その3
いつものようにのび太は学校にいた。それはいつものような晴れた一日の始まりでもある。学校ではおなじみのジャイアンがいる。そして、自慢好きのスネ夫、おしとやかなしずかちゃん。いつもどおりの風景だった。
そして、この日もおなじみのメンバーからストーリーが始まろうしていた。
ジャイアンにのび太がいじめられ、それをドラえもんが助けてくれる。周知の展開だ。案の定、学校でのび太がジャイアンにいじめられた。
何をやっても泣くだけののび太。けっして、自分では解決しようとしない。そして、いつものようにドラえもんにすがろうとする。
いつもの光景、いつもの展開。
それは見ている者だけでなく、のび太自身そう感じていた。

『このままでいいのか。』ドラえもんに頼りきっている自分自身に苛立ちを隠せない。そして、家に着く頃にはジャイアンに仕返しをしようとしていた感情が、いつのまにか消えていた。
『ドラえもんがいなけりゃ何もできない。』のびたはそれを認たくなかった。誰に言われた訳でもない。でも、誰もが考えてる事実だった。
『今日からは自分のことは自分で解決する。』新たなのび太の決意である。
そう思いながら家に帰り着いた。しかし部屋の雰囲気がいつもと違う・・・
ドラえもんがいないのだ・・・

のびたは不安に駆られる。どこかで、道に迷っているのかもしれない。
しっかりしているようで、頼りない一面を持つドラえもん。
のび太が一番良く知っている。

辺りは暗くなってきた。不安はさらに大きく募る。
その時『のび太、ごはんですよ。』ママの声がした。
『そうだ、ママに聞こう。』不安に駆られるのび太、じっとしてはいられなかった。
ただ、妙な不安だけが募る。
『ママ、ドラえもんはどこへ行ったの?』のび太が聞く。
『・・・のびちゃん?どうしたの?ドラえもんって何?』血の気が引く。
のび太にはママの言っている意味がわからない。
『ドラえもんだよ、ドラえもん。いつもいるじゃない。どうしちゃったの、ママ?』
『のびちゃん、そんな冗談はママ嫌いです。早くご飯を食べなさい。』
のびたは愕然としている。
『そんなはずはない。』のびたは家を飛び出した。
のびたはしずかちゃんの家に行った。もしかしたらドラえもんがいるかもしれない、
そう思ったのだ。『ドラえもん来てない?』しずかちゃんに聞いた。
『何それ?ドラえもんって何かしら?』話にならない。
スネ夫の家に行く。ジャイアンの家に行く。
『ドラえもん来てない?』『ドラえもん来てない?』のびたは至る所を探した。
公園、学校、商店街・・・。だが、誰ひとりとしてドラえもんのことを知らない。

どら焼き屋さんさえ知らない。のびたは泣きながら家へ帰った。

のびたはご飯も食べずに、部屋で一人になっていた。
『誰もドラえもんのことを知らない・・。』ただ、それだけが気になって仕方がない。
みんなドラえもんのことを忘れたのだろうか。
それとも、自分が幻覚を見ていたのだろうか。
もしかすると、別の世界に来たのかもしれない。色々な考えが浮かぶ。
『そうだ、机の引き出しを見ればいいんだ。』そこにはタイムマシンがある。
思えば全てはここから始まった。ドラえもんはここから現れたのだ。
この引き出しを開けると全てがわかる。のび太は引き出しに手をかけた。
そして、引き出しを一気に引く。・・・・・。
引き出しの中には本が詰まっていた。タイムマシンなんてものは無い。
のびたの望むものは何ひとつなかった。


ピッピッピッピッピッピ。静かな空間にデジタル音が鳴り響く。
電子機器の音である。真白な風景。白いカーテンからもれる光。
そして、それを照らす白い壁。何もかもが白い。
ピッピッピッピッピッピ。電子音が鳴り響く。緑色をした波形がモニタに映っている。
心拍数、脈拍が小刻みに緑の山谷をつくる。

・・・あれは何年前だろう。
子供の頃、買ったばかりの自転車。自転車がふらついた
自転車に乗った子供がトラックに跳ねられた。
道沿いの花壇がクッションとなり、その子は運良く助かった。
でも、その子は植物人間として人生を過ごしている。

ピッピッピッピッピッピ。電子音が鳴り響く。
ふと、その空間に別の音が紛れ込む。白い服を着た女性が部屋に入ってきたためだ。
『今日は良い天気ですね。カーテンを開ッておきますよ。』白い光が流れ込む。
その光は年老いた1体の体を照らし出した。
老人はその光にも動じず、ただ一点を見詰めている。ただ白い天井を見つめている。
いつもと同じ風景、同じスタイル・・・。
その老人はいつも同じ生活を演じなければなら

