ。



 でもやるからには勝ちたい。そう思うのが必然の様な気がする。



 この3年間、多分何もしなければ、そのまま流れていく。



 日々の生活に、自分にバレーがなければもしかしたら、何もやってないかもしれない。



 自分が今真剣に取り組めるものがあるから、意味があるのかもしれない。




 意味のある毎日。これが全てだと思える。





翌朝も寝た感じが一切しなかった。

 気持ちのいい目覚めはいつくるのだろうか。


 そんな、毎日でどことなく毎日、毎日目覚めるのが嫌だった。


 だから、毎朝は何時も自分の事でかなり、一杯一杯になる。


 目覚めるのにというか、ベッドから出るのに、何十分いや何時間かかることもある。


 それだから、自分の体がおかしいと思うことも多い。

 
 
 夢であれば、都合のいい中身。夢でなければ何かがおかしいと思える。


 おかしい内容は分からない。


 おかしさは何なのかも分からない。


 おかしいと感じない。ここに一番の大きな問題なのかも知れない。

 



 ようやく、重たい体を持ち上げて、洗面所に向かう。

 洗面所も嫌いだった。


 自分の醜い体を見つめないといけないからだ。


 特に顔。不細工で、なぜか妹が綺麗と思ってしまうくらいだから…



 同じ母親で、同じ父親にもかかわらず、こんなにも違うのかとも思ったくらい。


 後は性格。妹はどちらかといえば、社交的だ。


 自分は内面的で、嫌いな人をとことんまで嫌う習性がある。


 これは、小さい時からで、妹はとにかく、うまいのだ。


 人付き合いというか、全てにおいて。


 自分はその辺りを見ると、どうしても不器用に思えてくる。


 不器用さは秀でているのかもしれない。

 


 だから、自分と妹は特に比較されればされる度、嫌気がさす。

 外見はそんなに差はないと多くの人に言われても、どうしても

 そう思ってしまうので、仕方ない。思わずには居られない性格区なのかも

 しれない。ここも、自分の事は分からない。分からないもどかしさは本当に辛い。


 その頂点は、いつ噴火するか、いつ爆発するか自分でもそのときが来れば歯止めが

 利かない気がしてならない。


 そんな、毎日の朝。誰から見てもばかげていると思うんだが、どうしてもそう

 思わずにはいられない。


 

 朝食は、毎朝パンをかじるか、目玉焼き1個程度で、温かいココアを飲む。


 これが習慣。多分365日は大丈夫だ。


 後は、ご飯も嫌いで、特に食事に行ったことがない。


 それも家族は知っていて、外食はだめ。


 というよりも、人前で誰も知らない人がいる中で、食べられている所を

 見られるのが嫌いなだけなのかもしれない。

 


 少しのトラウマもある。


 幼稚園の頃はお弁当もちで良く、友達に馬鹿にされた。



 「なんだ、このお弁当全然、可愛くないじゃなぁ~い!」

 
 と…さびしかった。


 わびしかったのを、子供心ながら覚えている。


 自分でも何でそんなことを言われなきゃいけないかと、特に母親を攻めたりはしなかった。


 というか、攻められなかった。


 「弱い、あんたが悪いのよ。」

 と…


 今もそうだが、いつも言われ続けられている。


 強くなければならない。


 強くあって人間だ。


 でも、なかなか、強くなれない自分はどうなのか。


 なれない人間はだめなのかと…

 


 そう思うしかなかったときもある。

 辛い過去だが、辛いとは思わない。


 これがあったり間だったから。


 辛い、悲しい気持ち、心情はどこかに行ってしまったのかも知れない。

 


 そういう、暗い過去だとやっと言えるようになったのは、最近なのかもと…


 でも、未だに心底笑えたのは、好きな人と一緒に居るときだった。

 


 好きという感情は、何でも帰られると思った。

 代えてもいいとも思った。


 代えられない自分の弱さ、ここに最大の弱点があるきがして…


 代えるきっかけ。ここに何か見出したなぁ~と思っている。

 


 これが毎朝の出来事。


 

 夕暮れが近づき、ベルを打ち終わった私は足早に家路に向かった。


 なかなか、自分の時間は取れないでいたが、それでも自分は充実していたのかと思う。


 充実するには何かが必要で、今の自分はバレーしかないのかと思うと少しさびしい気がした。


 お盆前の最終の練習期間…気合を入れないとと強く思った。

 


 
 帰りの電車の中、久々に早かったのか、うまいことラッシュ前で電車に座れた。

 その中で夢を見た。



 父親が、こっちにおいでと笑って公園で遊んでいる。


 父親は実は二人目で、本当のお父さんは今はいない。


 とりわけ浮気とかではない、二人で話し合ってきめらしいが、詳しいことは知らない。


 その前にお父さんだ。


 前のお父さんは自分ははっきりと覚えている。


 
 今のお父さんの方が優しいが、前のお父さんは色々と遊び相手になってくれた。


 公園で、ボールをけったり、投げたり、時にはかけっこしたり、

 

 色々な思い出がよぎる。


 そのお父さんと夢の中で笑顔で遊んでいる。


 こっちにおいでと、言っている。


 行くと見たことのない、草原に一杯のひまわりが咲いていた。


 一面に果てしなく広がっていた。


 なんでここに来ているんだろうと、お父さんを探しにひまわり畑の中に入っていく。


 ずんずん進むと、そこにはひまわりが咲いていない空間が出てきて、

 お父さんとお母さんが二人で仲良く居るのが見えた。


 珍しくというか、初めてそんな中の良い所をみかけた。


 しかも手をつないでいる。


 自分がそこに、駆け寄るとふっと居なくなった。




 そこで夢が醒めた。




 何でだろうとすごい気になる。


 何で二人は消えたのか。どうして、ここにはもう居なくなったのか。


 不思議だ。


 自分が駆け寄ったからなのか、そうなのか…


 なにか複雑な思いで夢から醒めた。

 


 寝ぼけているのかと思って回りを見渡すとすっかり、降りる駅を

 乗り過ごしていた。

 


 これはまずいと思い、すぐ次の駅に降りたが、もう終点の戸塚だった。


 戸塚はかなり昔にお父さんが住んでいた町。



 でも、今日はもうすでに18時を過ぎていたので、折り返し帰ることにした。




 無性にお父さんに会いに行きたくなった。


 こんなに大きくなった娘を見て、どうおもうか。


 妹は小さすぎて、全然覚えてないと言うから、自分しか記憶がない。



 
 今度の休みでも行ってみようかなと思った。


 何か、小さな幸せかと思いきや、少し不安な夢を見たので、

 自分がぎこちない。



 でも、ゆっくり久々に寝れたので、言うことはないが…


 楽しみは今度にして、今日は明日からの練習に備えることにした。




 地下鉄の悠遠な照明が、ぼやける風景がなんとも居えず好きだった。