駅に着くと真っ先に、公衆電話を探した。


 さすがに横浜駅だということで、一杯あったが、横一列にある

 10数台の公衆電話は全て埋まっており、何分か待った。


 やっと自分の番にまわり、急いで打ち込んだ。



 「イマツイタヨ。ソゴウノトケイダイノマエニイルネ」


 「ツイラタ、ベルチヨダイネ」



 簡単な文章だったが、これで届いたろうと思い、

 西口とは逆の東口に向った。

 


 あちらこちらで、補修工事がしており、やっと、柱組ができており、

 少し異様な雰囲気だった。


 人はごった返し、直線距離でいえば、200mくらいだったが、

 人を避けて通ったので、かなりの時間を要したと思う。

 


 でもその時間より、恐怖の方が先だった。


 誰もが自分を見ている、そんな怖い事を思いながら、身を小さくして

 歩き抜いた。



 そごうに向う、大きな階段が下にとおり、宝くじにの脇を抜けると

 そごうだ。


 両隣には、昔ながらのブッティックやおばちゃんが好みそうなファッションが

 立ち並ぶ。


 大きい通路だったから、先ほどみたいに人を気にすることなく

 まっすぐに歩けた。


 
 約100mくらい歩くと、大広場にでており、開店したてのskyビルと、

 マルイが右手に、左手にはそごうに入り口が、その上には大きな時計台が

 あった。



 もうすぐ17時からくり時計が動き出す頃だ。



 どことからもなく、人が集まってきていつの間にか、時計台の近くに


 居た私は、人に囲まれた。

 
 何とかその輪をから抜け出そうとしていたが、なかなか抜けれない。

 


 どんどん人が集まってきた。



 人の壁がやがて、サークルとなり、私は動けなくなっていた。



 その時だった。



 どこからのびた手が、私の右腕をつかんで、ぐいっと引っ張った。



 無理やりといった言葉が正しいが、なんとかすり抜けた瞬間、
 からくり時計が上に見えて、それと同時に、顔を覗き込まれた。



 夢斗だった。




 うれしさと、恥ずかしさと、怖かったのが同時に入り乱れ、その場で

  


 大声を上げて、ないじゃくってしまった。

 


 人目もはばからず…




 でもその隣で、静かに微笑んでいる、夢斗をみて、静かに



 泣くのが止まった。







 職員室を足早に出て行った。


 誰も気付かれなかったのだが、今思えば誰か見られていた感じがした。


 それもまだ分からないが…。

 
 帰りは久々に、早く帰ったので、横浜による事にした。


 最近は言ってなかったのだが、バームクーヘンで有名ま店があり、

 そこの喫茶店で、ケーキを2.3個食べて変える日々が続いた。


 基本は一回はまると、どうしても抜けられない性格であったので、

 久々に行くこと事態無かった。



 学校を出る際に、思い切って夢斗にベルをうった。



 「イマカラアエルカナ?」



 無理な様な気がしたが、それでも少しの期待を持って返信を待っていた。



 バスに乗って、後部座席に座ったとたんにベルが鳴った。

 


 「ドコニイケバイイノ?」

 


 バスから飛び降りすぐ、ベルを打ちたかったが走り出したばかりだ。



 駅に着くまで心待ちにして、耐えていた。



 このときほど、時間を経つのが遅いものはなく、本当に同じ時間なのかさえ

 疑ってしまうほどだった。



 程なくして、駅に着き、改札横の公衆電話の横にすぐ飛びついた。

 


 「ヨコハマエキ。イマカラムカウネ!」



 果たしてきてくれるか不安だったが、それでも自分は向かった。


 バスで行くと、電車は2つあって、横浜に行くものと、渋谷にいく電車と

 あり、大変便利な所にあったので、学校帰りはかなり楽しいものに

 なったのではと思うが、それでも自分は部活の為、まっすぐ帰る

 事が多く、エンジョイスクールライフは別のものとして捉えていた。



 ホームで電車を待つと、電車が入ってきた。



 風邪で前髪がかきられると、吸い込まそうになるので、ホームはいつも

 中央に立つことにした。

 


 いつ飛び込みたい衝動にかられるか分からなかったからだ。

 


 電車はラッシュ前だったので、比較的空いていた。



 座るとベルが鳴った。

  


 「ワカツタ。イマカラムカウ。」



 正直嬉しかった。

 


 電車に向う事が楽しくなり、少し浮かれモードに入った。



 何時も電車は恐怖だ。



 誰から見られているんじゃないかとか、他人の目を見られない。



 空間が好きではなかったので、何か一つこうも違うと助かった。



 電車内は大体30分の乗車となり、スムーズに横浜の駅に着いた。

 


 楽しい、嬉しいと久しぶりに心が躍った自分に少し照れていた。