その2
・・・・こんな事いいな出来たらいいな・・・・・・
いつものテーマソング、そしていつもの、時間。
「のび太!いつまで寝ているの!早く起きなさい」
のび太は布団の中でもぞもぞ、眼をさましました。
「今日は日曜日だよー」
まだ眠そうに眼をこすりながら のび太は押入の方を見やりました。襖が開きドラエモンが眼をこすりながら、
「フアー ねむいよ」
お母さん「何言ってるの!もう9時ですよ あなた達 今日9時に何か約束があったんじゃないの?」
のび太「あっ、そうだ!のび太くん 早くおきなくっちゃ」
のび太くんは、まだ寝むそうに布団の中でゴソゴソ・・・。
ドラえもん「のび太くん!!のび太くん!!!」
のび太「うるさいなー」
ドラえもん「もう知らないからね!今日、ジャイアン達と約束あったんじゃないの?」
急にのび太は布団から飛び起きました。
「あーーーー」
「どうしようーーー」「ドラエモンのばか!!!」
「どうして早く起こしてくれなかったんだよ」
相変わらずあきれたのび太くんは、いち早く起きて顔も洗わず家を飛び出しました。いつも通りののび太くんの日曜日が始まりました。いつもの公園に着くとジャイアンとスネオとしずかちゃんが待っていました。ジャイアンは不機嫌そうに腕を組みながら待っていました。
「のび太!・・遅刻じゃないかよ」
げんこつを振り上げて言いました。
「ごめん ごめん」
しずかちゃん「いいじゃない、私たちも今来たところなのよ」
スネオ「今日は 特別な日だからゆるしてやれよ」
ジャイアン「そうか、じゃゆるしてやるか」
今日は、みんなのルーツをたどる日なのです。
ジャイアン「俺の生まれた時は、かわいかったんだろうなあ」
スネオが小声で「ごりらの子供みたいじゃないの」
「なんだよ、聞こえたぞ」「ゴツ!」
まず、しずかちゃんからいこう!ドラエモン 出して!
「ルーツ探検機!!・・・・」
これは探検したい人に近づけると、その人の生まれた時から今現在までを早回しで探索出来る機械なのです。「オギャー、オギャー」しずかちゃんが生まれた瞬間です。
「かわいい」「しずかちゃんって、生まれた時からかわいいんだね」
「はずかしい、みないで」
しずかちゃんが自分の顔を手でふさいでいいました。生まれたばかりなので、素裸だったからです。
しずかちゃんの10年間が終わり次はジャイアンの番です。
「オギャー、オギャー」「はははーーー」
のび太もスネオもしずかちゃんも笑いました。ごりらの子供そっくりだからです。
「ゴツ!」「なんで 笑うんだよ」
今度はのび太が殴られました。
「しかたないだろ、そっくりなんだも・・・」
「ばかやろ 次は すねおの番だ」「ドラエモン早くしろよ」
「わかった わかった」「オギャー、オギャー」「はははーーーーー」
みんな笑いました。
「なんで笑うんだよ」
「ゴツ!」スネオがジャイアンに殴られました。
「なんでジャイアンに殴られなければ、いけないんだよ!?」
涙めでスネオが言いました。「キツネの子供みたいでおもしろすぎなんだよ」「そんなーー」スネオはお母さんに、あまやかされ 何でも買ってもらっている10年間でした。そのたびにジャイアンに殴られていました。
「こんなの あるかよ みなきゃよかった」
さあ次はのび太の番です。ドラエモンのび太くん、知らないよ」「いいもん! ぼくはうらやましがられる事 何もないから」ドラエモンは、のび太くんに機械を近づけました。「オギャー、オギャー」「はははーーーーー」
みんな笑いました。やがて、のび太の10年は終わりました。「あれ」みんなが言いました。
「なんでのび太の時いったん真っ黒になったんだ?」
「そういえば、そうだね」
「ドラエモン、どうして?」ドラエモンは、急にそわそわして、
「いいの!それは」
みんなは「どうして!どうして!」としつこく聞きました。
ジャイアンが言いました。「あ!わかった、のび太が寝小便たれたんだ、だからドラエモンがわざと隠したんだ」
のび太は「ちがうよ」「ドラエモンちがうよね」
ドラエモンは「ちがうよ ちがうよ」
と言いました。
「それじゃ、みせろよ」
ジャイアンとスネオが言いました。あまりのしつこさにドラエモンが言いました。
「ちがうよ。これはのび太くんと僕の秘密なんだ。みんなにはみせられないんだ。これを見せれば僕とのび太くんがもう会えなくなって、しまうんだ」
そんな秘密があるなんて今まで知らなかったのび太たちは「そんなの聞いてないよ」
「会えなくなるのなら、私たちだって こまるから、みるの やめようよ」としずかちゃん
「僕のつごう悪い事なの?」「いや、そうじゃないけど」
「じゃ 見せてよ」「ドラエモンのばか!今みせてくれなきゃ、一生ジャイアンにいわれてしまうじゃないか」「ドラエモンなんか嫌いだ!」
「もうドラエモンなんかいなくていい」
泣きながらのび太は言い続けました。ドラエモンは悲しい顔で言いました。
「そうだね、のび太くんにとって、良いことなんだからね。本当に見たい?、本当に見たい?」
「僕に良いことだったら見たいに決まってるじゃないか!!会えなくなってもいいから見させてよ」
のび太の心には、見てもドラエモンに会えないはずは無いと信じていたからです。
「・・・ん・・・本当にいいんだね」
「いいよ」
「わかった見よう」
ドラエモンはもう一度のび太の体に機械をつけようとしました。
「本当に、いいんだね、いいんだね」
ドラエモンは何度も言いました。
「ドラエモンしつこいよ」
「ドラエモンしつこいぞ」とジャイアントスネオ
「のび太さん、本当にいいの?」
「いいんだよ」のび太がそう言うとドラエモンはのび太の体に機械をつけました。そのとき 近くの交差点のブロック塀の陰から、のび太のお母さんとお父さんがのぞいているのが のび太の眼にうつりました。
お父さんとお母さんは「ドラちゃん・・いままで ありがとう」・・・・・・・と言っているようにのび太には感じました。
「やめよう、いままでどうりでいいよ、ばかにされてもいいよ。やめよう」「のび太くん遅いよ、のび太くん遅いよ」
ドラエモンの眼から大粒の涙がこぼれていましたその涙は止まる事はありません。
「さようなら、さようなら、さようなら」のび太の眼からも、訳がわからず 涙がこぼれ落ちました。
「やだよーーーー」「やだよーーーー」「やだよーーーー」ドラエモンの姿がどんどん薄くなっていきました。のび太は流れる涙のせいだと思いました
「アーーードラちゃんが消えていく」
「ほんとうだ、ドラエモンが消えていく」「ドラエモンーーーー」
「やだよーーードラエモン」「やだよーーードラエモン」
「やだよーーードラエモン」「やだよーーードラエモン」
真っ黒い空白の一日がみえ始めました。真っ青に晴れた せみの無く 普通の一日です。
「いってきますー」
のび太は元気に学校に出かける風景です、あいかわらず 分厚いめがねにパットしない顔の 野比のび太は大好きな、ねこ型ロボットのおもちゃを鞄に入れて出かけました。あいかわらず朝寝坊ののび太は、「今日も、遅刻だよ」と言って走って出かけました。口には朝ご飯のパンをくわえて、玄関でお母さんが
「のび太―ー、気をつけて 行きなさいよ」
「わかってるって」・・・
ちょうど交差点を曲がろうとしたとき、猛スピードでダンプカーがきました。あっというまに、のび太はダンプカーに、はねられてしまいました。救急車で運ばれたのび太は危篤状態でした。体が“ピクリ”ともしません。周りでは病院の先生たちが、一生懸命手当をしていました。廊下で、学校の先生、のび太の、お母さん、お父さん、スネオ、ジャイアン、しずかちゃん、みんな心配そうにしています。お父さんとお母さんは泣いていました。ベットに横たわるのび太の手には大好きなねこ型ロボットがしっかりと握りしめられていました。のび太がゆっくりと眼をさましました、
「ドラエモンは?」
のび太はよわよわしい声で言いました。最初に見えたのは、二人のおじさんと一人のおばさんでした、それとなにやら入り口の方で泣いているおじいさんとおばあさんでした。一人のおじさんが言いました。
「のび太―ー」
おばさんが言いました。
「のび太さんーーー」
のび太は怪訝そうに言いました。どことなく二人のおじさんは、ジャイアンとスネオに似ていたからです。もう一人のおばさんは、しずかちゃん。入り口の横で泣いているおじいさんとおばあさんは、お母さんとお父さんに、似ていたからです。のび太は言いました。
「どうしたの?僕は、あなたは?」
「のび太、俺だよ。ジャイアンとスネオだよ。しずかちゃんもいるよ。そして、お母さんとお父さんだろ、そうだよな、おまえは、あの事故以来25年もたったからな、おまえは、交通事故でダンプカ―にぶつかって植物人間になってしまって、あれ以来すっと寝っぱなしだったからな。俺たちはもう35歳になったよ、俺(ジャイアン)は結婚して子供も二人いるよ。かわいいぜ」
スネオが言った。
「僕も、結婚して子供は一人いるよ」
何がなんだか分からなかったのび太はだんだん、その状況を分かってきた。
「ドラエモンは?」
しずかちゃんが言った。
「のび太さん、今、握りしめているそのねこ型ロボットの事?そのロボット、“ドラエモン”って言うの?」
そばで、お母さんとお父さんが「のび太、よく戻って来てくれたな!」
のび太は言った。
「ドラエモンが ドラエモンが」・・・・・
「なんだか、分からないけどおまえのドラエモンがおまえをいきかえらせてくれたのか」
のび太はやっと分かりかけてきた。どうりで何年たっても小学生から成長しなかった訳だ。「僕はいったい何歳なんだ、そうか、ジャイアン、スネオと一緒だから35歳なんだ」お母さんにいった「お母さん、歳をとったね。お父さん、心配かけたね、白髪だらけになって・・・・でも僕は楽しかったよ」横からしずかちゃんがいった。
「あなた、本当にお帰りなさい、これから二人で幸せになろうね」
「え・・・・???」
「のび太さんとは、10年前に結婚したの。あなたが必ず眼をさますことを信じて、10年前に、私は天の声を聞いて。そして、のび太さんと結婚する夢をみたわ。天の声は変な丸い顔をした、たぬきみたいな、動物なの、その動物を信じてみようと思ったの。」

空はいつものとうり、真っ青な晴天で、ベットの周りからは笑い声がしはじめた。手に握りしめた、ネコ型ロボットは25年もたってうすよごれていたけど、なぜかいつものドラエモンのようなやさしい顔をして、のび太に話かけているようだった。
「のび太くん・・・・・勉強しなきゃだめじゃないか」
のび太は誰にも聞こえないような
小声で
「ありがとう・・・ドラエモン」

※少々脱線しますが…



その1
のび太とドラえもんに別れの時が訪れます。
それは、なんともあっさりと・・・・。 のび太はいつものように、宿題をせずに学校で叱られたり、

はたまたジャイアンにいじめられたり、時にはスネ夫の自慢話を聞かされたり、未来のお嫁さんであるはずのしずかちゃんが出来杉との約束を優先してまうなどとまぁ,

小学生にとってはそれがすべての世界であり、一番パターン化されてますが、

ママに叱られたのかもしれません。
とにかく、いつものようにあの雲が青い空に浮かんでいた、天気のいい日であることは間違いないことでしょう。そんないつもの風景で・・・・


ドラえもんが動かなくなっていた・・・・。


当然、のび太にはその理由は解りません。喋りかけたり、叩いたり、蹴ったり、しっぽを引っ張ってみたりしたでしょう。
なんの反応も示さないドラえもんを見てのび太はだんだん不安なってしまいます。


付き合いも長く、そして固い友情で結ばれている彼ら、そしてのび太には動かなくなったドラえもんがどういう状態にあるか、小学生ながらに理解するのです。


その晩、のび太は枕を濡らします。

ちょこんと柱を背にして座っているドラえもん

のび太は眠りにつくことができません。泣き疲れて、ただぼんやりしています。
無駄と分かりつつ、いろいろことをしました。
できうることのすべてをやったのでしょう. それでも何の反応を示さないドラえもん。泣くことをやめ、何かしらの反応をただただ、黙って見つめ続ける少年のび太。当然ですがポケットに手を入れてみたり、スペアポケットなんてのもやりましたが動作しないのです。
そして、なんで今まで気付かなかったのか、のび太の引き出し、そう、タイムマシンの存在に気がつくのです。ろくすっぽ着替えず、のび太はパジャマのまま22世紀へとタイムマシンに乗り込みます。


これですべてが解決するはずが・・・・。


のび太は、なんとかドラミちゃんに連絡を取り付けました。しかし、のび太はドラミちゃんでもどうにもならない問題が発生していることに、この時点では気が付いていませんでした。


いえ、ドラミちゃんでさえも思いもしなかったことでしょう。


「ドラえもんが治る!」のび太はうれしかったでしょう。


せかすのび太と状況を完全に把握できないドラミちゃんはともにかくにも20世紀へ。


お兄ちゃんを見て、ドラミちゃんはすぐにお兄ちゃんの故障の原因が解りました。


正確には、故障ではなく電池切れでした。


そして電池を交換する、その時、ドラミちゃんはその問題に気が付きました。


予備電池がない・・・。





のび太には、なんのことか解りません。早く早くとせがむのび太にドラミちゃんは静かにのび太に伝えます。


「のび太さん、お兄ちゃんとの思い出がが消えちゃってもいい?」



当然、のび太は理解できません。なんと、旧式ネコ型ロボットの耳には電池交換時の予備電源が内蔵されており、


電池交換時にデータを保持いておく役割があったのです。


そして、そうです、 ドラえもんには耳がない・・・。


のび太もやっと理解しました。そして、ドラえもんとの思い出が甦ってきました。


初めてドラえもんに会った日、数々の未来道具、過去へ行ったり、未来に行ったり、恐竜を育てたり、海底で遊んだり、


宇宙で戦争もしました。鏡の世界にも行きました。


どれも映画になりそうなくらいの思い出です。



ある決断を迫られます。




ドラミちゃんは、いろいろ説明しました。


ややこしい規約でのび太は理解に苦しみましたが、電池を交換することでドラえもん自身は


のび太との思い出が消えてしまうこと、今のままの状態ではデータは消えないこと、

ドラえもんの設計者は設計者の意向で明かされていない(超重要秘密事項)ので


連絡して助けてもらうことは不可能であるという、これはとっても不思議で特異な規約でありました。


ただ修理及び改造は自由であることもこの規約に記されていました。

のび太、人生最大の決断をします。


のび太はドラミちゃんにお礼を言います。そしてのびたは



「ドラえもんはこのままでよい」



と一言告げただけです。ドラミちゃんは後ろ髪引かれる想いですが、何も言わずにタイムマシンに乗り、去っていきました。

あれから、数年後・・・。

のび太の何か大きく謎めいた魅力、そして力強い意志、どこか淋しげな目、


眼鏡を触る仕草、黄色のシャツと紺色の短パン、しずかちゃんが惚れるのに時間は要りませんでした。


外国留学から帰国した青年のび太は、最先端の技術をもつ企業に就職し、


そしてまた、しずかちゃんとめでたく結婚した。

そして、それはそれは暖かな家庭を築いていきました。


ドラミちゃんが去ってからのび太はドラえもんは未来に帰ったとみんなに告げていました。


そしていつしか誰も「ドラえもん」のことは口にしなくなっていました。


しかし、のび太の家の押入には「ドラえもん」が眠っています。あの時のまま・・・。

のび太は技術者として、今、「ドラえもん」の前にいるのです。


小学生の頃、成績が悪かったのび太ですが彼なりに必死に勉強しました。


そして中学、高校、大学と進学しかつ確実に力をつけていきました。


企業でも順調に、ある程度の成功もしました。


そしてもっとも権威のある大学に招かれるチャンスがあり、のび太はそれを見事にパスしていきます。


そうです、「ドラえもん」を治したい、その一心でした。


人間とはある時、突然変わるものなのです。

それがのび太にとっては「ドラえもんの電池切れ」だったのです。


修理が可能であるならば、それが小学6年生ののび太の原動力となったようでした。

自宅の研究室にて・・・。

あれからどれくらいの時間が経ったのでしょう。


しずかちゃんが研究室に呼ばれました。


絶対に入ることを禁じていた研究室でした。


中に入ると夫であるのび太は微笑んでいました。


そして机の上にあるそれをみて、しずかちゃんは言いました。


「ドラちゃん・・・?」


のび太は言いました。「しずか、こっちに来てご覧、今、ドラえもんのスイッチを入れるから」


頬をつたう一筋の涙・・・。


しずかちゃんは黙って、のび太の顔を見ています。


この瞬間のため、まさにこのためにのび太は技術者になったのでした。


なぜだか失敗の不安はありませんでした。


こんなに落ち着いているのが変だと思うくらいのび太は、静かに、静かに、そして丁重に、


何かを確認するようにスイッチを入れました。 ほんの少しの静寂の後、長い長い時が繁がりました。

「のび太くん、宿題は済んだのかい?」


ドラえもんの設計者が謎であった理由が明らかになった瞬間でもありました。


まさか、のび太自身が「ドラえもん」の設計者だとは知らず、


ただひたすら「ドラえもん」を治すことだけを垣間見た人生。 あの時と同じように、空には白い雲が浮かんでいました。